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33 帝国は白が好き


「背後より敵影確認!」


「なんですとぉっ!?」


 リュデイガーが激高する。


 エリオットを追放してから、不安でいっぱいのところに、背後からの攻撃とあっては平常心を保てない。


「どうして、ここがわかったのですか!?」


 基地に帰らず、山の陰に隠れるようにしていたのに、どうして居場所がわかったのか。


 交通の要所からも遠く、近隣の村人でもなければわからない情報だ。


「う、裏切り者がいるのですか!?」


 そう言われても、ブリッジのスタッフは戸惑うだけだ。


 エリオットのように追放されても困るし、かといって精神が不安定なリュデイガーに進言をする者もいない。


「もういいっ! 戦艦を前に出しなさい!」


「この竜脈は一本道です! ここで、隊列を変更するのは不可能です!」


「な、なんですとぉ!?」


 四天王艦、エヴァンゲーリウムの後ろには空母が二隻いる。


 だが、空母は打撃戦にはめっぽう弱い。


 戦艦は、四天王艦を守るように三隻が前に出ていた。


「ランデブーポイントを探しなさい! そこまで移動です!」


「魚雷多数来ます!」


「ぐうっ!」


 駆逐艦からの一斉射撃で、しんがりの空母が大破していた。


 もう、タグボートを出すこともできない。


「駆逐艦など蹴散らしなさい! 方向転換です!」


「ランデブーポイントは、この先、三十分程先の地点にあります!」


「方向転換だといっているでしょう! ランデブーポイントはもういい!」


「魚雷群、第二波来ます!」


 もう一隻残っていた空母が、その攻撃で大破してしまう。


 これで、最後尾は四天王艦になってしまった。


「今からでも、空母からタグボートを出しなさい! 早くです!」


「四天王艦、回頭します」


「駄目です! 回頭は中止! 戦艦からもタグボートを全発進させて、ランデブーポイントに急ぎなさい!」


 刻々と変化する状況に、指揮官が対処できていない。


 しかも、命令を中止するのが遅く、次の命令を追加で出してしまっていた。


 ブリッジは昏迷を極めている。


 そしてそのまま、四天王艦は回頭して、敵の方を向いてしまっていた。


「ミーの言うことを聞けぇぇぇぇっ!」






「全面的に協力してくれるって言ってたじゃないですか……」


 僕は、殴られた頬をいたわるように撫でさすった。


 しかも、パーではなく、グーで殴られたのだ。


「もう、お嫁にいけない……!」


 パウリーネが手で顔を覆って、恥ずかしがっている。


 予知を使う必要があったんだから、仕方がない。


 他の子には頼めないし……。


 しかし、魔族帝国の女の子は白のぱんつが好きなようだった。


 今のところ、マルリースが見せる用に黒を履いていただけだ。


 ピンクとか水色とか、模様付きとかしましまとか、色々あると思うんだけど。


「野良犬に噛まれたと思って忘れてください」


「忘れられるわけないでしょう!」


 そのおかげで、こうやって奇襲を仕掛けられたのに……。


 まぁ、居場所を知るための予知が中々来なくて、色々なポーズで見せてもらっちゃったけど……。


 四天王艦を、隊列の真ん中に置いて、エリオットが艦長席に座っていた。


 アッシャー元老院議長は、邪魔になるからと自室に籠もってしまっている。


 しかし、パウリーネは見届けなくてはいけないとブリッジに残ったので、ぱんつを見せてもらっていた。


「タグボート全機発進! ランデブーポイントまで下がって、戦艦を前に出せ」


 四天王艦と戦艦は、ランデブーポイントで待機している。


 魚雷が確実に効果をあげているけれど、相手の真正面は四天王艦になっていた。


 早く駆逐艦を下げないと、無駄な損失を出してしまう。


「駆逐艦が後退します」


「敵、多数のタグボートを確認!」


 タグボートで、やり合っている間に戦艦を前に出さないと。


 最近、タグボートの性能が上がっている。


 連合というか、中立国のタグボートは特に高性能だ。


 これからは、防御用として、駆逐艦に迎撃魚雷を詰むのもありかも知れない。


「制陸権は拮抗しています!」


「よし」


 その間にも、足の速い駆逐艦は後退してきている。


 上手く、隊列を変更できそうだ。


「ランデブーポイントですれ違え!」


 ここは、四隻がすれ違えるポイントだったので、駆逐艦を四隻出していた。


 そして、戦艦が二隻前に出る。


「隊列の変更が終わりました!」


「よし、駆逐艦は、そのまま待機だ」


「駆逐艦は待機!」


「…………」


 ここまでは、予定通りだけど……。


 僕が見たいくつかの未来と、違っている点がある。


 このまま押しきりたいと思いながらも、そうはならないことを僕は知っていた。


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