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第41話 拉致


「学園の生徒が拉致された?」


 その知らせは、学園が終わった後の帰路でセリア嬢からもたらされた。


「ええ。以前ティアナがさらわれそうになったところを貴方達が助けてくれたでしょう? 後からの調べであいつらは奴隷密売組織の末端だったことが分かったけれど、その大元にまでいきつくことはできなかったからね。その組織がまた動きを見せたのかもしれないわ」


 『モノクローム』として闇に紛れて王都の腐敗を正してきたけれど、まだ悪の芽は刈り取りきれていなかったらしい。


「拉致されたのは誰なんだ?」

「一年Aクラスのシスティーナという生徒よ。見た目がいいから高値で売れると思われたんじゃないかしら」

「許せないわね。デュアル、今こそ『モノクローム』が動く時よ」


 話しを聞いていたリノア姉さんが息巻く。


「ですが、手がかりが何もない状態ですよ?」


 レティシアが言う通り、まずはそのアジトを突き止めなければならない。


「誰かが囮になっておびき寄せたら、どう?」


 そうニベアがアイデアを出した。


「そうだね。危険はあるけど、それくらいしか方法はないかな」

「私達は美少女揃いだから、誰が囮になっても食いついてきそうよね」


 リノア姉さんが得意げに言う。

 相変わらず自信家だね。否定はできないけど。


「それじゃあ、家に帰ってから作戦を練ろうか」



   §



「ただいま、イヴ」

「「「ただいま」」」

「おかえりなさいませ、マスター。皆さん。マスター、一人寂しく家事に勤しんでいた私を労ってください。甘いお菓子を作ってくれるとか」


 帰るなり労働の対価を要求された。

 相変わらず印象と実態の懸隔に困惑される。

 見た目は淑やかそうな美少女だからね。

 ちなみに、イヴはオートマタだけど、エネルギーは人間と同じように食事をして補うように造られているらしい。

 いつも食事をともにしている。


「それはまた後でね。今から大事なことを話し合わないといけないから。ところで、ネビュラは?」

「ネビュラちゃんなら、庭で遊んでましたよ」

「そう。一応ネビュラにも聞いていてもらおうかな」


 僕はそう考え、荷物をリビングに置くと、そこから通じている庭へと出た。


 だが、そこにネビュラの姿はなかった。


 おかしく思い、主と獣魔としての繋がりである魔力パスを介して探ってみる。


 すると、ここからかなり離れた場所に反応があった。


「皆、大変だ!」

「どうしたのデュアル、そんなに慌てて」


 リノア姉さんが不思議そうにする。


「ネビュラがさらわれたみたいなんだ!」

「なんですって!?」

「魔力のパスを辿ってみたら、かなり遠方にいることが分かったんだ」

「奴隷密売組織の仕業かもしれないわね。そいつら、副業として希少なモンスターなんかも商品として取り扱っているって聞いたわ」


 セリア嬢の言葉通りであれば、エンシェントドラゴンの幼体なんて、格好の標的だろう。

 愛玩用にペットとして飼うなり、貴重な素材として扱われたりを目的として売られてしまうことになる。


「すぐに助けにいきましょう」


 とレティシア。


「ああ。これは『モノクローム』の仕事だ。ただ、さっきまでは一つの場所でじっとそておたんだけど、今は移動しているみたいだ。この速さはおそらく馬車だね」

「それまでは、奴隷密売組織のアジトにいたのかもしれないわよ」


 リノア姉さんが言ったように、その可能性が高そうだ。


「じゃあ、二手に分かれた方が良さそうね。アジトにはまだ囚われている人達がいるかもしれないわ」


 そのセリア嬢の意見に従い、アジトに向かうグループとネビュラを追うグループとに分かれた。


 僕とセリア嬢、イヴがネビュラを追い、リノア姉さんとレティシア、ニベアがアジトに向かう。


「互いの連絡は、マギア・アルミラで。それじゃあ、いこう!」



   §



 『モノクローム』の戦闘衣装となる、縦半分で白黒に分けて塗られた仮面に、裾や襟に白いラインが入った黒いジャケットとボトムスを着て、街道を疾駆する。

 魔力の扱いに長けた僕達は、馬車なんかよりもずっと速く移動できる。

 これが『モノクローム』での初仕事となる『クアットゥオル』のイヴと『クイーンクエ』のセリア嬢も、遅れることなくしっかり後についてきている。

 加減はしているけどね。


 やがて、道の先をいく一台の馬車が遠くに見えた。

 後部に密閉された檻のような大きな荷台が取り付けられている。


 その後ろに迫り、僕はイヴに命じた。


「イヴ! 馬車の動きを止めてくれ!」

「了解です。マスター」


 イヴは答えると、片手を前に突き出した。


「〈蛇の鎖セルペンス・ウィンクルム〉」


 唱えると同時に、掌から青紫色の魔力の鎖が放たれ、走行する馬車の車輪に巻きついた。


 車輪の制御が効かなくなり、馬車をひいていた馬がいななきを上げながらその足を止める。


 そうして、僕達が様子をうかがう中、停車した馬車のキャビンから二人の男が降りてきた。




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