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小夜物語  small tales of long night   第10話 本当はコワイ日本昔話 「深い森の怪」 haunting of deep forest

作者: 舜風人
掲載日:2014/09/08

第10話ここに始まる。


第10話 本当はコワイ日本昔話 「深い森の怪」



誰も怖がってその森へは入らない。

なぜって?

そこには得体のしれない山の亡霊が棲んでいるからさ。





むか~しのことじゃった。

信州は又の沢というところに藤十郎という腕利きの鉄砲打ちが

老いた母親と二人で住んでいたそうな。

山へ入っては猪。熊。鹿。野兎、山鳥などを撃っては

それで生計を立てていたそうな。

ところで最近、

猟師仲間の一人が山の奥で何かしら、、得体のしれぬ獣らしきものに

かみ殺されているのが見つかったのじゃ。

ぐちゃぐちゃに噛み散らかされていて、、

そりゃあ、見るに堪えない惨状だったそうな。

熊ならこんな食い荒らし方はせんし。

猪でもないし

狼?

いやこの食い荒らし方はもっとすさまじかったのじゃよ。

村人はこれは山の何か化け物の仕業じゃとうわさしたそうな。

それ以来、山へ入る猟師もめっきりと減り

田んぼの近くでで雉うちするくらいだったそうな。

さてそんなある日のことじゃった。

我慢しきれなくなった

藤十郎は明日こそ久しぶりに意を決して、山へ熊打ちに行こうと

炉辺で弾づくりをしていた。

火で溶かした鉛をやっとこではさみ鉛玉を作る。

するとどこからともなくにゃあと声がして可愛い子猫が

迷い込んできたそうな。

普段無益な切傷三昧の藤十郎は慙愧の念からだろうか、それ以外の動物への愛はことさら深かった。

「オーよしよし、どこから迷ってきた?」

すると子猫は藤十郎が作った鉛玉を畳の上で転がして遊びはじめたのじゃった。

藤十郎はそれを見て「可愛いいこねこじゃねえか」と目を細めた。

しばらくして藤十郎が気がつくともうそこに子猫の姿はなかったそうじゃ。

その一部始終を見ていたおかあがその時初めて口をひらいたそうじゃ、

「藤十郎よ、どうもおかしい。あんな子猫このあたりで見たこともないし、

「明日山へ行くときはどうか阿弥陀様の念じ玉を持ってておくれ」というのだった。

それを聞くとさすがに藤十郎も寒気がして早速、念じ玉を一つ作るのだった。

しかし、、この念じ玉はもしそれを使ったらそれを最後に猟師をすっぱりとやめなければならないという「魔除け玉」だったのじゃ。

次の日、藤十郎は山へと向かった。とてもすがすがしい秋の陽が山の端に射し、

絶好の猟日和じゃった。

久しぶりに入る山には、鹿の姿も遠くに見え

藤十郎はそれを追って次第に深く深く山へと分け入っていたのじゃった。

鹿は藤十郎を誘うように早足で森の奥深くへと逃げ去った。

気がつくと今まで入ったこともないような山奥深くに来ていることに気がついた。

するとそれまでの森の様子が一変したのじゃった。

黒い霧のようなものが一面を急に覆い尽くして

その霧の中から無気味に光る金色の血走った大きな目玉がこちらをにらんでおったそうな。

藤十郎はその目玉をめがけて一発放った。

しかし手ごたえはない。

もう一発。さらに一発。

すると黒い霧の中から

「もう弾は終りかい?」という声が聞こえたそうな。

そしてぎらぎら光る眼玉がこちら向かってに覆いかぶさろうとしたときじゃった。

藤十郎の「念じ玉」が火を放って打たれたのじゃ。


「ぎゃああああああああああ」


という悲鳴が聞こえて目玉は掻き消えて、、

黒い霧もスーッと引いて行ったそうな。

辺りはもとの秋日の射す静かな森に戻っていた。


藤十郎は動機と冷や汗をぬぐいながら一目散に村へと戻ったそうな。


そうして一部始終をおかあに話した、


おかあは「やっぱりあの子猫は鉄砲の弾を転がして遊ぶふりして数えておったのじゃなあ

お前が明日山へ持ってく玉数が知りたかったのじゃろうよ」といったそうだ。


藤十郎は念じ玉の掟通りに

その後二度と、、鉄砲を手にすることはなかったという。

















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