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『ツインソウル物語3』“初恋”  作者: 大輝
第1章 え?!いきなりそれ?
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初恋1

【都内の町】


その日僕は、同僚の高梨璃子と呑みに行った。


今日は休みなので、まだ明るいうちから2人で呑んだ。


居酒屋を出ると、次に連れて行かれた店は、何やら怪しい雰囲気だぞ。


変な格好をした人が、居る。


本当に入るのか?


【怪しい館】


女性は好きだよな。


僕は興味無い。


信じてないし。


「せっかく来たんだから、響も占ってもらいなよ」


「僕は良いよ」


あ…占い師さんが、じっと見てる。


何だか、このまま帰れない雰囲気か?


と、思っていたら、水晶に手をかざして、勝手に占い始めた。


そして、水晶を覗いて …


「女難の相が出てます」


って、オイオイ…


占いは全然信じない方だけど、悪い事を言われるのは嫌だよな。


その店を出てから、璃子に連れ回されて…


何軒目だ?


【bar】


「もうやめといた方が良いんじゃないか?」


「まーだ、呑むわよー」


酒癖の悪い女性…何かデジャビュ?


遠い過去に彼女とそっくりな性格の女性を知っているような気がするな…


でも、そんな人は居ないか。


璃子とは幼稚園から一緒で、2人とも教師。


今の学校に彼女が来たのは去年の春からなんだけど、家も近くなんだ。


それで2人で呑んだりしているんだけど…


【学校】


父兄の間で、彼女との事が噂になって学校を辞めさせられた。


女難て…お前の事か?


と思ってたら…


え?!



「僕が辞めれば済む事なのに、璃子まで辞めなくたって…」


「良いの、良いの。響にだけ責任取らせられないわよ。だいたい何の責任よ。やましい事なんて何にも無いのに」


「まあな、璃子と僕がどうにかなるわけが無い」


「失礼ね。まあ良いわ。私達に仮に何か有ったとしても、お互い独身なんだし、問題無いと思うんだけど」


「職場恋愛禁止だってさ。恋愛なんてしてないのにな」


「私は…」


「うん?」


「次の学校探さなきゃ」


「そうだな」


【電車の中】


次の赴任先が決まった。


で…何故か璃子も一緒。


何やら嫌ーな予感がするけど…


まっ、気のせいか。


丁度教員の空きが2つ有ったらしい。


「私もそこにする!」って、ついて来た。


「次の駅よ」


その、次の駅が遠くて中々着かない。


随分遠くへ来てしまったな。


ああ、これじゃあ伊藤恵さんの演奏会当分行けそうにない。


【奥山町駅】


電車を降りると…


うわ〜


まるで時代が違うような風景が、そこには広がっていた。


東京育ちの僕には憧れの田舎だ。


空の色も、空気も、肌に感じる風も、全てが新鮮だった。


「駅の近くには、温泉旅館も有るのよー」


って、嬉しそうに言ってるけど、遊びに来たんじゃないんだぞ。


「早くおいでよー」


「待て待て、どっちに行くんだよ」


「だから温泉よ」


「温泉に行ってどうするんだよ」


「だって、まだ時間有るし。早く!」


【温泉】


璃子に言われるまま温泉に来ちゃったぞ。


まあ、ここまで来たら入るしかないか。


〈男湯から中に入ると…〉


「何でお前が居るんだよ?」


「ちょっと、前ぐらい隠しなさいよね」


「うわっ」


混浴か…


「そばに来ないでよ」


「わかったよ」


「見ないでよね」


「誰が見るか」


さて、そろそろ学校に行かないと。



【下町】


奥山町駅が有るのが下町。


学校は中町にある。


ここを登って行けば良いみたいだ。


町と言うけど、町らしいのはこの辺りまでだな。


階段を上がって少し行くと、もうのこ景色だ。


田んぼの向こう、疎らに家が見える。


温泉に田んぼに山…


祖母の育った町が近くなんだけど、こんな感じなのかな?


良く話しを聞いたけど、行った事がなくて、想像する事しか出来なかった。


【中町学園】


うわ〜


これが学校かあ。


木造校舎。


温かい感じで良いなあ。


「何嬉しそうな顔してるのよ。サッサと行くわよ」


【廊下】


わ〜良く磨かれた廊下だ。


ピッカピカだな。


ああ、奥には体育館とプールも有るな。


音楽室は、どこだろう?


【校長室】


「じゃあ、高梨先生と鐘城先生は、幼馴染みと言うだけで、何でも無いんですね?」


「はい」


「この学校は、職場恋愛禁止ではないんですよ。そんな事言ってたら、この町じゃ一生結婚出来ませんからね」


【廊下】


小さな町という事で、僕達がここへ来た経緯は、町中の人が知っていると校長から聞いてびっくりした。


「田舎ってそうなのよ。響は田舎無いから知らないでしょうけど…」


【宿舎】


校長先生のお嬢さん晶子さんが、宿舎に案内してくれた。


「ここが、今日からあなたの部屋よ」


町が用意してくれた家なんだけど、これがまあ何とも良い感じの古い家だ。


「歓迎会するから、7時にうちに来て」


「はい。ありがとうございます」


【上町】


校長の家は上町に有る。


ここは昔の城下町で、奥にはお城が有るらしい。


古い建物を大切に保存している町だ。



【校長の家】


校長の家に行くと、他の先生方がいらしていた。


社会科の魚路道成先生と、若い方は体育の一本木竜太先生。


近くの学校が廃校になって、奥山町の学校は中町学園だけになったそうだ。


それで、小学校から高校まで一緒になったので、僕らが呼ばれたようだ。


【廊下】


ビールを呑んだので、トイレに行きたくなった。


どこだろう?


こっちかな?


〈その時、向こうから若い女の子が来て立ち止まった。一瞬時が止まったかのようになる。彼女は驚いて〉


「あっ」


新しく来なった先生?


いつも夢で見る人に似てる。


この子…知ってる気がする…またデジャビュ?


「こんばんは」


「こんばんは…あの…私…失礼します」


いかんいかん。


過去に知ってるか考えてたら、ジッと見つめてたみたいだ。


うーん…知ってる子の中には居ないか…


じゃあ何なんだ?


さっきの妙に懐かしい感じは…


「おっと、トイレ、トイレ」


「鐘城先生。こんな所で何してるの?」


ああ、晶子さんだ。


助かった。


「トイレ探してたら、迷っちゃって」


「トイレなら、あっちよ」


「そうスか」


「今若い女の子が通ったけど…」


「姪かしら?この家には妹の子供達が住んでるから」


そうなのか…


「ほら、早く御手水に行って来なさいよ」


【晶子の姪の部屋】


「あーびっくりした」


夢に出て来る人が、本当に現れるなんて…


ああ、まだドキドキしてる。


「か・お・り」


「お姉ちゃん」


「今ね、そこに鐘城先生が居たのよ」


やっぱり新任の先生だったんだ。


「私さっき会った」


「あらそ」


姉の涼子は巫女なんだけど、意外と新し物好きなの。


先に自分が会って、私に教えたかったみたい。


「ねえお姉ちゃん。鐘城先生って、夢に出て来る人に似てるの」


「夢って、あの良く見る不思議な夢?」


「うん」



私が良く見る不思議な夢。


それは…


【雲の上】


姉は「中間世じゃないか」って言うんだけど…


そこには生まれる前の沢山の魂が居て、親しい人がわかるの。


あの人…


鐘城先生が、一番親しい魂だった。


【響の家】


えーと、お風呂は?


「えっ、五右衛門風呂?」


あー、どうしよう…?


そう言えば、地元の人は家のお風呂に入らないで、温泉に行くって言ってたな。


明日朝一で行くか。


〈翌朝。すっきり目覚めた響〉


早起きは得意だからね〜


こんな性格だから、体育会系だと思われるんだよな。


まあ、学生時代はやってたから、体育会系と言えなくもないけど…


「さて、温泉に入ってから学校に行きますか」


【中町】


ああ、空気が気持ち良い。


【下町】


爽やかだね〜


【温泉旅館】


「鐘城先生。おはようございます」


「おはようございます」


「ようこそ諏訪旅館へ!私、若女将の諏訪鈴子でございます」


ここ、諏訪旅館て言うんだ。


知らないで入った。


「うちの子宜しくお願いしますね」


「え?生徒の家?まずかったかな?」


「大丈夫、大丈夫。この町じゃ、誰も咎めたりしませんよ。あ、眞澄。おいで」


「響先生、おはようございます」


「おはよう」


名前で呼んでるし…


【中町学園 玄関】


〈生徒達が登校して来る〉


「あっ」


「おはよう」


ここの生徒だったんだね。


「おはようございます」


でも、何で僕の顔見ると驚くんだ?


昨日も会ってるのに。


もしかして怖い顔してたか?


あ、チャイムが鳴った。


余裕で来たはずなのに…


何故かこの子と居ると時の流れが違うように感じるな。


「もう、行きなさい」


「あ、はい。失礼します」




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