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57 巫女艦との対決


「艦長会議のセッティングが終わりました」


「ありがとう、エリン」


 僕は、勇者艦の艦長席に座っていた。


 エリンは横に立って僕の補佐をしている。


 ミリアさんは、砲撃手として席についてもらっていた。


「みんな、調子はどうかな」


 通信で会議をしているので、一応確認しておく。


 直にあって話をしても良いんだけど、通信は戦場で命となる情報源なので、いざというときのためにも、こうやって使っておいた方が良かった。


「万全です、提督」


「大丈夫だぞ、話を進めてくれ」


 出席しているのは、グリュックエンデのトリシアと重巡洋艦のパウリーネだ。


 どちらも優秀なので、僕としては安心して任せることが出来る。


「そうか、提督か」


「何か?」


「いや、響きが新鮮だっただけだ」


 一度、咳払いをしてから本題に入る。


 三隻だけど、一応提督だ。


「巫女艦のいる西の要塞に攻め込む、異議はあるか?」


 今、中立国にはたくさんの連合、帝国艦がいる。


 この状況になると、すぐに背後から挟撃されるので、どちらも迂闊には攻められなかった。


 やるなら、大艦隊で、多少の挟撃なんて気にならない、連合がアルビナフォン要塞を攻めていたくらいの規模でやりたいところだ。


 でも、僕にそんな戦力はない。


「この状況をどうするおつもりですか?」


「そこは任せて欲しい、今回は白兵戦力が欲しいので、パウリーネ様の兵には期待しております」


「そういうことなら任せるがよい」


 艦隊戦だけど、白兵戦を想定している。


 まぁ、要塞を攻めるなら、多かれ少なかれ必要なんだけど。


「タグボートは、対タグボート用装備で、白兵戦の人員を乗せる」


「巫女艦を白兵戦で破るのですか?」


「そうだ、巫女艦と要塞を取る」


「了解しました」


 トリシアは意見を言わない。


 予知したんだろうと、思っているだろう。


 パウリーネも僕の予知のことは知っている。


 指揮に関しては、全面的に任せてくれているみたいだった。


 やる気も出してくれているし、正直頼もしい。


「砲撃は差し合いくらいで構わない。人的資源は、白兵戦に回してくれ。今回は、僕も行く」


 トリシアはちょっと驚いているようだった。


 パウリーネも、面白そうな顔をしている。


 あまり、僕が白兵戦を得意だとは思っていないようだ。


 まぁ、得意ではないけど。


「それでは、巫女艦のいる西の要塞へ行こう、出撃準備開始!」


「了解しました」


「了解だぞ」


「背後から挟撃されるだろうから、しんがりのグリュックエンデは、巫女艦が出て来たら回頭しておくんだ」


「そちらも了解です」


 初めから後ろを向いておいた方がいいだろう。


 そして、合計三隻の艦隊は、西の要塞を目指して出撃した。






「巫女艦、確認しました」


「うん」


 深夜、辺りは真っ暗の時間帯。


 勇者艦を先頭に進んでいくと、そこに巫女艦が現れた。


 いつもと同じ……と言いたいけれども、出てくるタイミングが遅かったように思う。


 いつもなら、もっと早く出て来ていた。


「背後から出てくる連合艦を挟撃できるように、援軍の要請だ」


「了解しました」


 エリンは、連合と戦いにくいかと思っていたけれども、表面的にはわからない。


「こちら勇者艦グランドクロス、プライベートドック、応答願います」


「…………」


 ちょっと心配だったけど、きっちりと職務をこなしている。


 首輪の効果もあるんだろうけど……慣れてもらわないといけない。


「ミリアさん、砲撃の練習だと思ってやってください」


「わかりました、エリオットさんは戦いになると……ふふっ、ちょっと格好良くなりますね」


「ミリア様! 今は戦闘中ですよ!」


「もうっ、エリンは堅いんだから」


 ブリッジに軽く笑いが起きる。


 自由なミリアさんは、本来なら中立国が似合うんだろう。


「さて、砲撃を行いつつ、タグボートを発進させるぞ、僕は行くから、ここはエリンに任せる」


「了解です、提督。お気を付けて」


「大丈夫、無茶はしないよ」


 僕は、いつもよりも弱々しい防御魔法を展開させている巫女艦を見ながら、ブリッジを後にした。






 手はず通り、タグボートが大量に出撃してきている。


 僕も、その一隻に乗っていた。


 操縦は、僕よりも若い子がしてくれているけど、きっと凄腕なんだろう。


 他にも、白兵戦用に数人が待機していた。


「…………」


 やはり、防御魔法がいつもより弱い。


 これなら、突入できるだろう。


 巫女艦と要塞守備隊のタグボートが、魚雷を撃って引き返していく。


 ここだ。


 パウリーネの兵だろうか、妙に積極的なタグボートが巫女艦のハッチに取り付いていた。


 まだ、出撃したタグボートを回収し切れていないのに、巫女艦はハッチを閉じていく。


 しかし、その閉じていくハッチをタグボートの砲で打ち抜くと、そのまま中に雪崩れ込んでいった。


「よし、つづいてくれ」


「はい、でも、順番ですからね」


 血気盛んなのか、次々とタグボートが押しかけていく。


 僕がやることは、あんまりなさそうだった。


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