表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
80/151

第八十話 「血の報復」



 中央宮殿の大広間に、竹彦が現れた。

 床を突き破って飛び出してきた彼の姿は、もはや人間とは思えなかった。全身から耐え難い異臭が漂い、血と汚物にまみれた衣服がボロボロに垂れ下がっている。しかし、その赤い瞳だけは、恐ろしいほど鮮明に輝いていた。


「来たか……!」


 ラムザは即座にアーティカルアームを展開した。黒い甲冑が彼の腕と脚を包み込み、戦闘態勢が整う。

 竹彦は無言でラムザに向かって突進した。その速度は、目で追うのがやっとだった。

 ガシッ!

 二人は手四つに組み合った。ラムザの顔に余裕の笑みが浮かぶ。


「バカが! 同じ手は……」


 しかし、その笑みはすぐに凍りついた。

 ギリギリギリ……

 アーティカルアームから異音が聞こえ始めた。竹彦の力が、前回とは比較にならないほど強い。


「なんだと……!?」


 シュウウウウ!

 甲冑から白い煙が噴き出し始めた。過負荷の警告。システムが限界を超えている。

 バキッ!

 竹彦の手が、ラムザの手首を甲冑ごと握り潰した。金属が飴細工のように変形し、砕け散る。


「ぐあああ!」


 ラムザの絶叫が響いた。しかし竹彦は容赦しなかった。

 ドゴォ!

 竹彦の拳がラムザの頭部を直撃した。ラムザは咄嗟に腕で防御したが、その腕ごと吹き飛ばされた。体が宙を舞い、壁に激突して石材が砕け散る。


「ラムザ様!」


 皇族の戦士たちが一斉に動いた。


「法力展開!」


 エンキドゥが両手を前に突き出した。青白い炎が竹彦に向かって放たれる。

 マルドゥクは雷撃を、ドゥムジは氷の槍を、それぞれ同時に放った。

 しかし竹彦は、それらをまるで見えているかのように回避した。体を捻り、跳躍し、時には手で叩き落とす。法力攻撃が床や壁に着弾し、爆発と破壊音が響き渡る。


「速すぎる……!」


 次の瞬間、竹彦が消えた。

 ドガッ! ドガッ! ドガッ!

 戦士たちが次々と地面に叩きつけられていく。竹彦の動きは速すぎて、もはや残像すら見えない。


「きゃああ!」


 女性たちの悲鳴が上がった。

 竹彦は立ち止まった。その視線の先には、アンドラがいた。

 竹彦の顔に、憎悪が浮かんだ。純粋な、混じりけのない憎しみ。アンドラを睨みつけながら、ゆっくりと歩き始める。


「アンドラを守れ!」


 男たちが立ちはだかった。ウトゥ、ニヌルタ、ニンギシュジダ、エンリル。若い戦士たちが必死に壁を作る。

 竹彦は立ち止まることなく、ただ腕を振った。

 ドン!

 最初の一撃で、ウトゥが横に吹き飛んだ。

 バキッ!

 二撃目で、ニヌルタの腕が不自然な方向に曲がった。

 三撃目、四撃目……

 瞬く間に、若い戦士たちは蹴散らされた。床に転がり、呻き声を上げている。

 アンドラは恐怖で震えていた。錫杖を構えようとするが、手が震えて上手く持てない。


「た、助け……」


 竹彦がアンドラの前に立った。その小さな体からは想像もつかない威圧感が放たれている。

 ニーナが静かに立ち上がった。しかし、動こうとはしなかった。ただ、じっと見つめている。

 セツナは母親の袖を掴んでいた。体が震えていた。一週間前、自分が子供扱いした相手が、今や皇族の戦士全員を圧倒している。

 竹彦がゆっくりと手を上げた。アンドラに向かって。

 その時だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ