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ギャルゲー主人公な海斗ですが、

今回は乙女ゲーの悪役令嬢モノの

メインヒーロー(笑)みたく性悪ヒロイン(笑)からの嘘の情報を鵜呑みにして悪役令嬢(善人)を断罪しようとするアレ。

のオマージュしてまう。


全話をスキップした人向けのあらすじ


昼寝から起きたら前世人格に呑まれて発狂した陸斗を宮子が何とか家に連れ帰ってきた。

この時の俺はまだ気付いていなかったんだ。

それどころじゃなかったのもあるけれど。


そもそも、ゲーム世界じゃない現実とは言え、海斗の性格や行動原理はゲーム世界と同じ。


何が言いたいかというと、

つまり平気で授業をサボる様な奴って事だ。


授業をサボらないと攻略出来ないキャラクター、逆に授業をサボってばかりいると攻略失敗になるキャラクターが居た。


少なくとも、海斗がここに居る時点で授業サボり、所か学校をサボってる。


が、問題なのはそこじゃない、そもそも現実世界だしな。



「ハッ。俺に説教かましといてお前らこそサボってんじゃねーか。」



俺と宮子が玄関で抱き合ってる様を見られてしまったのが問題だ。



「違うよ…!陸くんは本当におかしくなってたんだよ!!

ほら!早退許可証だってあるでしょ!?」


「チッ…昔からそうゆう小賢しい真似だけは得意だよな宮子は。

普段からぶりっ子しやがって…あーヤダヤダ。

これだから似非優等生は………明日香を見習ったらどうだ?根暗女が。」


「…………は?」



今なんつった?

宮子をバカにしたか?

何時もこの家が綺麗なのは誰のお陰なんだよ…?

飯を、風呂を、俺達の服を洗濯してくれてるのが誰か、知ってるだろ??



「………オイ、海斗。」


「あ?何だクズ。」


「宮子に謝れ。」


「はぁ?

おいクズ。

お前頭に蛆でもわいてんのか??」


「何だと?」


「あーあー!そうやお前も似非優等生だもんなぁー

?

ハイハイ優しい優しい。

けどな、コイツは自分が優越感味わいたいから頼んでも無いのに俺らの家の家事を勝手にして、

学校では教師にいい子ぶって点数稼いでテストの忖度して貰ってんのを俺は知ってるぞ。」



何言ってんだ…こいつは?

ゲームでもそんな描写は無かった……

現実世界でもそんな事してる素振りなんて……



「なんなら教師と寝てるだろコイツ。

清楚ぶってるけどクソビッチだよな全く…………

クズ、テメェもだ。

風紀委員だとかイキってるが、裏では教師を脅したりイキリ共とオタク狩りとかカツアゲとかやりたい放題の悪行をしてんのを俺は知ってるぞ。」


「はぁ…?」



なんの話しをしてるんだコイツ。

思い返してみても“陸斗”がそんな事をしてた記憶は無い。

宮子だって俺と登下校は一緒だし、俺が委員会で遅くなる日でも俺より先に帰って家事をこなしてるんだから一回も家事が滞ったり家に居なかった日は無い。


いくらココが恋愛シュミレーションゲームと似た世界だとしても、そんなNTR展開やら悪役設定やらは存在しない。


何しろコレは本来ならオーソドックスな純愛モノ。

所謂ヌキゲーとも違うから乱交タイプの攻略対象やハーレムルートも存在しない。

いや、まぁ、宮子からしたら逆NTRになるだろうけど。


それに、悪役ってのも小役端役だ。

その場でちょっとしたナンパとかに絡まれるだけであり、

乙女ゲーの様に明確な悪役がいる訳じゃない。



「お前こそそんな話、誰から聞いた?

その現場をお前は見たのか?

最近流行りの悪役令嬢モノでよく居るマヌケ役の一方の話だけで全部を決めつけてる奴になってんぞ。」


「…証拠ならあるぞ。」


「あー、アレか、よくある取り巻きの証言だけってやつだろ?」


「言い訳ばかりだなクズが。

そんなお前等を破滅させてやんよ!!」



そう言った海斗が取り出したのは写真だった。

………確かに俺が弱そうな男子生徒をぶん殴ってるシーンだが。



「………それ、子犬系男子の振りをして女を泣かせまくってたクズを連行しようとしたら反抗してきたから正当防衛で思わずぶん殴っちまったシーンじゃねーか。

女子生徒からの訴えもあって調査したなぁ?」


「は?だ、だったらコレは!?」



次に取り出したのは男性教師と一緒にどこかの教室から出てくる宮子の写真だ。

写真に写る宮子は制服を抱えている。



「……なぁ海斗、

学校はソウユウコトをする場所じゃないし、普通、誰が見てるか分からない廊下にそんなあからさまな格好で出てこないと思わないのか?」



一時の感情で教職を棒に振る……ってのは確かにありそうな気もするけどコレはあまりにも迂闊過ぎる。

そもそも、宮子はこう見えて俺と海斗以外の男に対する警戒心が高い。



「でも実際に写ってるじゃねぇか!?」


「………あのぉ…その先生、手芸部顧問の女性教師のみのり先生じゃないかなぁ……?」


「はぁぁ!?」


「それにその教室、手芸部の部室だし………わたしが手芸部員の人に頼まれて男の子の格好をしてた時のだよね?」



そう、写真に写る宮子は男子の制服を着ていた。

ただし、母性の象徴が自己主張激し過ぎて男装女子として不成立なんだが。

みのり先生は逆に男装が完璧すぎる。



「お前………


「な、何だよ…!」


「マジでマヌケ役だな………



主人公として、どうなんだそれ。

と言うか………



「とりあえずお前が俺と宮子の事をそこまで嫌ってるってのはよぉく分かった。」



コイツ、前世のクズ幼馴染みと同じ事しようとしてるな……

けど、今はもう、平気だ。

宮子の温もりを感じる今は。

宮子の手を握ってる今は……



「出てけ。」


「は…?」


「そんなに嫌なら、この家から出ていくか?海斗。

そんでもって寮にでも入ってくれないか?

あぁ、俺と宮子が寮に入っても良いかもな。」



俺達が通っている学校には学生寮も存在する。

ただ、使ってる人は余程の遠方から通ってる人だけだから皆無だけどな。



「俺達が出てけばお前は女を連れ込み放題だもんなぁ?」



ま、そうは言っても現状でも日替わりで攻略対象を連れ込んでるのを俺も宮子も知ってるからただの嫌味だが。

………現実世界での宮子は気にしてないみたいだけど、ゲーム世界での宮子は傷付いていただろうな…。



「ぐ…ぬ…!」



オイオイ、主人公サマが憤怒で赤黒い顔なんて醜い顔してんだよ。

まるで悪役令嬢モノのヒーロー(笑)サマと同じだな?

と言っても、俺も宮子も別にお前の恋路を邪魔して無いはずなんだが。

何でここまで嫌われてるのやら………


強いて言えば、俺はコイツの宮子の扱いが雑だからこそ、コイツに苦言を呈してるし、

宮子はお母さんよろしくよくお小言(食べ終わったら食器を持ってくるくらいはしてほしい、部屋の片付けをやりなさい、宿題は終わらせた?)を言ってる位だが。

………あれ?ゲームでコイツの部屋が綺麗な描写だったのって宮子のお陰では??

マジかコイツ……………

と辟易していたら宮子が俺の袖をちょんちょんと引っ張ってきた。

可愛いかよ。



「陸くん………それより、まだ本調子じゃないでしょ?

お部屋で休もう?」


「…いや、俺は宮子がそばに居てくれるなら大丈夫だ。」


「見せつけやがって……クソ共が……!!」



そう、捨て台詞を吐いて去っていく海斗。

いや、お前本当になんなの?

別に成績は大して変わらないし、人望だって方向性が違うだけで同等。

比べられることは…無くはないが劣等感を抱く程の事じゃない。

何しろ全てが五分五分だからな。

いや、女子からモテるって意味ではなんならコイツのが上なくらいだ。


それに、コイツなあのクズ幼馴染みと違って根っからのクズでは無いはずなんだがな。


時雨や最上、西村だって悪いヤツでは無かったはず。

じゃあ、海斗は一体誰の影響を受けたんだ?


この時の俺はまだ知らなかった。

海斗が俺達が悪役カップルだと信じ込んでしまった故に始まるすれ違いを。


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