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月日は流れ、七歳へ

明日の九時くらいにも更新できたらな、と。

 月日は流れ、世間的に物心がつく頃には既に私は行動を始め、年齢でいう七歳になった。


「流石にキツかったわね、あれは。拷問だわ」


 動いても不思議ではないようになった私は情報をかき集めた。天では何が起きて、地上では何が起きたのか。あれから何年経ったのか。情勢はどうなのか。諸々だ。


 私が天界から降りてきてからの時差はないが覇権は殆ど取られたと言って良さそうだ。私たち神が地上に降りてくることは中々ないことではあるが敵陣営の方は結構な頻度で降臨しているらしい。


 状況をおさらいすると、十二神である私たちの中で仲間と言えるのはアルテミスとヘスティア、ヘルメスだった。しかし、ヘルメスにはまんまと嵌められた。


 この地上でもその陣営は変わらなかったが、ヘルメスはまだ裏切っていないらしい。


 そして、アルテミスと私は現界が出来ないから戦力が足りていない。ヘスティアも戦闘能力はそこまで高くない。


 そこで、戦争は始まった。


 とは言っても形ばかりの戦争であってまだ衝突をしているわけではないのが救いか。まぁ、距離もあるからそうなるのは当たり前といえば当たり前だが。


 それに誰もが誰しも戦争を好き好んでやるわけじゃない。反対派もいるわけだから、中々進展はしていない。


「母さま。少し森の方へ行ってきます」


「また行くの?気をつけて行きなさいね」


 正直な話、ステータスなんかはあまり落ちていなかった。もちろんバレないように隠蔽スキルで自分のステータスは下げてはいるが母さまや父さまには実力の片鱗を見せてしまっている。そして、口外をしないようにとも言ってある。


「さて、今日はどこまでいけるかしら」


 装備は弓矢と短剣。


 ステータスは落ちていないが魔法は神の身体じゃないからなのかは知らないが上手く扱えなかった。初級魔法程度ならどうにかなるけれど。


 森の方では魔物は出ない。もちろん、野生動物はいるので狩って食卓に貢献にする予定。


「結構美味しいのよね。あの鳥ってなんて名前だっけ?身がぷりぷりしてるやつ」


 この前飛んでる鳥を撃ち落としたら中々に美味しく、また食べて見たいと思いながら私は森へと入る。


「うーん、このキノコは…ダメね。確か毒が強かったはず」


 途中でキノコや薬草を見つけては記憶を引きづり出す。地上に降りてからの日課になってきており、意外と楽しい。


「さてとそろそろ動物を少し頂いて帰りましょうか」


 あまり遅くまでいると心配をさせてしまう。朝から夕方までいたら、流石に怒られたのは記憶に新しい。


「あれね!」


 少しだけ例の鳥を見つけた興奮で声が上擦る。


 すぐに息を整え、弓に矢をつがえ放つ。


「風よ」


 さらに風を操ることで速さを上げる。そして、それは見事に鳥を捉えた。


 本来は血抜きなんかするんだろうけど私はそんなのは知らない。天界から冒険者を見ていて何かしてるなぁ、程度の認識でしかなかったから。正直なところ、後悔しているけれど。


「こういうのはアルテミスが専門なのよね」


 狩猟の神であるアルテミスは圧倒的に神々の中で狩猟が得意で神の狩猟大会なんかは殿堂入りだった。


「うぅん。これ以上は暗い気持ちになりそう。やめときましょ」


 結局、今日の収穫は鳥一匹とキノコ、薬草を少しってところだった。


 帰ると母は夕飯の準備をしていた。


「ただいま帰りました、母さま。また鳥を捕まえたけれどどうすればいいですか?」


「あぁ、ありがとう!これでまた少し食事が豪華になるわね」


「父さまは?」


「多分そろそろ帰ってくるんじゃないかしら?」


「ただいま〜。おうアナ、また森行ったのか?元気なのは良いことだな」


 この通り、両親は私のやることに対し、滅多なことでは怒らない。中々良いところに産まれたとは思う。


 ちなみに母は専業主婦。一応昔は職に就いてたらしいが結婚してからは辞めたらしい。父はこう見えてもこのアテナ皇国の軍隊の一隊長を担っているらしい。


「俺は人望と運が良かっただけだけどな」


 本人はそういうが実際に腕は確かだった。


「はいはい。ご飯にしましょ?アナもあなたも手を洗ってきて」


 手を洗えば立派な食事が食卓に並ぶ。残念ながら今日捕ってきた鳥は後日に並ぶことになるため、今回はお預けだ。


「「「いただきます」」」


 私たち三人が同時に食事の挨拶をし、好きな料理から食べ進めていく。


「それにしても、アナは賢い子だな。こんな歳から森で狩猟が出来るなんて」


「そうね、そういうところはあなたに似たんでしょうね」


 貴族なんかは既に武術や剣術、体術に学業をなどを学んでいるのだろうが私の家を含め、平民の家ではそんな高等教育は受けられない。精々、家にある魔道書か両親から学ぶ。それか森で実地訓練をするくらい。


「父さま、母さま。突然ではありますけど…私を学園に入学させていただきませんか?」


 大体国には一つから三つほど学園と呼ばれる教育機関が存在する。貴族や金持ちが入学し、顔を広げたり、学を身につけるためにある。もちろん、平民でも入れることには入れるが試験は中々難しく、貴族は裏口入学も少なくない中で入るのは厳しいところではある。


「…俺は賛成するぜ?大体うちの子は俺たちに似て優秀だ。アナが何も言わなきゃ、俺が言ってたかもしれない」


「そうね…。応援する。少し寂しくなるけど

 あと半年はあるものね。ねぇ?あなた、アナに弟か妹でも作りましょうか?」


「そうだなぁ、アナに会わせるのは大分遠くなっちまいそうだが有りかもしれねぇな」


 学園の話をするだけで子作りの話になってしまった。まぁ、こういう親だというのは分かってきてたし問題はないのだけれど。


「確か、俺の部隊の奴の子供も入学するかも知れねぇとか言ってたから何とかなるだろ?大体落ちるなんて考えられねぇしな」


 謎の信頼だが、落ちることはそうそうないだろうとは自分でも思う。


「ごちそうさまでした」


 一足先にご飯を完食し、皿を片付ける。


「あぁ、アナ?何か欲しい物があったらいつでも言えよ?遠慮なんて勿体無いことしないで」


 裏切られている私にとって、この優しさは心地よくて何よりも大切だった。

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