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ジョン

世界の終末に抗う男、ジョン

作者: カイン




なかなか意味のわからない作品となっております。解釈は人それぞれ、ということで

やぁ君、今日は実に良いリンゴ飴称賛会日和だね。


今は26745年の956月426日。


そうだね。これは君のおじいさんが爆発した日だ。


私かい?私の名前は。君が決めてくれ。


そうか、いいね。では以降の○○○を決めた名前として扱おう。


答えは聞いてもいいが、それをもとに意見を変える気はないから安心してくれ。


そう、これは言うなれば火星に行ったジョンの左手なんだ。


あぁ。ジョンについてはまた別の機会に。


そうだな。君が私の年を越したら話そうか。


さて、この辺りで私が誰か教えておこうか。


私は無職だが金持ちだ。そして君の恋人である。いや、恋人になる。


度重なるプロポーズをことごとく君は断ってきたが、今回は成功させる。


一度目はなんだったか。そう、ヨーグルト被り大会で、見事ホームランをかました私は君に


「君を愛している。一生私のヨーグルトを味噌汁味にしてくれ」


と言ったんだな。結果はビンタだったが。ナイスビンタ。


二度目は。そう、映画館を爆破した私の、背後に立っていた円山セネガル伯父さんを踏み台にした大胆な三回転捻りべろべろばぁをしながら


「君を愛している。リフレッシュ!」


とスタイリッシュに君にラリアットをかまそうとしたんだったな。

あれは見事なクロスカウンターだったね。ナイスパンチ。


三回目はなんだったか。そうか、これはまだ三回目か。


君は私がどうするか予想してみるがいい。


見事当てたら、君を私の妻に迎え




あぁ、またやられたな。今回のは自信あったんだけどな。


クイズと見せかけた上から目線の求婚から繰り出す左フック。だった。


実に、ナイスボディ。響いたよ。


そうだな、次回のプロポーズは上手くいくさ。これは確定した未来だ。


どうだ?私と結婚したくなっ



アルシトリッヒ・プリグロセリア・シャル・トッパルネ・ノレノレノレ・フランソワーズよ。ビール瓶で殴ることはないだろう。


…君は佐藤栞と言うのか。覚えておこう。


だから、その手に持ったティッシュ箱を下ろすんだ。


君はどうして私を拒絶するのだ?フランソワー



痛い、痛いです。すみません栞さん。あっ、そこはダメ。第三の目に目薬はダメ。


ふぅ、世話の焼ける姫すみませんすみませんすみませんすみません


兄に対して冷たいではないか、フラ…栞よ。


そう、私の名前は○○○ではない。真の名は佐藤健三だ。


ちなみに長男だ。


そうだな、嘘はやめよう。私は君の兄でなければ佐藤健三でもない。


そう、私こそが火星に行ったジョンの左手、のジョンだ。


火星はいいところだった。街を歩けば棒に当たる。川には河童が流れ、天高くそびえた木からは猿が落ちてくる。


そうだな、君を新婚旅行に誘っているんだ。


結婚しよう。フランソワーズ。



切ないものだな。まるで円山セネガル伯父さんのスクワットを三時間見たあとのような気分だ。


おや、サイレンが鳴っているな。ここは危険だ。逃げようか。



危ない。



大丈夫か、フランソワーズよ。


急な粛正劇だったな。そう、これは言うならば、金星に行ったパトリシアの首だ。


何?あぁ、これか?大丈夫、ジョンの左手は再生する。これしき問題ない。たかが左手一本だ。



待て、動くな。客が来たようだ。

私が相手をしてくる。君は待っていてくれ。


なぁに。たかがバズーカだからな。直撃しても私は死なないさ。


さぁ、君は隠れたまえ。



フランソワーズ、フランソワーズよ。大丈夫か?


あぁ、客は無事に帰ったよ。私特製のリンゴ飴茶を振る舞ってやったら、よろこんで帰っていったよ。


あぁ、フランソワーズ。どうして泣いているんだい?


大丈夫、絶望の中で希望を見つけるのは簡単なのさ。問題は、見つけるために、しっかりと目を開くこと。いいね?


私の足かい?なぁに、心配ないさ。彼等が欲しがったものだから、プレゼントしてあげたよ。


きっと、中に詰めたニトログリセリンは気に入ってくれたさ。


なんだ、優しいじゃないか。普段は私をビール瓶で殴るのに。


そうだな、私なら大丈夫さ。ジョンの右足は湯水のごとく使えるのさ。


パトリシアかい?彼女は金星に行ったよ。


金星はすごいらしい。何でも、金の雨が降るらしい。さすがは金星だな。


それから、地面の至るところに金属が埋めてあって、慎重に掘り起こすと、英雄になれるそうだ。


そう。慎重にやらないと、金属達は恥ずかしがって、真っ赤になってしまう。だから、慎重にやるんだ。


パトリシアはどうなったかって?


彼女は金属を恥ずかしがらせてしまったんだ。それから彼女は首だけになった。金属達に体を持っていかれてしまったんだ。



おや、また誰か来たようだね。そう、君はここから出ないんだ。いいね。


やぁ君たち。今日はいい天気だね。




大丈夫かい、フランソワーズ。


あぁ、これかい。これはただのおしゃれさ。


巷ではこうやって、右目を潰すのが流行りらしい。あそこで寝ているビリーに聞いたんだ。


ビリーかい?彼は木星に行ったんだ。


ビリーは私の親友でね。


そう、木星はすごいところだ。私も一度行ったよ。


個性的なコスチュームに身を包んだ人達が、沢山の木をプレゼントしてくれるんだ。それはもうすごい速さでね。


右目を潰すのは彼等の証さ。だからそんなに泣かないでおくれ。


じゃあ、そろそろ次の会場に行こうか。


私の妹、シルビアが待っているよ。


彼女の作るアップルパイはとても美味しいんだ。きっと君も気にいるよ。





シルビア、シルビア。寝てしまったのかい?


あぁ、すまない。どうやらシルビアは疲れて眠ってしまったようだ。


おっと、フランソワーズ、やめ




いいかい、フランソワーズ。


ここには沢山のサプライズが仕掛けられているんだ。


だけど、君には少し合わないから、僕がサプライズを用意する。もっと先だろうがね。


とにかく、今は動いちゃいけないよ。いいね。





全部片付けてきたよ。


あぁ、耳かい?


君と話す時、僕は常に君の右にいる。だから、左耳だけあれば、君の話は聞けるんだ。


右耳からは雑音が入ってしまうだろ?君の美しい声に雑音は合わない。


だから泣かないで、フランソワーズ。




食べ物があったよ、フランソワーズ。


ほら、食べてくれ。


私はいらないよ。保存食は昔、食べ飽きてしまったからね。


知らないのかい?ジョンは食べなくても死なないのさ。


さて、フランソワーズ。次の会場に行こうか。


次はカトリーヌの家さ。彼女の作るアップルパイは。いや、それはシルビアだな。


彼女は優しいんだよ。水星に行った時、子供達と遊んであげたんだ。


カトリーヌはね、ヤンチャな子供達が気に入ってね。彼等が連れていってしまったよ。


彼女は寝ていたけれど、きっと彼等と今も仲良くやってるよ。


私は誰の家に行くんだったか。カトリーヌと言ったか。彼女はもういないんだった。


そうだ、マイケルの家に行こうか。


彼は楽しい人さ。


トニーはダンスが上手でね。


ん?マイケル?誰だい?


そう、トニーは歌が上手くてね。


人を感動させる歌を歌うんだ。


影響力が大きくてね。


でも、彼の歌が好きじゃない人から、彼は歌えないようにされてしまったんだ。


さぁ、マイケルの家に行こうか。


マイケル。あぁ、君も寝てしまったのかい。


フランソワーズ。マイケルは寝てしまった。起こさないように近づいてはいけないよ。




おや、誰だ君は。


フランソワーズから手を離しなさい。さぁ、今なら私のリンゴ飴をくれてやろう。


拒否か。ならば。私の右手をやろう。


見ての通り、花火は持っていないよ。さぁ、フランソワーズを離せ。


よし、さぁおいでフランソワーズ。


あぁ、泣かないでくれ。




…おや、フランソワーズ。首元に血がついてるよ。



おっと失礼、足が滑ったようだ。


ついうっかり背中の剣が刺さってしまったね。


フランソワーズを汚した罰だ。死を持って贖え。



あぁ、フランソワーズ。どうして泣いているんだい?


右手を差し出すのは、友人の証さ。


そう、手を取り合うのは友好の証なのさ。







サイレンの音は次第に多くなっているね。終わりは近いよ、栞。


そう。そろそろ君との別れが近い。


泣かないで、栞。


またお客さんだね。おや、団体さんだ。


さぁ、逃げるよ。


出来る限り遠くまでね。


シェルターのある場所まで逃げるんだ。


君一人で逃げるんだ。いいかい?


拒否することは構わないよ。ただし、それを参考にするかどうかは別だがね。


そう。これは火星に行ったジョンの左手さ。


つまり、僕の左手。いいかい。よく聞いてくれ。




君が一人になったと感じることがあったとしても、それは君の思い違いだ。


僕はいつだって君の側にいるから。


心配することは何もないよ。


いいかい。これが最後のプロポーズさ。




僕は君を愛している。これまでの生涯、君を決して幸せには出来ていないことが心残りだ。


だから、僕は残りの生を、君の生に捧ぐ。


これこそが、僕の生きた証。そして、君を愛した証だ。


さぁ、早く行くんだ。


心配しないでくれ。


泣かないでくれ、栞。


君は僕を、私をわかってないね。


ジョンという男は、死なないのさ。


すぐに追い付くから。


さぁ、早く!!





行ったね。さて。


お集まりの皆さん!さて、最後のショータイムだ!


主役はわたくし、不死身の男、ジョン!








私は、唯一残された胴体、その内部に仕込まれた自爆装置を作動させた。


どうでした?


貴重なお時間どうもありがとうございました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 最初はラブストーリーかな? と思いましたが、全然違う展開でした。 主人公は陽気な感じなだけに、最後がとても切なかったです。 一杯食わされた的な感じでした(ホロリ)
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