表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

悪夢は延々と

作者: ねこがえる

夢を見た。

怖い夢だ。

飛び起きた。

「おかあさん……」

息を呑む。

そこは、現実。

残酷な、現実。

「いや……いや……」

目から涙が溢れる。

骸と化した母親。

骸と化した父親。

骸と化した兄弟。

「あぁ?まだいたのかよ」

男が振り返る。

「おかあさん……おとうさん……おにいちゃん……」

赤く染まった凶器。

それが襲いかかってくる。

「ずいぶん子沢山の家だな」

体にくる衝撃。

意識が、闇に飲まれる。

ハッとする。

飛び起きる。

「おかあさん……」

今のは、夢だったのか。

目をこする。

息を呑む。

そこは、現実。

残酷な……。


「この子は、一体いつになったら目覚めるんだろうか……」

溜め息をつく。

「ずいぶん幸運な子ですよね」

ナースが言った。

「え?」

「だってほら、この子あの一家虐殺の生き残りでしょう?」

「……むしろ、一緒に逝った方が……」

「え?」

ナースはキョトンとする。

「いや、なんでもないよ。いつも通り、この子の健康チェックだ」

「はい」

数分後。

「……異常無し、と」

「こんなに長い間寝ていて、つまらなくないのでしょうか?」

「さあな」

「夢を見ていたりするんですか?」

「あぁ。そうかもなぁ。夢を、見てるのかもしれない」

「怖い夢なのかもしれませんね」

「え?」

「だってほら、眉間にシワ寄ってますよ」

「本当だ……」

「早く起きな、寝てても楽しくないよ~」

「次の患者を、診てくる」

「分かりました」

ナースが振り向く。

「私はもう少し、この子の様子を見ていますね」

「分かった」



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 体験している側と、現実に立つ側の温度差がリアル。 [一言] 因みに、僕の友人には一家をカギ爪のフック船長に皆殺しにされる夢を見たひとがいます。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ