第六話 新しい仲間
「いろいろ考えているんだなぁ。」
僕は赤髪の美少女に対して、そう思っていた頃、となりから声がした。
「おもしろそうな話をしているな!オレもいれてくれよ!!」
と、活発そうな男子が、話しかけてきた。
その少年は、声も大きく、いかにもな男子高校生だった。
「君は??」
僕は素直に、その少年に訊ねた。
「オレは久江里明日空。アスクと呼んでくれ。」
「わかった。僕は椎井瑠玖。ルクって呼んで。」
僕ら男子二人は、お互いに自己紹介をした。
いきなり、友達が二人も出来て、高校生活も面白くなりそうな予感がしてきた。
「ちょっと私も入れなさいよ!!」
赤髪の美少女蘭子も、割り込んできた。
「すまんすまん、オレはアクスだ。君は?」
「玲栖蘭子よ!蘭子でいいわ!」
「わかった蘭子。よろしくたのむわ。」
蘭子と明日空の簡単な自己紹介が終わった。
そのとき、僕はずっと気になっていたことを口にした。
「君は、体を鍛えていてるの?」
僕は気になって、聞いてみた。
蘭子は不思議そうな顔でこちらを見ている。
「なんでわかった?ルク。それはお前の能力か」
「そうだよ。僕は力が見えるんだ。床にかかってる力が、普通の人より大分掛かっている。かなり重いものを持っているんじゃないのかい?」
明日空の推理に対して、能力を使って説明をした。
「へえ、よく分かったな!!そうなんだよ」
と、明日空は、腕をまくって、リストバンドを見せてくれた。
「これな!かなりの重さがあるんだ。」
「すごい、漫画みたいね」
「あの漫画な!憧れてつけてるんだ。」
とある漫画のことだが、タイトルを言わないのが二人らしい。
「いきなり、能力をばらしちゃっていいのか。この学校では能力を使ってバトルするんだろ?」
「いいよ、君はなんとなく信用できそうだし」
「ふははは、そうか。じゃあ。こっちも種明かしするか。いま聞いたのは、実は嘘をついてないことがわかっていたんだ」
と、明日空も能力を説明してくれた。すでに能力を使って僕らとコミュニケーションしていたらしい。
「へえ、嘘を見抜く能力なの?」
「いやいや、違う違う。オレは耳がいい。」
「耳が良いと嘘がわかるの?」
素直な疑問を口にした。耳?嘘?素直に結びつかなかった。
「使い方によるわね。心音を聞いていたんじゃないかしら」
「へえ、流石だな。すぐわかるんだな。」
「たいしたことないわ」
そう言った赤髪の少女は、嬉しさを隠せていなかった。
「そう、オレの能力は、聴覚。目に見える範囲の音であればだいたい聞こえる。」
「変わった能力だなー。それ、ただの聴覚強化じゃないね。」
「つまり、視覚聴覚変換能力ね。」
蘭子は難しい言葉で説明した。
「オマエラほんとすごいな。なんで一瞬でわかるんだよ。」
「たぶん、映像が発するであろう音を予測して音として捉えているんだ。微細な動きを捉えているんだろう。」
「そうね、ただ実際には、耳も多分普通の人よりはいいはずよ。他の人に聞こえない音が聞こえるから、そう発達したんだわ」
蘭子は仮説を説明した。
「オマエラ、オレより詳しいじゃねーか!!」
その少年は笑い。僕らも笑った。




