牛の首
家紋 武範さま主催の『牛の首企画』参加作品です。
ひらめきだけで一気に書いてしまいましたw
「え? 何これ──?」
私がいつものように小説投稿サイト『小説家になれるかも!』にログインしてランキングを見ていたら、ある不気味な現象に気づきました。
『ホラー』ジャンルの日間ランキング。その上位にずらっと並んだタイトルが『牛の首』『うしのくび』『ウシノクビ』──なにそれこわい。
『牛の首』という都市伝説のことは私も聞いたことがあります。
何でも、あまりに恐ろしい話なので聞いた人は必ず三日以内に死ぬ、内容については誰も本当のことを知らないというものだそうで──。
なるほど、よく見てみるとある方の企画のようです。みんなで自分なりの『牛の首』伝説を考えて投稿しようというホラー企画なんですね。
面白いこと考えるなぁ。
早速いくつか読んでみると──やっぱりみんな凄いですね。私がよく目にする書き手さんも何人か書かれてますけど、コメディあり、本格ホラーものあり、歴史考察系あり、不条理系もありと、かなりカオスな状態です。
──あ、でも。
今なら、自分が書いたものも読んでもらえるんじゃないかしら。
私は、自慢じゃありませんがど底辺の書き手です。今までに何作か短編小説をアップしましたが、最高でも20人くらいにしか読まれてません。
でも、今なら──この企画に参加している人だけでも数十人はいる。この機会を逃す手はないわよね。
一気に書き上げた小説は、かなりおどろおどろしい内容でしたが、意外にも好評でした。
何と、ひとつの作品に2つも感想を貰ったのは初めてですし、それに──あこがれのX先生からレビューまで書いてもらっちゃいました!
もうこの波に乗るしかない!
私は次々とない頭を振り絞って作品をアップし続けました。
読者数は増え、感想もどんどんもらえて、評価ポイントもどんどん上がっていきます。
──世の中に、こんな楽しいことがあったなんて!
でも、何作目かをアップした直後に──突然、波が止まりました。
読者数だけは増え続けているのですが、まったく感想がもらえなくなってしまったのです。
おかしいなぁ。今回の話、そんなに出来が悪かったとも思わないんだけど。
そう思って、前に書いた作品を読み返してみたのですが──え、なにこれ。
感想欄の書いた人の名前が揃って空欄になっています。みんな、退会しちゃったってこと? けっこう多作な書き手さんなんかもいたはずなんだけど。
慌ててランキングを見てみると、そこには「この小説は削除された可能性があります」がずらり。そんな中に、ぽつぽつと私が書いた作品だけが残されています。
これは、もしかして。
適当に書いていたつもりだったのに、まさか私が本当の『牛の首』伝説を書いちゃったってこと──⁉
お察しのとおり、これは筒井康隆先生の『熊の木本線』のオマージュです。