第36話 ホームルーム
「はーい。皆席に着いてー」
その女性は言いながら教壇に立つと、皆が着席するのを待ってから、挨拶を始めた。
「私が、このSクラスのミスティ・フォン・モルテーニです。気軽にミスティ先生って呼んでね。年齢は秘密よ」
茶髪のショートヘアで小柄。愛嬌があって話が分かる先生って印象だ。
「それじゃあ、まずは自己紹介から始めましょうか。廊下側の前からお願い」
促されて、そこに座っていた男子生徒が立ち上がって自己紹介を始めた。
そうして自己紹介は進み、一番後ろの席に座っていたシリウスの番になった。
「シリウス・フォン・ディースターヴェークだ。今さら説明は不要だろう。高貴で力ある者が支配するシステムを俺は構築する。ついてきたい者は俺のグループに入れ」
それだけ言うと、シリウスは席に座った
傲慢なシリウスの次は、イーリス王女殿下の番だった。
「イーリス・フォン・ウァリエタースです。一応第二王女という肩書きはありますが、ここでは皆さんと同じ学生の一人です。なので、気楽に話しかけてくださいね」
シリウスとは対照的に、権威を鼻にかけない挨拶。
彼女の人柄は好ましい。
それからも自己紹介は進んでいき、アヴィの番になった。
「アヴィだ。田舎の村出身だけど、皆仲良くしてくれよな!」
簡素で朗らかな挨拶。
転生者だと思われる彼も、こじらせなければ人柄は悪いものではない。
アヴィの列が終わった後は、セリア嬢の番。
「セリア・フォン・クラウベルクよ。剣と光の魔法が得意。魔眼『プロヴィデンスの目』を持つ私に嘘通じないわ。常に誠実に接しなさい」
少し威圧的だけど、彼女は欺瞞を嫌うからね。
次はレティシア。
「レティシアといいます。デュアル様の専属メイドです。ハーフエルフですけど、変わらずに接してくださると嬉しいです」
僕の専属メイドっていうのはいらなかったんじゃない?
「ニベア。お花が好き。よろしく」
続くニベアは端的に。
いくつか間に挟んで、リノア姉さん。
「リノア・フォン・アイシュリングよ。剣と付与魔法が得意で、A級冒険者。将来は王立騎士団に入るつもり。皆よろしくね」
リノア姉さんのA級冒険者という言葉に、クラスメイト達が反応する。
最後には僕が残された。
「デュアル・フォン・フォルマです。一応僕もA級冒険者の資格を持っています。よろしくお願いします」
無難な自己紹介にしておいた。
おいおい実力は隠しきれないことも出てくるかもしれないけれど、今はこれでいい。
「はい。全員の自己紹介が終わったわね。それじゃあ、次にクラス委員長を決めましょうか。誰か立候補はいる?」
だけど、名乗り出る生徒はいなかった。
「仕方ないわね。じゃあ、先生が指名します。セリアさん、やってくれない?」
「私ですか?」
「ええ。人格と能力を考えての使命よ」
「分かりました。先生がそう言うならやらせてもらいます」
「ありがとう。皆の纏め役として頑張ってね」
「はい」
「じゃあ、次は、この学園の生活において必須となるマギア・アルミラを配布するわね」
ミスティ先生はそう言うと、教壇の横に置かれていた幾つかの箱を、席の列ごとに配っていった。
「今配ったのが、学園生に支給される腕輪型の魔道具、マギア・アルミラよ」
ミスティ先生が説明を始める。
このマギア・アルミラは、現代のスマートフォンやタブレットのような機能を持ち、遠隔地とのリアルタイム通信や、情報検索(魔法的なネットワークを利用)を可能にする。
それ以外にも、序列ポイントなどの管理もこの魔道具で行なっており、今自分が序列何位にいるのか、また、序列のランキングも見る事が出来る。
決闘を行う際は、それをとりしきる役を担ったりもする。
動力源は魔石で、定期的な交換が必要になる。
デュアルは、手首に装着したマギア・アルミラを起動し、序列を確認してみた。
序列の1〜10位は、十傑といい、周囲から一目置かれる存在となっている。
月に一度支給される序列ポイントも、300ポイントとかなり高額だ。
一年生では、シリウスが3位に食い込んでいる。
受験の模擬戦で周りを圧倒する力を見せたからな。
セリア嬢は12位。惜しくも十傑入りは逃したもののかなり上位だ。
他はレティシアが16位で、リノア姉さんがその次の17位。ニベアが21位。
僕はリノア姉さんとニベアの間の19位だった。
月に一度支給される序列ポイントは200ポイント。十傑程じゃないけれど、これも高額ポイントだ。
ゲームの時とここらへんのシステムも変わらない。
「マギア・アルミラは色んな場目で使うことになるから、説明書をよく読んで理解しておくように。それじゃあ、今日はこれで終わり。クラス委員長になったセリアさん。号令をお願い」
「はい。起立。礼」
「ありがとうございました」




