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第五話 コアコンピタンス

「お金の概念はなんとなく分かったけど、じゃあなにをやる?」

と僕は、赤髪の美少女蘭子に聞いた。

長い間、お金についての議論をしていた。

蘭子のお金に対する気持ちとビジネスに対する気持ちが分かって、なんとなん楽しそうだな、と僕もワクワクし始めていた。


「うーん、具体的にはなにも決まってないのよね」

「あ、そうなの?これだけの熱量があるのに?」

これだけの熱量があれば、やりたいことは具体的に決まっていて、メンバーを探しているのかと思ったのだけど、そういうことではないらしい。

これは意外だったのだけど、なにか考えがあるのかもしれない。


「もちろんやりたいことはいくつかあるんだけど。ビジネスってマーケットとコアコンピタンスが大事だから」

「え、なにそれ。」

新しい概念が登場した。やりたいことだけやっていればいいわけじゃないらしい。ちゃんと考えているっぽい。


「マーケットというのは、つまり需要ね。人が欲しくないものを作っても仕方がない。欲しいものをきちんと作る。」

「ああ、なるほど。それをマーケットというのか、なんだか難しいね」

「すぐ慣れるわ」

あくまで、ビジネスは欲しいものをきちんと作ることなんだという事を説明してくれた。これはいままで話していたマナーの話につながってくるところだろう。

ちゃんと欲しいものを作る。赤髪の美少女蘭子はここは一貫していた。


「コウコンピっていうのは?」

「コアコンピタンス。つまりそのチームの売りね。ほかのチームにはないもの。強み。」

難しい単語が登場したが、噛み砕いて、蘭子は教えてくれた。意外やさしいのだった。


「ああ、つまり、自分達の強みが生きて、お客さんがたくさんいる、ビジネスをやらないといいけないということかぁ」

「そうそう、なんだ、あなた頭いいんじゃない。」

なんとか整理した。とにかくビジネスで難しいのは、お客さんの思考と自分達の思考を同時に考えないといけないことなんだな、と思い始めていた。どちらか片方だけだと、偏ったものになってしまう。お客さんのことだけ考えすぎてしまうと、売れば売るほど赤字になるようなものを考えてしまうし、売る側のことばかり考えると、むりやり売りつけるような発想になってしまう。


「つまり、次にやることは、仲間を探すことか。」

「そういうこと」


「こういう能力が必要だ、みたいなのはある?」

「うーん、そういう探し方する人もいるんでしょうけど、一緒にやりたい人を探す方がいいと思う。楽しくやれる方が重要だわ」

この発言は少し、意外だった。

発言としては納得できるが、お金に対する情熱から考えると、もっとごわりそうだなと感じたからだ。


「全体最適ってこと?」

「そうそう、難しい言葉を知っているわね。コアメンバーは、能力よりも一緒にやりたいかどうかが重要になってくると思うわ」


「いろいろ考えているんだなぁ。」

僕はその美少女に対してそう思った。

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