戦争の真意と理不尽の連続
20時、冒険者隊の状況は壊滅的だった。
時はさかのぼり、19時。冒険者隊は、敵がいつ来ても大丈夫な様、態勢を整えていた。内容は隊長の土魔法で等間隔に小さい穴が開いた壁を作り、その中から、魔法使いが攻撃する作戦になっている。他の剣士や戦士達は魔法使いの横や後ろを守っている。悪くない作戦だと思う。大事なのは、相手の兵力を減らす事じゃなくて、時間を稼ぐ事だ。これなら、上手く行けば、2時間から3時間は持ちこたえる事が出来るだろう。ただ、やっぱり相手の兵力は少なく見積もっても、6、7千はいるだろうから、かなりの消耗戦になると思うのが気になるな。まぁ最悪エクスカリバー使えば大丈夫だろう。あんま使いたくないけど。さて、もうそろそろかな。お、偵察の人が帰ってきたな。
「で 伝令!敵軍が進攻して来ました。敵軍の兵力は5万程と思われます」
「な、5万だと!見間違えたのではないのか?と聞くのは無意味の様だな」
おぉ~隊長落ち着いているな。これは期待してよさそうだ。しかし、それに比べて、他の奴等は
「うわ~!5万の軍が来るぞ逃げろ~」
とか、
「死ぬのは嫌だ、死ぬのは嫌だ~!」
とか叫びまくって、皆、我先にと逃げ出している。はぁ~くそばっかだな。戦争で死ぬかもしれないのは当たり前の事だろうが。それを嫌だって言うなら戦争来んなよ。隊長も可哀想だな。
結果逃げ出していないのは、約2500人中500人。しかも、その内400名程は頭が付いて行ってなかったり、皆が逃げ出そうとした時、足を怪我したりした人で実際は100名程しかいない。
こんな時に5万の軍勢が来たのだ。そりゃあ壊滅するだろうさ。しかし、逃げ出した奴も皆死んでいるだろう。俺は、この戦争の本当の目的が分かった。目的は冒険者の数を減らす事が目的だろう。実は、俺は貰っていないが、冒険者には国から援助金が出る。だが、国の財政がきつくなった為、冒険者の数を減らし必要な援助金を減らそうとしているのだろう。一見普通に援助金を払わない様にしたら良い様に見えるが、ようすると、冒険者達による暴動もしかしたら、反乱が起きるかもしれない為、こうしたのだろう。
恐らく、逃げ出そうとしている冒険者を仕留めている筈だ。
しっかしこの状況どうしよっか、このままじゃ負け確定だもんな。しゃーない、いっちょやりますか。
「レイド、味方に悪影響が出なかったら何しても良いから、敵倒せ」
「分かりました。でも、私は味方の防御に努めますので、倒すのはお願いします」
「分かった、ちゃんと守っとけよ。まずは、壁の内側の敵を倒すか。
大地よ 弾丸となり 神風の力を得 我が敵を仕留めよ『ヴァースブレット』
これが複合呪文だ、複数の属性えお同時に行使し、魔法にする事だ。難しいが、その分威力などは桁違いの強さを誇る。これで、壁の内側にいた敵は全員倒したな。後は壁の向こう側にいる敵だけだがどうしようか。う~ん良し、あれで行こう。
「業火の雨よ 降り注げ!
津波よ 全てを薙ぎ倒せ!
極寒の吹雪よ吹き荒れろ!
暴風よ 暴れ吹け!
轟音よ 鳴り響け!
大地よ 揺れ荒れろ!『|ナチュラルディサスター《天変地異》』
俺がやった魔法はやばいぐらい、強かった。状況がカオスでよく分からないけど、相手がどんどん死んでいった。味方まで影響を受けたようで、レイド以外全員失神した様だ。地面が原型保ってないし、どうしようか。
こうして、コウタは一つ災いを取り除いたのだった。しかし、まだ災いは終わらない。
天変地異の威力は本気でやったら、四国がぶっ潰れるぐらいです。