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今の陸斗は前世の記録が頭にこびりついてるので情緒不安定&ネガティブ思考気味だったりします。

そのうち落ち着く………のか…………?

と、ここで海斗が近寄ってきた。

いやこっち来んなし。

海斗とは一卵性の双子なだけに顔がそっくりだ。

でも性格は似なかったみたいだな……方や宮子に寄り添い、方や宮子を蔑ろにする。


そんな違いが、俺が転生する前からあった。


そんな海斗が俺はあまり好きじゃない。

向こうも俺の事があまり好きじゃないと思う。

なんなら、2人だけの時に海斗が内心では宮子の事を疎ましく思っている、という事を言っていたからその時から俺達は互いに折り合いが悪い。


普通の双子って奴をあまり知らないが、普通は双子だと仲が良いらしいな?


と、そんな海斗は主人公らしく爽やかな笑顔で口を開く。

人前だからだな。

家だと侮蔑を込めた無表情になるし。



「兄さん、なんか雰囲気変わったかな?」


「は?なんか変か??」


「…上手く言えないけど、兄さんが元々宮子の事が好きなのは知ってたけどさ、空気が甘いと言うか………


「ふーん…?」



まぁ実際、今の俺は前世の“記録”を知っている状態だしな。

多少引きずられてる部分はある。


具体的には精神的に脆い部分が出来て宮子に対して依存する部分が出来てしまった事とかな。

急激に変わった訳でも無いし、宮子自身が元々、甘えられたがりで天然気味なのもあって俺が彼女に依存気味になった事に気付いて無さそうだが。


今も宮子の手を掴んで親指で撫でさすってるけど宮子本人はニコニコと何時もの笑顔を浮かべるだけで気にしている様子はない。

それどころか宮子の方からも同じ様に親指でさすってきてる。

が、海斗は違う様だ。



「今も宮子の手を触ってるだろ?」


「…………。」



……お前のような勘のいい弟は嫌いだよ。

流石主人公ってか?自分に対する恋愛感情には妙に鈍感なクセにな。



「それより海斗、お前こそどうなんだよ?

今日も…なのかは知らんが時雨と一緒だったんだろ?」


「ん?そうだね、昨日は最上(もがみ)さんと、だったけど。」


「……。」



【最上カレン】、だったか?

帰国子女枠の攻略対象で、日本語に不慣れなせいか妙なイントネーションで喋る女子だったな。


それはともかく、流石主人公だな。

見事なスケコマシっぷりだ。

ゲームでは宮子や薙原さんもその毒牙に掛かっていたが…

現実世界ではそれぞれ想い人がいるおかげか、海斗に興味を示していない。

逆に時雨や最上、あともう1人……【西村(にしむら)ひまり】は想い人が居ないからなのか、コイツに惚れている…と思う。


現状、宮子が既に海斗から疎まれているなら中盤あたりかもしれない。

だとしたらそろそろルート入りするか…?


と、思案していたら宮子が海斗に対してお小言を言っていた。



「海くん、わたし、複数の女の子に思わせ振りな態度をとるのはどうかと思うよ?」


「は?そんなことしてないよ。そもそもなんで宮子にそんな事言われなきゃならないのさ。

宮子は俺の母さんか??」


「……違うけど……その…未来の義姉…だし…?」(ちらっ)


「宮子、照れるなら言うなよ可愛すぎか?」


「はぅぅ………


「あーはいはいゴチソウサマ。

兄さんに惚れてる宮子に言われても説得力ないと思うよ。」


「じゃあ実の兄として俺からもスケコマシは大概にしろって言っとくわ。」


「あーハイハイ。

そもそも俺はモテないし彼女もいない。

仮に既に彼女がいたとしても、その上で複数人と付き合える程器用じゃない。

余計なお世話だっての兄さん。」


「………まぁ、聞かないのは知ってたからもう言わないが。」



精々刺されない様に気を付けろよ。

なまじお前と同じ顔だから勘違いで刺されたくねぇしな。


………………お前が去年の修学旅行で女湯を覗きに行ってバレた時に咄嗟に俺の振りをして惨劇回避した事を俺は恨んでるからな??


※この学校は毎年修学旅行ありな学校、恐らくギャルゲー仕様による補正


※2陸斗は風紀委員会所属で普段から風紀委員らしく生真面目な人物+宮子以外の女子はアウトオブ眼中な態度な為、

海斗はその陸斗の立場を悪用して宮子が心配だったし他の男子への牽制を兼ねて警備をしていただけだと言い訳をして惨劇(女子からのフルボッコ)を回避した。

後日、知らぬ事情で感謝と謝罪をされて内心狼狽えた陸斗は海斗の仕業だと直ぐに分かった。


※3なお、双子の見分けがつく宮子には即バレしてたが余計な騒ぎを起こして陸斗の評価を下げさせない為にも宮子は黙ってた。


俺が追い払うように手を振ると海斗の方もあまり関わり合いになりたくないからかアッサリ去っていった……



「チッ…都合のいい時だけ弟面したり俺の名を使いやがって…………


「陸くん、今日は情緒不安定かな??」


「…心配かけてすまん宮子。」


「ううん。陸くんの体調管理もわたしの役目だよ♪」


「いやいや、いくら宮子でもそこまではしなくていいからな?」


「遠慮しないで?わたしは陸くんの幼馴染みだもん!

これくらいしたいの!!」


「宮子ぉ…最早それは嫁なんだよなぁ…ありがとう。」


「ふふっ♪どういたしまして〜」



と、ここで宏が辟易した様子で叫んだ!?



「陸斗に篠森さん、お前らマジでいい加減にしろよ!?目に毒過ぎるわ!」


「………本当にすまん、宏。」



あー…うん、確かにちょっとやり過ぎだな俺。

やっぱりまだ前世に引きずられてる……な……。


それからは、授業を真面目に受けて昼休み………



「陸くん!お弁当一緒に食べよ〜♪」


「おう。いつもの場所か?」


「うん♪」



いつもの場所。

それは解放されてる屋上の事だ。

高いフェンスがあるのは勿論だが、場所自体はとても広くて、何個かベンチが置いてあり、そこで弁当を食べたり昼寝をしてる人が居る。

更に人工池やガゼボ、花壇や遊歩道なんて言った小洒落た物まである。

………そこら辺はさすが、恋愛シュミレーションゲームの舞台になるだけある。と言った所か。


そんな屋上の一角にあるベンチに腰掛けて2人で弁当を食べる……前世ではこんな穏やかな昼食の時間なんて無かったな…


教室でも針のむしろ、そもそもクズ幼馴染みに奴隷の様に扱われていたし、時には他の生徒達からサンドバッグにされたりして食いそびれる事も多々あった。


お小遣いだなんて当然貰えなかった(両親はその分も幼馴染みに渡していた)し弁当は自分の分を作るだけの材料も渡されなかったから基本的に勝手に米を拝借して作った塩おにぎりと水(学校の水道水)だけだったしな。

それすらも目の前で踏み潰されて捨てられたりしたこともあった。

『お前みたいなクズに飯を食う資格は無い。反省しろクズが。』

とか

『惨めだなぁーー(前世の名前)wwwーー(クズ幼馴染み)ちゃんに嫌がらせするからだぞwwwざまぁwwww』

とか

散々なじられた。

俺はアイツに対して瑕疵かしのある事なんか何もしてないのにな。


更に言えばストレスの溜まりすぎなのか、たまに食べれても味なんかしなかった。

家でもマトモな飯なんか食べた記憶が無いな。

両親はクズ幼馴染みにされる虚偽の報告を真に受けて罰として俺の飯だけ用意しない事も多かったから。


ちなみに、警察も児童相談所も訴えた所で【民事不介入】だとか【証拠不十分】だとかで動かなかった。

今にして思えばいっそ、クズ幼馴染みや両親を殺して少年院とか刑務所にでも入れられた方がマシだったかもしれない。


………あぁ、ダメだな。

宮子と一緒に居るのに……



「はぁ………美味しい………


「あはは♪大袈裟だよぉ〜でも、ありがとう♡」


「…………好き過ぎて泣ける。」



だから、今日の、宮子の朝食は、弁当は、久しぶりに。

前世の俺としては、本当に久しぶりに。美味しい飯で。

朝食の時は寝坊したせいで味わう余裕なんて無かったけどゆっくりと噛み締める弁当は最高だった。



「ご馳走様。ありがとうな宮子。」


「ふふっ…お粗末さま♪

陸くんに喜んでもらえてわたしは嬉しいよ!!」



そう言って微笑む宮子の顔は、本当に慈愛に満ちていて、今の俺にとっては女神の微笑みだ。



「………。」


「…?…!」(ニコッ)



そんな宮子に見とれていたら、何か勘違いしたのか宮子は自身の膝をぽんぽんと軽く叩きながら首を傾げてアイコンタクトをしてきた。



(いや別に膝枕を催促した訳じゃ無いんだけど………まぁ、いいか。)



そんな極上のお誘いに抗う気は無い。

俺は宮子の膝に頭を預け、目を瞑った。

宮子はそんな俺の頭を撫でてくれる。



「~♪~♪」



更にお気に入りの歌を鼻歌で口ずさみ始めたので、そんな宮子の声をBGMに俺は眠りに落ちた…………………
















※まだ恋人同士では無い。

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