人の子へと転生したらしい
プロローグより、この物語はオリュンポス神話からから名前は頂いていますが神話通りではない所も多いです。
あと、明日の九時にも更新予定です。
「なんとか地上に現界することができたかしら?」
私は早速行動を起こそうとするが身体は思うように動いてくれない。
いや、先の言葉も聞こえなかった。
「何かがおかしい?」
視界も低い。しかし、そんな視界に入ってきたのは二人の男女だった。
「あら?起きたのね。随分とねぼすけさんですね〜。誰に似たのかしら?」
「なんだよ!俺に似たってか?君だって結構寝るの大好きじゃないか」
「別にあなたなんて一言も言ってません」
この仲睦まじい姿を見ると夫婦に違いなく、そうなると私は…
「人の子に転生してしまったらしいわね」
冷静に事態を捉えていくとそういうことになるのだろう。
「それにしても赤ちゃんにしては随分と大人しい子よね」
「あぁ、そうだな。まぁ、俺に似て冷静沈着な子になるんだろうよ」
「なぁに言ってるの!あんなに産まれた時に取り乱してたくせに〜」
あははと互いに笑い合う二人を見ていると随分と仲がいいのだなと思う。
ところで私の名前はなんなのだろうか?そして、ここはどこでこの家族はどの神を信仰しているのか。
「それにしてもめでたいよなぁ。まさかアテナ様の加護が高まる知月に産まれるなんてよ。これは運命だと思っちまったもんな」
「そうね。だから貴女の名前はアナよ。アテナ様から貰ったの。だからと言ってアテナ様みたいになれっていうわけじゃあないのよ?」
「いいさ。そこらへんでアナはまだ小さい。物心つくくらいに教えてやれば」
それもそうね。と会話は終わる。
「しかし、なぜ上手く現界できなかったのかしら?これじゃあいつらを野放しにしてしまうだけだわ」
なんとかならないものか。と思案するがいい案はなかなか出てこない。
「あぁ、そうそう。ご飯の時間だったわね。さぁてアナ。たっぷり飲んで元気になりなさい」
思案している間に母に当たる方がそんなことを言いはじめた。
「これはマズイ」
そうして私の意識は何処かへと消えた。
一応、「生まれて早々に意識持つわけないだろ」という意見に関しましては『神ですから』としか言いようがございません。