102 魔王艦の最後
本日は二話投稿します。
17時の投稿でラストとなりますので、よろしくお願いします。
「魔王艦上部に、エネルギーが収束しています!」
赤黒く発光している魔王艦の光が、一点に集中していく。
無駄かも知れないが……。
「あの収束している光に、トリックキャンセラーを当ててみてくれ」
「あんな小さいのに当てられるはずないじゃないですか」
ぶつぶつと文句を言っている。
「いいから、良く狙って撃ってくれ」
「もう……」
揺れる計器に集中しながら、マルリースがトリックキャンセラーを発射した。
すると……。
「命中しました! 光が揺らいでいます!」
当たった。
神の力というわけでもないのかな?
全く無駄ということは無さそうだった。
「よしっ! やりぃ!」
「本当にすごいですね」
「うん」
マルリースへのご褒美はまた後だ。
あの光がどうなるのか……。
「エネルギー、急速に拡大!」
そして、その収束したエネルギーが……横薙ぎに払われた。
戦艦四隻と勇者艦が、その光に巻き込まれる。
すごい爆発だった。
地面がえぐれるほどの威力。
爆発の光で、視界が遮られてしまう。
「くっ、大丈夫か!?」
「せ、戦艦四隻が大破! 勇者艦は健在のようです!」
「一撃? 一撃でか!?」
とんでもない攻撃だった。
貫通だけじゃなくて、横薙ぎもできるなんて……。
「大破した艦は後退だ!」
「後退! 後退してください!」
まだ動ける戦艦がよろよろと後退していく。
移動系をやられた艦は、その場に座礁していた。
「変かも」
「どうした、ユーナ少尉」
「勇者艦に受けたダメージは修復できてない」
確かに、戦艦からの攻撃は修復できているが、勇者艦の主砲で食らった正面のダメージは修復できていないようだった。
フィリエルの加護を受けているといっても、リリエルの加護を受けた勇者艦の攻撃は、効いているみたいだ。
「勇者艦と通信を繋げ!」
「通信繋ぎました、どうぞ!」
艦長席のモニターに、エリンの顔が映る。
「エリオット、どうしたの?」
「エリン、あの収束しているエネルギーを狙ってくれ!」
「あの横なぎしてくるやつね! やってみる!」
魔王艦を相手にするには、やはり勇者艦だ。
もう、戦力的な優位はない。
「勇者砲、発射しました!」
勇者艦は、魔王艦の前で収束しているエネルギーに主砲を当てる。
ちょっと横に逸れていた攻撃が、吸い込まれるように曲がって命中していた。
これも、リリエルの加護なのか。
「命中しました!」
すると、毒を取り込んだ細胞のように、赤黒いエネルギーが崩れていく。
収束していたエネルギーが自壊して、魔王艦を包んでいた光も消え去っていた。
「もう、修復はできないのでは」
「よし、ここだ! 行くぞ!」
残された勇者艦と超上級艦、そして後方からの空母の攻撃で圧倒していった。
「駄目か」
ルイーゼロッテが、艦長席にだらしなく座る。
「勇者艦を用意していたのは流石というところです」
「いやいや、予知したんじゃろう、どうせ」
このままでは敗色濃厚だが……ルイーゼロッテは、まだ面白がっているようだった。
「いかがなさいますか? エリオットを殺して参りましょうか」
「そうじゃなぁ……」
正直惜しい人材だ。
代わりもいない。
だが、このままでは面倒なことになる。
「ルイーゼロッテ様! 勇者艦が突撃してきます!」
「なんじゃと!」
「もう、諦めましょう。戦いは……終わったのです」
シュラミスを恨めしそうな目で見る。
「こちらに何もさせずに勝つつもりか」
「空を飛んでいた艦も……こちらに向かって下降してきます!」
どうやら、前と上から圧殺されるようだ。
被弾している魔王艦の方が耐えられないだろう。
「ははっ、これは負けたな」
「失礼」
側近がシュラミスとルイーゼロッテの手を取ると……そのまま姿を消した。
正面から勇者艦がぶつかり、上から超上級艦が踏みつぶす。
その攻撃で、魔王艦は大破していた。
あの魔王艦が……。
「皇女殿下は無事ですかね?」
「殺されても死なない人なんだから、これくらい平気だろう」
取りあえず、魔王艦を倒してしまえば後は烏合の衆だ。
元々傷ついていた残存艦を倒すのに時間はかからなかった。
「次々と投降していきます、受諾しますか?」
「攻撃停止! 投降を受諾しろ」
魔王艦がやられたという精神的なショックも大きいだろう。
僕だって……正直、微妙な気分だ。
でも、皇女殿下が討ち取られたとあっては、戦いも終わりだろう。
「皇女殿下を救出しましょう」
「大丈夫、別の場所で生きているよ」
トリシアがホッと息を吐く。
なんだかんだ言って、みんな皇女殿下派なんだよなぁ。
無事だった人員で、負傷者の救助と陸上艦の接収を始めていた。
空母と巡洋艦の乗組員は無事だったので、人出は十分にある。
そして、安全が確保された状態で帝都のドックに入った。
「シュラミス様を保護するぞ!」
元連合の兵や中立国の兵、帝国の兵が混じった混成艦隊だ。
シュラミスを出汁にするのが、一番効果的だった。
抵抗する兵はもういない。
反発があっても散漫だろう。
アッシャー派もいることだし、難しくはないはずだ。
ドックから、組織された白兵部隊を突入させていく。
「ミリアさん、エリン、一緒に来てくれ」
勇者艦から下りてきたふたりと、トリシアを連れて、宮殿に直行する地下通路に下りていった。




