初恋24
【朝風校長宅の廊下】
〈電話をする涼子〉
「あ、もしもし~翔君?明日の朝、ちょっと頼みたい事が有るんだけど…」
【打吹公園】
〈4月8日早朝〉
「うーん…ここもいけん(ダメ)か…」
【羽衣池付近】
「ここも、まんだ(まだ)だわい」
【公園の奥】
「まんだ(まだ)咲いとりゃーしぇんなあ」
【階段の近く】
「あ…」
〈大きな木を下から見上げる翔〉
「咲いとる、咲いとる、咲いとるがな!」
〈慌てて電話をかける〉
「もしもし、涼ちゃんか?咲いとっじぇ!」
【香の部屋】
「香、早く支度しなさい」
「午後の電車だから」
「そうじゃなくて、打吹公園に行くのよ。桜、咲いてるって!」
「え?」
「早く、鐘城先生に連絡して!」
【響の宿舎の庭】
「コッコッコッ」
「暖かくなって来たから、外に出ような」
「コケー」
コッコちゃんは、冬の間は土間に入れていたけど、そろそろ外の小屋に移す事にしよう。
【部屋】
〈テーブルの上に携帯が置いて有る〉
「マエストロ、ブラシするわよー」
「ニャー」
「ニャー%#☆」
「シロもねー」
〈携帯の通知音が鳴る〉
「響、メール来てるわよー」
【朝風校長宅前】
〈タクシーに乗り込む香〉
来てくれるかしら…?
【響の宿舎の庭】
寝藁も敷いたし、大丈夫だな。
【部屋】
〈携帯のメールを見る響〉
香からだ。
今日、横浜に行くんだよな。
「打吹公園の桜が咲きました羽衣池で待ってます」
「咲いたのか?」
「約束してたんでしょう?早く行ってあげて!」
【打吹公園の羽衣池】
メール…見てくれたかしら?
午後の電車に乗らないといけないの。
早く来て。
【公園の入り口付近】
羽衣池に居るって言ったよな。
〈走る響〉
【羽衣池】
どこだ?
〈池の周りを探す〉
こっちか?
〈探して走る〉
【池の畔】
居た。
「香」
「響先生」
「遅くなってごめんな」
「14:25分の電車に乗らないといけないの」
「あまり時間が無いな」
「桜、見に行きましょう」
「うん」
「こっちです」
【階段近く】
「この木」
「どこだ?」
「あそこ」
「ああ、本当だ。咲いてる」
「間に合って良かった」
「精霊が居そうだな」
「桜の精にお願いしてたの。横浜に行くまでに花が咲きますように、って」
「願いを聞いてくれたのか。ギリギリだけどな」
「居た居た」
「お姉ちゃん」
「どう?デートは」
「もう、あまり時間が無いの」
「航空券、取れたじぇ」
〈翔が来る〉
「ありがとねー。フフーン、翔君ね、市役所の職員なのよ。朝から桜探してくれて、羽田行きのチケット手配してくれたの」
「ほんに(本当に)人使いが荒いのぉ。まあ、涼ちゃんの頼みなら断れんけのー」
「ありがとうございます」
「ええわいや」
「16:55分発のバスで鳥取空港まで行って、18:40分発の飛行機に乗るのよ、夜の9時までには横浜に着けるから」
「夜遅くなるのは心配だな。教師として認めるわけにはいかないよ」
「もう、鐘城先生!横浜まで父が迎えに来るから大丈夫よ」
「うーん、それならまあ…」
「それに、いい加減その教師として、って考えやめてよね!教師である前に、1人の男でしょう!」
ドキッ!
そうだった…
僕だって、教師である前に、1人の人間だ。
「じゃあね、時間までデートを楽しむのよ」
【羽衣池】
「来てくれなかったら、ほどき紙しようかと思ってたの」
「ああ、観光案内で見たぞ。僕の事を忘れたい過去にするつもりだったのか?それはひどいなあ」
「だって、そうしないと前に進めないから」
「部活の思い出や、音楽の授業も忘れちゃうのか?それは寂しいよな」
「……」
「……」
「忘れなくても良いですか?ずっと好きでいて良いですか?」
「……」
「……」
「こんなオジサンのどこが良いんだか…」(汗汗)
「全部」
「大学に行けば、同じ年頃の素敵なボーイフレンドが出来るんじゃないか?」
「きっと無理。他の人を好きになるなんて…」
「……」
「お願い、待って…待っていてください。大学を卒業して帰って来るまで待って」
「うーん…今ここで約束しない方が良いと思うんだ」
「……」
「そんな物に縛られないで、2度と無い学生生活を楽しんでほしいから」
「……」
「……」
「わかりました。でも、私がここへ戻って来た時、気持ちが変わっていなかったら」
「お互い今と同じ状態だったら、その時は僕の方から言うよ。付き合ってくれ、って」
「本当ですか?」
「それは約束する」
「じゃあ」
「ゆびきりするか?」
「え?今私もそう言おうと思ったの。同じ事を考えてたのね」
ああ、やっと笑った。
1年生の時、この笑顔を曇らせるような事をしてはいけないと、誓ったんだよな。
「じゃあ、ゆびきりね。嘘ついたら針千本の~ます」
ハイハイ、約束しましたよ。
【池の畔】
それから僕達は、時間まで打吹公園の散歩を楽しんだ。
そして…
【池の通路】
「そろそろ行かないと」
〈響の胸に飛び込む香。泣きながら…〉
「離れるのは嫌」
「……」
「……」
「……」
「メール…しても良いですか?」
「うん」
「電話…も?」
「良いよ」
【中町学園保健室】
〈6年後〉
今日は、新入生の健康診断が有るんだ。
「響先生ソワソワしとんなる」
「ほんに(本当に)だ」
「あ、香先生来なったじぇ」
「はーい、皆んな。始めますよ」
香は、医大を卒業して研修医になって帰って来た。
下町に出来た医院で内科医をしている。
一足先に看護師になった浅田未来も一緒だ。
晶子先生とベテラン看護師の池畑美令さんも。
「響先生。後で桜の木の下で待ってますね」
「はい…」(汗)
【校庭の桜の木の下】
ああ、居るな…
どうしよう?
離れてみてわかったんだ。
僕の中で、彼女の存在がとても大きかったって…
待ってた、ずっと…
彼女が帰って来る日を。
でも、こんなオジサンになった僕を、今も好きでいてくれるのだろうか?
「どうしてそんなに遠くに居るんですか~?」
「君の気持ちを聞くのが怖くてね~」
「またごまかして逃げるつもりですか~?」
はあ、行くか…
「どうして怖いんですか?」
「いやあ…その…もう好きじゃない、って言われたらね…」
「え?そっち?」
「……」
「フフフ」
「……」(汗汗)
「変わってませんよ。私の気持ちは、あの頃のままです。今も先生の事が」
「待った!」
「えー?まだダメなの?」
「そうじゃなくて、僕に先に言わせてほしい」
「……」
「……」
「……」
「君の事が好きだ。ずっと好きだった」
「いつから?」
「初めて会った頃から」
「嘘よ」
「自分の気持ちに気づかないフリしてたんだ。恋愛感情を封印してた」
「……」
「僕と…付き合ってほしい」
「……」
「……」
「はい」
〈香を優しくそっと抱き締める響〉
ーLa Finー
最後までお読みくださってありがとうございました。
本当に、感謝の気持ちで一杯です。
2人は、ツインソウルだと知らなまま物語は幕を下ろしました。
そんなツインソウルも居るはずだからです。
始めは、とにかく田舎の木造校舎の学校を舞台に書きたかったんです。
それが…(^◇^;)
響の「祖母の育った町が近くなんだけど」の一言で鳥取県の関金温泉の近くの架空の町になりました。
田舎町なら方言を書く必要が有るからです。
東京しか知らないので、響のように何を見ても「うわ〜」な作者。
関金弁は、母に聞いて書きました。
これが大変な作業で…(大汗)
とりあえずセリフを書いておいて、隣りの家に行って聞いてみると、直され直され(^^;;
外に出た母を窓から捕まえては聞いて、直し直し(^^;;
そうです。
あの響のお婆ちゃんの川原都子(旧姓田野倉)のモデルは母です(^◇^;)
生きた関金弁辞典。
殆ど本当の事を書いています。
作ったのは、香のひいお爺ちゃんの話しだけ。
武勇伝も本当。
ノベルゲームの方で、駅の絵を使いたかったのて、駅が有る町にしました。
あの辺りは電車が通ってないのに。
どこだ?
関金から倉吉を挟んで海の方かな?
野上卓は、漁師さんになったし。
そんな架空の町奥山町のツインソウルはハッピーエンドでした。
ゲームでは違う未来も見れますので、そちらもぜひ見てくださいね(=^x^=)
この作品をお読みくださった皆様へ、感謝を込めて。
2016.2.1 大輝
(この作品は、他のサイトで発表したものです)




