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『ツインソウル物語3』“初恋”  作者: 大輝
第18章 恋の季節
18/24

初恋18

【池】


春になったら、やっぱり釣りでしょう。


そろそろナマズが釣れるからね〜


「ニャー、ニャー」


響「待ってろよ、釣れたらあげるからな」


この猫、最近シロの所に来ている子だな。


シロも2才になったし、そろそろ避妊をしなければ、と考えていたんだけど…


まあ、1度ぐらいは、可愛い赤ちゃんを産んでもらいたいよな。


後1匹ぐらいなら増えても大丈夫だし、他の子は貰い手を探せは良いしな。


この子は優しい子だから最近はシロも怒らないけど、最初は「シャー!ウー!」って言われてたよな。


猫の恋の主導権を握るのは女の子。


男の子は、気に入ってもらえるまで、ひたすら待つんだ。


無理に追いかけ回したりしない。


シロも最初は「来ないでよ!」って怒ってたけど、最近一緒にご飯を食べたりしてたもんな。


「おっと、釣れた!」


「ニャー」


「チャコ。煮るまで待てないのか?」


「ニャー、ニャー」


「しょうがないな」


茶色の長い毛でモコモコの男の子。


また、まんまなネーミングだけど、チャコにしたんだ。


夜はどこに寝るんだろう?


雪の降る間はどうしてたのかな?


モコモコの毛で温かそうだけど、それでも寒かっただろう。


この子は、家の中には入って来ないからな。


「綺麗な猫ですね」


「休みなのに、何してるんだ?」


「晶子伯母ちゃんの診療所に行って来たんです」


「ニャー」


「チャコちゃん、て言うのね。可愛い」


香の笑顔は、相変わらずキラキラしてるな。


【水車小屋の前】


「じゃあな、気をつけて帰れよ」


「先生…」


「うん?」


「医大は6年間です。研修医になるまで早くても6年かかるんです」


「大変だけど、頑張れよ」


「先生…待って…待っていてくれませんか?」


「あ…えっと…」


頑張って勉強して、留年しないで帰って来るから、だから…


お願い。


待っていて。



「その頃、僕はもうオッサンになってるぞ」


「先生は、オジサンになっても、きっと少年みたいだと思う。だから好きなの」


うわっ、これは、聞かなかった事には出来ないぞ。


どうしよう?


「ま、まあ、大学卒業して、ちゃんと研修医になって帰って来い」


「ニャニ%#☆%☆♪%♪☆」


「あ、シロ。迎えに来てくれたのか?」


た、助かった。


「じゃ、じゃあな」


〈汗汗で逃げる響〉


また、ごまかされちゃった。


先生は、私の事どう思ってるのかしら?


先生の気持ちが知りたい。


怖いけど…


【響の宿舎】


はあ、シロのおかげで助かったけど…


いつまでも、ごまかしてるわけにもいかないかな?


だいたい、僕は香の事をどう思ってるんだろう?


いや、その答えは今出さない方が良いな。


彼女が卒業するまでは、考えないようにしよう。


【香の部屋】


「今日は、ちゃんと聞いてたのよね?」


「うん」


「そりゃあ、完全に恋愛感情を封印してるわね」


「相手にされてないのね、私」


「まあさ、教師と生徒の関係じゃなくなれば良いわけよね。もう少しじゃない」


「でも、そしたら会えなくなっちゃう」


「そうかあ…」


【カラオケ】


やっぱりストレス解消にはカラオケよねー。


一本木先生は、相変わらず演歌を熱唱してるけど。


「璃子ちゃん」


「はい?」


「俺と付き合ってくれ!」


「良いわよ。次はどこ行く?」


「そうじゃなくて…」


「もう、奥山町は、殆ど知らない所は無いし…」


「俺が言ってるのは、そういう意味じゃなくて、交際してくれって事だよ。付き合ってくれ!」


「そんなに怖い顔して言う事?」


しかも、マイクを通して。


うーん、困ったわね…。


そう面と向かって言われると、もう気楽に遊びに行けなくなっちゃう。


「男の人は、お友達っていうのはダメなの?」


「俺は、始めから好きだった」



「ごめんなさい…」


「いや…良いんだ…わかってた。わかってたけど、言わずにいられなかったんだ」


「明日から学校で普通に出来る?」


「ああ、普通にする」


「気まずいのは嫌よ」


「わかった」


【学校の階段】


さーて、授業だ。


何ドキドキしてるんだ?


しっかりしろよ。


昨日の事は忘れるんだ。


今は…


僕は教師。


さあ、行くぞ!


【音楽室】


「今日は、シューベルトのアヴェ・マリアを、1人ずつ順番に歌ってもらいます。浅田未来から」


「はい」


浅田は、メゾだな。


うん、音程もしっかりしてる。


「次は、朝風香」


「はい」


香は、ソプラノだ。


ハイソプラノまで出そうだけど、ソフトな音色だな。


何だろう?


懐かしい感じがする。


昔この声が好きだったような…


似たような声の人なんて、居なかったぞ。


またデジャビュ?


あ…


涙が出そうだ。


いかん、いかん!


今は授業中だぞ。


【響の宿舎】


「ニャー」


「え?また食べるのか?」


「ニャッ#%☆」


「シロ、ちょっと太ったんじゃないか?食べ過ぎだろ」


「赤ちゃんが産まれるのかしら?」


「え?」


「だって、お腹が大きい感じよね」


そうか…


全然わからなかった。


こういう事は、男は鈍いよな。


僕が鈍いのか?



【3年の教室】


「大学行ったら恋ぐらしたいよね、この町に居ても相手居ないし」


「えー?眞澄、一本木先生は?」


「好きだけど、恋って感じじゃないよ。香みたいに、運命的な物は感じないもん」


「運命なのかな?」


「だって、過去世でも一緒だったんでしょう?」


「あれが本当に過去世ならね」


「会う前から夢で見てたのも、不思議だよね」


「お姉ちゃんは、予知夢かもって言ってた」


曽祖父に引き合わされたのも不思議。


「卒業したら、皆んなバラバラになっちゃうね」


「未来は、本当に看護師さんになるの?」


「なりたい」


「香と一緒に働けたら良いね」


「うんうん」


「私の方が時間かかりそうよ。准看護師になる方が早いもんね」


【診療所】


「この診療所では限界が有るし、香が医者になったら開業する事考えようかな?」


「そしたら、私も雇ってね」


「立派な看護師になって、帰ってらっしゃいよ」


「未来ちゃん、倉吉の看護学校行くやにしたか?」


「受ける。でも、どこも定員が少ないからな…」


「狭き門よね」


「美令さんは、倉吉の看護学校出たんですよね?」


「だーじぇ(そうだよ)倉吉にもいくつか有るし、鳥取にも米子にも有るけ」


「うん。いくつか受けてみる」


【中町学園理科室】


「璃子ちゃん、わからないとこが有るんだけど」


「どれどれ…あ、ここはね…こうなるのよ」


「そうかあ、わかった。ありがとう」


「未来ちゃんは、看護師さんになるのよね」


「はい!理科の試験が有るから」


「わからないとこが有ったら、いつでも聞きに来て良いのよ」


「はい、ありがとうございます!」


香ちゃんはお医者さんで、未来ちゃんは、看護師さん。


眞澄ちゃんは、京都の大学に行って、卒業したら何になるのかな?



【諏訪旅館】


「眞澄、本当に京都の大学行くの?」


「もう決めたの」


「一人暮らしは心配ね」


「寛太君が居るから、大丈夫だよ」


「でも、寛太君は男の子よ」


「そうだけど…」


「男の子には相談出来ない事も有るし」


「お母さん、何の心配してるの?」


「眞澄は女の子だし、そりゃあ心配もするわよ。一人娘だしね」


「大丈夫だよ」


「将来は、諏訪旅館の若女将になるのよ」


「わかってる。でも、それまでは好きな事したいの」


【京都の大学】


「寛太、飯行こか?」


「京都は、一見さんお断りの店が多いからな」


「俺と一緒やったら、大丈夫や」


【京都の町】


「寛太、彼女出来たんか?」


「まだ出来ん。智大(ともひろは、おるんか?」


「俺も、まだ出来ひん」


「僕は、田舎に好きな子がおる」


「ほんまか?」


「離れてみたら、ようわかった」


「好き、言うたんか?」


「まだ」


「言わなあかんやろ」


「そやな…」


離れてみるまで、わからなんだ。


【中町学園校庭】


「しっかり鍛えとけ。受験勉強するにも、体力は必要だからな」


「一本木先生ってば、熱い男よね」


「諏訪。ちゃんと準備運動して、走って来い」


「はーい」


「あ、窓から璃子ちゃんが見てる」


「どこだ?」


「ほら、理科室」


「璃子ちゃん授業無いのかしら?」


「あ、行っちゃった」


「ほら、浅田も朝風も走って来い」


「はーい」



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