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庭にて

次も明後日くらいを予定してます。それと今まで剣術、魔術、総合としていましたが、総合を複合にいたしました。

 家の庭は一対一で戦う分には十分な大きさがある。昔のボーナスだったかでこの家を一括で買ったらしいが庭は特に拘ってたらしい。


「よーし、んじゃ模擬戦を始めるか。立ち会いは俺。武器は木剣と木の丸盾、魔法の使用は禁ずる。後は武器はもちろん寸止めな?まともに入りゃ怪我しちまう」


 魔法が無しなのはとても痛いけど、神としては敗北はしたくないのよね。


「よーい始め!」


 アランは相変わらず戸惑っている様子だったが父の始めの合図で人が変わったかのように戸惑いの色が消えた。


 私は剣と盾だが、アランは剣のみで最初はどちらも隙を見せないようににらみ合うだけだった。


 沈黙を破ったのはアランだった。


「先ずは準備運動からだぁ!」


 さっきまでのアランとは思えない声と共にアランが駆け出す。


「性格が変わるタイプね」


 それに速い。正直なところ舐めていた。もちろん対応出来ない訳はない。


 初手は右上からの振り下ろし、続いて切り上げる所までを読み、その動き通りに剣を合わせる。


 そのまま一歩引いたアランは剣での鋭い突きを放つ。その突きは初撃をはるかに上回るスピードで、咄嗟の判断で最小限の首の動きで回避する。


 ピュッと風を切る音と共に私の頰には紅い線が作られる。


「アラン、やり過ぎだ」


 リュイも戦いを前にすると性格が変わるのか口調が荒々しくなっている。


「大丈夫だよ、父さん。この子、強いからね。下手をしたら父さんよりも…。全力でやらない方が失礼ってもんでしょ?」


 少しばかり過大評価な気もするが、こちらも遠慮なく戦った方が良さそうだ。


 改めて右手の木剣を握り直し、


「ほら、本番だ!」


 アランの興奮した声で応酬が始まる。


 多くの攻撃を剣で流しながら、強めの攻撃は盾で受け流す。攻撃はさらに鋭く、速くなる。


 そんな時、私に異常が起こる。


「痛っ!」


 左腕の違和感と共に痛みを感じた。


「隙ありぃ!」


 生まれた大きな隙を突く強さ。それも使えない左腕の方から攻めて来るという戦略的な強さ。確かにアランは強かった。


「でも、負けてあげない」


 左で持つ盾を離し、右足に力を入れて剣に向かい跳躍。高跳びと同じ原理で剣すれすれを通り、アランの背後へと回ると首元に剣を突きつける。


「はい、そこまで。勝者はアナだな」


 見ると、アランは既に臆病な方に戻っているが初めて会った時のようではない。面白いことに父親のリュイの足にしがみついてはいるが。


「とても強かった。また、戦いたい」


 相変わらずではあるが、認めては貰えたよう。


「いや〜、強かったです。僕も戦いたくなるくらいには血が騒ぎましたよ」


 リュイもすっかり丁寧な物腰へと戻っている。


「あぁ、そうだ。アナさん、うちの子に勉強を教えてやってくれないか?剣技はこの通り、大丈夫だと思うんだけど筆記は自信が無くてね。それでもなんとかはなりそうだけど、可能性は上げておきたいからね」


「おう、教えてやれよアナ。ライバルがいるってのは良いことだ。サボってるとすぐ抜かれちまうからな」


「分かりました。私に出来る範囲ででしたら」


「そういうことですので、都合のいい日にこちらに来ますのでお願いします」


「ところで、アナ。腕は大丈夫か?」


 戦いの途中に痛みを感じた左腕。リュイもアランも心配そうにこちらを見ている。


「多分、大丈夫だと思います。今はこの通りなので」


 私は左腕をくるくると回した後、手を握ったり開いたりしてみせた。


「まぁ、大丈夫ならいいが気をつけておけよ」


 そんな私に安心したのかリュイもアランも心配そうな顔を消し、帰っていった。


 こうして、私は良きライバルを獲得したのだった。

花粉がつらいですね。皆さまも頑張って下さい

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