表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/35

 夕食の後片づけを終え、神来佐奈は風呂場でシャワーを浴びていた。

 自分が入る前に冬弥が入ることは、いつもの習慣により分かっていた。

 その後に入るように時間を合わせれば、思う存分、好きなだけ兄の残り湯を堪能できる、といった予測を立てていた。



 上から滴り落ちてくる熱いシャワーを感じ、私はツルツルの肌ざわりを確かめ、そのまま胸元に手を寄せる。


 もはやEを超えFにまで届きそうな重量を持った双乳。

 柔肌の周りを取り付き、あたたかい雫に合わせて変幻自在に揺れていく。  

 誰にも触らせていない、お兄様だけの爆乳。


 抜ける? 抜けない? お兄様はどうなのだろうか。

 お兄様に優しさが身に染みたあの日からイカレ狂い、恋のボルテージはあがる一方で、留まる所を知らない。


 神来冬弥――あなたに。

 しかし私は妹であり、恋人ではない。

 取り巻く現実世界を飛び越え、次のステップにワープすることなど出来ないのだ。


 シャワーを止め、重く垂れ下がった長い黒髪を、撫でるように軽く拭く。

 お兄様が入ったお風呂の次に私も入る。

 素晴らしいローテーションだ。

 できれば一緒に入りたいが、それは昔に止められていた。


 いけない、早く入らないとお兄様の甘い匂いが消えてしまう。

 私は急いでバスタブをまたぎ、ピカピカの熱い湯船に漬かった。

 そのまま両足を抱いてうずくまる。


 どんなにセクシーな体を持って誘惑しようが、テクニックをもって、お兄様に駆け引きをしようが、私をお兄様が抱くことはない。


 晴れの日も雨の日も、今日も明日も。

 “兄”と“妹”未来永劫変わることのない、負の絆なのだ。

 ならばこの恋はきっと叶うことはない。

 法律に違反しているとかそんな次元の話ではない。

 私がお兄様の未来を奪うことになるかもしれないのだ。


 ぐるぐると今日のお兄様の姿を思い浮かべてみる。

 あれは白川祀――? と言っただろうか。

 お兄様以外の人間を覚えるのが苦手な私にとっても、名前ぐらいは聞いたことがある。


 学園のアイドルとして、常にトップに立っていたはずだ。幾つもの称号を持つ私だが、こればかりは一位はとれなかった。勿論告白は毎日のようにされるが、あの女のようにファンクラブまで出来るほどではない。まあ、お兄様とは別の人間など、それこそ塵芥に等しいので気にしないのだが……。


 どういった関係だろうか。こればかりは予測できない。

 お兄様はただの友人と言っていたが……あの目は私と同じ。

 愛の嫉妬に狂っている目だ。

 放っておくと危ないことになるかもしれない。

 もしお兄様のお心が奪われるようなことがあったらと思うと……。


 お兄様に言い寄る糞女……止めて、私のお兄様にそんなことしないで。

 私のお兄様にあんな視線を。

 ピクリと震える体を抱きこみ、ありったけの力で両腕を握りしめる。


 ――私からお兄様を奪うことは許さない――

 切り刻んでバラバラにしてやる。

 きめ細やかな肌に、ヒリヒリと滲む腕は赤くなっていたが、痛みは感じなかった。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ