第二話 バトルの方法
「面白いわね。あなた私のチームに入りなさい」
その赤髪の情熱あふれる少女はそう言った。
「え?」僕は疑問の言葉を返すので精一杯だった。
突然の彼女の言葉に、僕は戸惑いを隠せなかった。
この学校はチームで何かをやるのが主流なのだろうか。
わからないことは素直に聞いてしまったほうがいい。
そう思い至ったがその前に聞かなきゃいけないことがある。
「チームについて気になるんだけど、その前に聞いてもいいかな、君の名前は?僕は椎井瑠玖です。よろしく」
「玲栖蘭子よ蘭子でいいわ。」
玲栖蘭子。変わった苗字だな、と思ったが彼女らしくていい名前かもしれない。
「いい名前だね」
「ありがとう」
褒められたら素直に返す蘭子。高圧的な態度ではあるが育ちはいいのかもしれない。
「チームってなに??」
「あなた、知らないの?学校のこと調べていたんじゃなかったの??」
僕の素直な言葉に、彼女はますますテンションが上がる。
彼女のこの学校に対する、熱量は賞賛するべきものだな、と思う。僕はここまでのモチベーションはなかった。
われわれ能力持ちは、いろいろなトラブルに巻き込まれることがあるから、そういうトラブルが、このモチベーションにつながっている可能性がある。
この学校はそういうトラブルの元になる能力を正しく使い、社会に還元できるように作られた学校なのだ。
「なんとなくしか。」
「勉強不足ね!しかたがないわ私が教えて上げるわ。」
能力を社会に還元できる学校、ということしかわかっていなかった僕は、素直にこの美少女のいうことを聞くことにしていた。
「あ、おねがいします。」
なんとなく、彼女の高圧的な態度は落ちなかったけれども、美少女の口から出てくるなら、まあいいかな、と思いはじめていたし、話の流れを遮るよりは続きを聞きたかったので僕はお願いした。
「この学校は、生徒の能力の使い方を発展させる場なのよ。みんなの能力を使ってそれぞれに勝負して、育成していく。それが第一高校なのよ」
短く美しい赤い髪の少女はそう言った。
「勝負っていったって?このご時世に殴りあうわけじやないよね」
バトルの内容が具体的に思いつかないので、僕は質問した。
「当たり前じゃない!!超能力で殴りあうなんて、前時代的考え方だわ。しかも小説とかフィクションの世界の話よ!この全録画時代に暴力なんてありえないわ。だいたい物理的な能力なら、武器を使ったほうが便利だわ。」
「じゃあ、なにをやるの??」
超能力を使ったバトル、それも殴り合いでないとすると一体なんだろう。特別なスポーツとかだろうか。
「もちろん、知能戦よ!」
「知能戦!?」
誇らしげな蘭子に対して、ぼんやりしている僕はわからなかった単語をそのままオウム返しにしてしまった。
「現代の知能戦といえば、ビジネス。この学校では、能力者がチームをくんで、ビジネスで戦うのよ!」




