籠
掲載日:2026/05/25
「初めて会った人にはご挨拶をなさい」
お母さんは社交的だから、よく聞かされたものだ。
「人との出会いを大切になさい」
こちらもよく聞いた話だ。
「そして、人を幸せになさい」
私にできるだろうか。
なんの取り柄も無い私に、他の人を幸せにすることなど。
せいぜい私にできることなど、自分の好きに文字を並べることくらいだろう。
「できることからひとつずつ」
こちらもお母さんからの受け売りである。
自己満と言われたら返す言葉もない、御託を並べようと、何を感じ取るかは読み手に依存する。
ただ僅かでも、私の文字が誰かの道筋になるのであれば、その事実が私自身の道筋となり得る。
道筋とは希望の光。
光に照らされれば輝きを発する。
そして輝きは、次なる輝きを生む。
そうして廻る世の中であると、頭では理解しているよ。
お母さん。
あなたは人の幸せを願う末に、
自分の幸せは見つけられたのかな。
子供の頃みたいに、教えて欲しかったな。




