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浦川 日歌里ノウラジュウニシ【side:H】

作者: 日浦海里

あなたの元へと逝く前に

その身を浄めよと言われるのなら

私はただその御心のままに

この身をそこに投げ出すまでです


これまでも、これからも

私は変わらずあなたを慕い

いつまでも、いかなる時も

私は変わらずあなたの下僕



主よ


あなたはすべてを愛し

あまねく命を祝福される


主よ


あなたは正しきを導き

あまねく過ちを裁かれる


この国を正しく導くために

多くの異教を排した私は

それが必要なのだとしても

やはりそれは罪なのですね


この国を救う為に私は

神の子として奉られた

あなた以外を敬う事を

罪と知っていたとして



あなたの元へと逝く前に

その身を浄めよと言われるのなら

私はただその御心のままに

この身をそこに投げ出すまでです


これまでも、これからも

私は変わらずあなたを慕い

いつまでも、いかなる時も

私は変わらずあなたの下僕


主よ


私はあなただけを愛し

あまねく罪を受け入れます


主よ


私は過ちを犯し

あらゆる穢れを祓います


この国が正しく変わるために

多くの罪を犯した私は

神の子ではなく魔女として

裁かれなければなりません


この国が変わるため民は

神の子として奉られた

私は過ちでただあなたこそ

善と知らねばならぬのです



この指先が青くなるほど

この足先の感覚がないほど

痛みを与えられたのは

この世の罪を削ぎ落とすため


この指先が青くなるほど

この足先の感覚がないほど

痛みを与えられたのは

浄めの痛みを知らずに済むため


揺らめくのです赤い火が

私を包み込むように

私を恨むような瞳が

私を憐れむような瞳が

私を蔑むような瞳が

私を慈しむような瞳が

揺れて揺れて溶けてゆく


主よ


見上げたこの空に

青い鳥を見せるのは


主よ


あなたのお迎えと知り

その御名を呼んでも良いのでしょうか


これまでも、これからも

私は変わらずあなたを慕い

いつまでも、いかなる時も

私は変わらずあなたの下僕

遍く偏愛は

それ自体が矛盾なのに

でもそこに救いが存在していることも

否定はできない

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― 新着の感想 ―
[一言]  縋るものがある心強さと、頼るもののない不安定さ。  寄りかからねば立てぬ弱さと、独り在れる堅固さ。  どちらも過ぎれば、なのかもしれませんね。  バランス、難しいです。
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