表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/35

 家に帰ってきてすぐ、僕は部屋のベッドに勢いよく飛び込んだ。

 「何だったのかな…あれは」

 ベッドの上で呟く。

 あんなことがあったばかりだから早足で家に帰ってきたのだが、明日になれば噂は避けられないだろう。はあっと僕はため息をついた。


 ふと唇に触れてみる。舌と歯茎の隙間を指でなぞってみる。

 「なんで僕は」

 私のことを好きですかという問いに、しっかり首を横に振って否定しなかった。

 だけど、それを言ってしまうと、何かが壊れそうな気がした。

 でも、いつかは言わないといけない。

 父さんが近親相姦を許すなんてありえない。

 思い返してみても、堅物の父にとって人生はビジネスと同じで、固定観念と社会常識の塊のような人だ。


 飲食店やホテル経営を展開している会社の社長になって以来、今はアメリカの企業に勤めている。

 今も真鍮製のデスクに座り、パソコンの前で難しい顔をしてるに違いない。

 (だったら……)

 父さんのことを考えるといつも胸がムカムカしてくる。

 (どうして子供なんて生んだんだ。今三十八だから、二十三歳のときに結婚したってことになる)


 (母さんは何を思って僕を生んだんだろう)

 下世話な考えだった。僕は眉をしかめる。

 「別にないさ。意味なんて」

 ぼそっと吐き捨てるように言うと、少し心が軽くなるような気がした。

 そこでバンとドアが開けられ、佐奈が入ってきた。


 「お兄様ーっ! お夕食ができましたわよ!」

 勢いよく入ってくるやいなや、僕に抱きついてくる。

 「お兄様、今日はご馳走ですわよ! お喜びください!」

 「おわ、なにさいきなり」

 ベッドから転げ落ちそうになり、僕は慌てて言った。

 だが、佐奈はそんなことお構いなしとばかりに、

 「いいから早く来てください! お料理が冷めてしまいますわ! それともなんですか? 私の愛情たっぷりの料理が食べられないと言うのですか? そのようなことないですよね? でも、もし私を裏切るようなことをいたらただでは済みませんから!」


 「あ、ああ……」

 いっぺんに早口で言われても、何が何やら分からない。

 「わかったよ。いつもいつもありがとね」

 「まあ、お兄様が素直に褒めてくださるなんて。珍しいですわね♪」

 佐奈は嬉しそうに言った。僕はいつも素直なつもりだったのだが。


 「さあさあ、早くリビングに行きましょ、お兄様✩」

 「わかったわかった」

 「わかったは一回でいいですよ♪」

  絡ませてくる佐奈の腕のぬくもりを感じながら、僕は1階のリビングへと向かった。

どうでしょうか? つたない文章ですが、感想を言って頂けると嬉しいです!


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ