表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/35

12

 屋上から見下ろす街の景色は、地平線の先へと遠く消えていった。

 淡色の風は胸の奥を吹き抜け、少し火照った頬を優しく撫でる。

 なぜだろう、目線が変わっただけでいつもの世界と違って見えるのは。



 「いいお天気ですわね、お兄様」

 柔らかな声に話しかけられ、そっと視線を隣に移す。

 「ああ、そうだね。佐奈」

 四段重ねの重箱をつつきながら答える。


 今日の昼休みの弁当は天気がいいので屋上でとることにした。

 しかし何度箸を入れても、全く減らない。

 幸い好きなおかずばかりなのと、とりわけ佐奈の料理スキルが高いので、何とか完食できそうだが。

 というより、残したら佐奈に殺される……。


 「お兄様、はい、あーん」

 佐奈が卵焼きを箸で掴み、僕の口元に近づけてくる。

 「いやちょ、こんなところで」

 「大丈夫ですわ。見られたら責任を持ってお兄様の元へ嫁ぎますから」

 「何にも大丈夫じゃないし!」


 赤くなっている佐奈から目線を逸らす。するとそこに……

 

 「――あら、楽しそうですね。神来君?」



 「え?」

 突然名前を呼ばれ、僕と佐奈は後ろを振り向く。

 「私もご一緒させてもらってよろしいかしら?」

 「君は……」


 上品な亜麻色のスイートボブに、静かな双眸を黒縁眼鏡の奥に携えている。女子の割りには高身長だが、スリムなため、ほっそりとした印象を与えるが、とにかく学園でも天才と言われるほど頭が良い。


 そんな学園の生徒会長、在咲雫さんが立っていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ