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39 巫女艦の実力


「て、敵影確認!」


「なんだと!?」


 西の要塞、ビルクランド要塞の司令官が、思わずコーヒーを零す。


 魔王が討たれてから、ビルクランド要塞に敵襲があったことはない。


 オペレーターの声が緊張でかすれ、要塞司令も一瞬、我を忘れて焦ってしまった。


 だが……考えてみれば、今、帝国にそれ程の戦力があるはずはない。


 むしろ、連合が帝国の要塞を攻めているところなのだ。


 落ち着きを取り戻して、要塞司令は続報を待つ。


「艦形を確認……四天王艦、グリュックエンデと思われます」


「むう……」


 一隻だけの突撃のようで、他には、レーダーに映る敵もいない。


 これは、本格的な侵攻ではないだろう。


 要塞司令は、そう判断を下して落ち着いた。


「巫女姫様、出撃をお願いできますか?」


 要塞司令が、様を突けて呼ぶ存在。


 勇者と同じで、階級ではなく尊称で呼ばれる存在が居た。


「ウム」


 巫女姫と呼ばれた元気そうな少女が頷く。


「アルビナフォン要塞ば落とした、噂ん四天王艦やなあ」


「そのようですが……おそらく、本気ではないでしょう。偵察目的かと思われます」


「ウチん力が及ぶかわからんが、出撃してみよう」


 白髪のショートカットに優しげな目元の巫女姫は、そう頷いて司令室を出て行った。


 勇者と同じように、軍属でありながら階級がない巫女姫。


 その力は、ライトテリトリーでも、凄まじい魔法の威力を誇った。






「き、来ました! 要塞より巫女艦の出撃を確認です!」


「あー」


 どうかなと思ったけど、いきなり当たったか。


 まぁ、五十パーセントだから当たってもおかしくはない。


「要塞前から移動して、かなり突出してきています」


 見た目は空母だけど、前に出てくるのか。


「連合は西の要塞を失いたくないようですね」


「どうもそうらしいね」


 ということは、東の要塞の方に陸上艦が集まっている可能性が高い。


 西の要塞は巫女艦が主力で、後は戦艦が一隻と、他に二~三隻というのが妥当な戦力だろう。


 つまり、この巫女艦さえ倒してしまえば、要塞奪取の可能性があるということだ。


「予定通り逃げますか?」


「うん、まぁ逃げるんだけど、巫女艦の性能を色々試してみよう」


 いずれは叩かなければいけない存在だ。


 こういう、余裕のある戦いで性能試験をしておくのも悪くはないだろう。


「艦長は、巫女艦の性能を知らないのですか?」


 僕は、元々連合の軍人だからね、知っていそうなものだけど、勇者艦と侍艦と賢者艦の事しか知らなかった。


「上級艦の情報は出回っていないんだ、僕も詳しく知っているのは勇者艦のことだけで、後はトリシアの知っていることと変わらないと思うよ」


「それでは情報収集ですね」


 トリシアが悪い顔をしている。


 相手の弱点を探すというのは、Sな人にはたまらない快感なんだろう。


「じゃあ、マルリース、主砲を使ってくれ」


「いきなりメインディッシュきたー! やっちゃいますよ!」


 マルリースが狙いを付けていく。


 僕は、その後のことを、トリシアとソフィアに命じていた。


「主砲の後、魚雷とタグボートを射出。巫女艦の些細な動きもチェックしてくれ」


「了解しました」


「了解です」


 四天王砲のエネルギーをチャージしていく。


 そして……。


「四天王砲、発射ああぁぁぁぁぁぁぁっ!」


 身体をビクビクとさせながら、マルリースが主砲を発射させていた。


 まだイッてないだろうけど、すごく感じている声だ。


 そして、主砲のエネルギーは、正確に巫女艦を襲うが……光のオーラに阻まれて、射軸が曲がりあらぬ方向に飛んで行ってしまった。


「完全に防ぐわけではないようですね」


「攻撃を逸らすんだな」


 後ろに味方や要塞があると、被害が出るかも知れない。


 それを見越しての、突出なのかも知れなかった。


「つづけて魚雷と副砲、およびタグボートの射出」


「魚雷と副砲も行きますよーっ! ファイアやぁぁぁぁっ!」


 魚雷と副砲の攻撃も逸れていく。


 これは……倒しようがないか?


「タグボート全機出撃しました、対艦装備です」


 相手は空母だけど、タグボートが出てこない。


 完全に、防御狙いなんだな。


 タグボートは、なるべく接近してから魚雷を放つが……その攻撃も、光のオーラに射軸を曲げられてしまっていた。


「敵、要塞よりタグボートの出撃を確認しました!」


 要塞から来たか。


 そして、それに合わせるようにして、巫女艦からもタグボートが出て来た。


 空母の割には、その数が少ない。


 攻撃能力は、ほとんど持っていないのかも知れなかった。


「防御力の高い空母か……」


「どうしますか? 艦長」


 リュデイガーと同じ事をやってみるか?


 超接近戦だ。


 至近距離からなら、砲撃を逸らせないんじゃないだろうか?


 しかし、そんな弱点がある上級艦があるか?


 どうも……誘われている気がする。


 嫌な予感が頭をよぎる中、僕は考えていった。


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