サボリ
短いのにも関わらず、全然書けなくて申し訳ないです
「んで、何のようだ?私も暇じゃないからな?手短に済ませろよ?」
「流石ですね。分かる人には分かる程度までは気配を絶ったんですけど…」
「そりゃあ、分かる人に分かるんだったら分かんだろ?冷やかしなら、分かってんだろうな?」
分かる人とは言ったが相当の実力者でも分かるか分からないか程度だったのにアッサリとばれ、声を掛けられる。
「では、率直に…。貴方は何者ですか?」
「そんなもん聞くまでもないだろ?私はただの一教師だ。それ以上でもそれ以下でも無いんだよ」
「ただの一教師があんな力を…」
「話は終わりだ。これ以上続けようたって無駄だからな?私は何も話さない」
いくらこれからも時間があるとはいえ、チャンスは中々来ないだろう。そう思った私は力尽くでも聞こうとした。
「やめておけ。今はまだ私には敵わんよ」
戦闘態勢に入った瞬間と共にアルネスは間合いに入り、釘を刺してくる。
「それと、次は入学式だろう?もう移動をしないと間に合わないぞ?…それとだ、アルネス先生と呼べ」
聞いてない。入学式なんてこの教師は一言も言っていない筈だ。
そのことをアルネス…先生に問い質そうとすると、姿は無かった。
クラスに戻ると、既にもぬけの殻だった。恐らくは他のクラスの教師にでも言われてたのだろう。
急いで入学式の行われる体育館へと行ってみると、入学式は進行中だった。
「もう始まってるとはね」
扉から様子を伺うように見ると丁度、校長らしき人が話している。
「まぁ、いいわ。どうせ退屈なイベントだもの。手始めに図書室でも行くとしましょう」
この学園の図書室の蔵書量は世界を見ても多いと言える。一応は知恵の女神とも言われている私の都市だもの。
勿論、一番の蔵書量はこの世界の中心にある中央都市にある中央図書館だが、そのままの名前だと馬鹿にはできない。
別名『本の迷宮』と呼ばれるほどに本が多い。本だけを保管しておくわけではないが、あまりの多さから、ここで分からないことはないとも言われる。
一地方都市の学園が敵うはずもない。それでも私の知りたい資料はここにあるはず。
「何かお探しかしら?」
丁度入り口の近くにあるカウンターから声がかかる。
「まぁ、そうね。そのために図書室まで来たんだもの」
「じゃあ、題名、内容、挿絵、作者。なんでも良いわ。もっと大雑把でも良いくらい。どんな本をお探し?」
緑がかった白の髪を持つメガネの女性はカウンターで本を読みながらそう言ってくる。
「それじゃあ、ここ数年の歴史書が欲しいのだけど」
「えぇ、ありますわ。魔法書の方でいいかしら?」
と言いながら、一冊の本を渡してくる。
「ありがとう。魔法書の方で合ってるわ」
魔法書というのは魔法で書かれた本のことで、簡単に言えば、本の内容を映像として記録してあるものだ。
そのため、本自体はそこまで厚くなく、持ち運びも便利なわけである。
「とは言っても、書き換えられる可能性もある上に、ノイズが入ることもあるのよね」
手頃なテーブルに着き、本を開く。
中身は白紙で自分の望む場所を再現してくれる。
「誤差も併せて十年、って所かしら」
年齢プラス数年。おおよそ、これくらいであれば間違いはないだろう。
ハッキリと言うと、何も起きていなかった。
それも不自然なくらいに。
正直なところ、あいつらの目的も何も分かってないから、どうなってないとおかしいとは言えないが、あまりにも起きなさすぎる。
少なくとも十二神いるうちの二神が脱落したわけだから、何か動きが無ければ私たちを嵌めた理由が分からない。
それこそ、神が自分の陣営に降臨する頻度が増えたくらいだ。
余程の情報規制でもしなければこんなことにはなるまい。
若しくは神が一人で進めているか。
「何か探していることは見つかったかしら?」
「えぇ、まぁ」
「それは良かったわ。私はこの図書室に基本的にいるの。人が中々来ないもんだから、ついつい珍しくてね。それに、今は入学式じゃない?あ、あぁ、別に報告する訳ではないから安心していいわ」
「そうですか。私もこの広い中から目当ての本を探すのは骨が折れそうなので貴方みたいな人がいると助かります。今日の所は帰ります」
目の前の女性が人なのかはよく分からないが
かなり本に詳しいようだ。
そう思いながら、私は図書室を後にしようと背を向ける。
「あぁ、お名前はなんて言うの?私はルフとでも呼んで頂戴」
「…私はアナよ。宜しくね」