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実技試験

 中央広場は学園内で一番大きく、頑丈な作りになっている。こういう試験なんかはよくここでやることも多い。


 着くと、既に他のクラスの人間は来ていて、試験を始めている。


 剣術クラスは剣術を、魔術クラスは魔術を、複合クラスは両方を。そのため、複合の方は少しだけテストの難易度が下がっている。


 剣術のテストは試験官一人に対して、生徒が複数で手合わせする。剣術なら三人、複合なら五人。


 魔術のテストは遠くの的をに魔法を当てること。複合の方は少しだけ距離が近い。


 丁度、アランの出番らしい。周りの人は正直頼りない体格だ。それはアランも一緒と言えばそうなのだが。


「フッ!隠れていろ。君らのような平民を守るのが貴族の役目だからね」


 一人だけキザな奴がいた。サラサラな金髪を右手で持ち上げ払う。


 少し高そうな剣を両手に持ち、戦闘態勢になる。そのまま声を上げながら試験官に突っ込んで行くが、その攻撃は薄皮一枚にすら届かない。


「中々、やるじゃあないか。少し本気を…」


「試験官さん。剣はしっかりしたものを選んだ方がいいですよ?」


 意気揚々な貴族の隣を通り過ぎながら、アランは告げる。


 貴族同様、突っ込んで行くが攻撃の重みが違う。一撃一撃、剣を交えるだけで微かにミシッと音がなっている。


「あと一撃ね」


 私が呟くと同時に最後の一撃が真横から振られ、試験官は両手で剣を支えるようにして、受け止める。


 剣と剣がぶつかると共にバキッと音が鳴り、試験官の剣が折れた。そのままアランの剣は試験官の首で寸止めされる。


「そこまでっ!」


 そこでテストはアランのテストは終わるが貴族の方は何やら不満そうで次の瞬間にはアランに突っかかっていた。


「そこのお前。何故、この俺を置いて試験官と戦っている!俺が戦っていただろう!大体、剣が折れるなんてあり得ないだろう」


「それはそっちの連撃が良かったんじゃあないか?」


「ふむ、そういうこともあるか…。うん、そうだな、俺の連撃が良かったわけだ。つまり、俺の攻撃のお陰で試験官を倒せたわけであって…」


 既にアランはその貴族の視界から逃れ、私のところまで来ていた。


「ちょ、ちょっとやりすぎたかなぁ?」


「そんなことはないでしょ?まぁ、変な奴に目を付けられたかもだけど」


「ま、まぁいいや。ア、アナも頑張ってね」


「まぁ、任せておきなさい。すぐに終わらせてくるわよ」


 そうこうしているうちに私の番が来ていた。最初は魔法だ。約二十メートルほど先の的を狙う。


「そうね…。『雷よ』」


 ただそれだけで指の先からビリビリとした雷が生まれる。


「バーン」


 指を銃の形にして、一直線に放電する。


 しっかりと当たっていることを確認し、そのまま剣術の試験になる。


 周りは、完全に貴族ばかりでお互いに牽制をしあっている。


「早くしなさいよ」


 ついついそう呟いてしまう。


「なんだと?そんなことを言うんだったら、お前からやれよ」


「その通りだ。早くしろよ」


 聞こえないように呟いたつもりだったのに聞こえてしまっていたらしい。


「仕方ないわね」


 剣箱から適当に一本抜き、スタスタと歩いて試験官の前まで歩いていく。


「何のつもりだ?」


「一応、忠告しておこうと思って」


「…何をだ?」


「私は右から一回だけ仕掛けるわ。それを止めればあなたの勝ち。止められなければ、私の勝ち」


「ふざけやがって。やってみろよ」


「んじゃ、三秒後に仕掛けるわ。三」


 剣を握り直す。


「二」


 試験官は私の剣を、私を見つめなおす。


「一」


 私も試験官を見つめなおす。


「ゼロ」


 瞬間に私の剣は試験官の首にへと突きつけられている。


「は、速すぎる」


「私の勝ちね」


 一言それだけ言うと、貴族の方を振り向いてお先にとばかりに手を振る。


「さて、終わったら帰って良いはずだったわね。んじゃ、帰りましょうか、アラン」


 アランのところまで行き、面倒事に巻き込まれないために急いで試験会場を出ようと広場を出る。


 門まで行くと、アランのときの貴族が待ち伏せしていた。


「見つけたぞ」


「見つかっちゃったわね。アラン、やっぱ面倒くさい奴よ」


「そ、そんなこと言ったら可哀想だよ」


「ヒソヒソするな!お前ら、俺が誰だか知らないんだろう?知らないからそんな態度が取れるんだ。いいか、俺はなぁ…」


「行きましょ」


 長々と自己紹介しそうだったので私はアランの手を引っ張り、その場を去ろうとする。


「ま、待て。何勝手に帰ろうとしてるんだ。人の名を聞いておいて、名乗らないつもりか!」


「この子はアランよ」


 私が勝手にアランの名前を紹介し、踵は…返せなかった。


「お前もだ、女。名を名乗れ」


「…アナよ。もういいわね」


 改めて踵を返して、歩いて行くと


「覚えてろよ。俺は、負けてなんかいないんだからなぁ」


 結構離れたところまで聞こえていたので私はこう思わざるを得なかった。


「また、厄介な人に出会っちゃったわね」


 学園でのことを想像すると頭が痛くなり始めた。

銃はあります。魔法銃ではありますが。

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