表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
158/162

第百五十八話「互角の激突」



 瓦礫と化した公園で、竹彦はゆっくりと立ち上がった。全身に土埃をまとい、白いタキシードはもはやボロボロだったが、その目には闘志が燃えていた。


「まだまだ……」


 商業地区から、デストロイヤーが地響きを立てながら突進してきた。


「パニッシャアアアア!」


 二人の巨体が激突し、手四つで組み合った。筋肉と筋肉がぶつかり合い、地面がひび割れていく。


(組み合える……!)


 竹彦は内心驚いていた。以前なら、デストロイヤーの怪力に一瞬で押し潰されていただろう。しかし今は、188センチまで成長した体と、アーティカルアームの補助で、なんとか拮抗している。


「ぬううう!」


 デストロイヤーも予想外の抵抗に目を見開いた。しかし、その隙を竹彦は見逃さなかった。


「今だ!」


 渾身の頭突きが、デストロイヤーの鼻っ面に炸裂した。


「ぐはっ!」


 怯んだ瞬間、竹彦は素早く足払いをかけた。


「だりゃあ!」


 気合と共に、連続パンチを繰り出す。黒いゆらめきを纏った拳が、次々とデストロイヤーの体に叩き込まれた。


「がっ、ぐっ!」


 デストロイヤーはよろめきながら後退した。この一年で初めて、真正面からの殴り合いで押されている。


(なんだ、こいつは……前とは別人じゃないか!)


 しかし、その驚きはすぐに怒りに変わった。花嫁を奪われた屈辱が、理性を吹き飛ばす。


「ゆるさんぞおおおお!」


 咆哮と共に、デストロイヤーが反撃に転じた。巨大な拳が竹彦の腹部に突き刺さる。


「ぐふっ!」


 竹彦が吹き飛び、オフィスビルの壁を突き破った。しかし、すぐに立ち上がり、ビルの中から飛び出してくる。


「まだだ!」


 二人は街中を移動しながら、激しい攻防を繰り広げた。


 デストロイヤーのエネルギー弾が商店街を吹き飛ばし、竹彦の黒い法力が高層マンションを崩壊させる。逃げ惑う市民たちの悲鳴が響く中、二人の戦いはエスカレートしていく。


「俺の花嫁をおおお! 返せええ!」


 デストロイヤーは完全に我を失っていた。理性的な会話などもはや不可能で、ただ怒りのままに暴れ回る。


 竹彦は冷静にデストロイヤーの動きを観察していた。そして、あえて挑発的な言葉を投げかけた。


「あんな美人が、お前に本気になるわけないだろうが!」


「なんだとおおお!?」


 デストロイヤーの顔が真っ赤に染まった。


 竹彦はさらに煽った。


「アスカさんは演技してただけだ! お前みたいな筋肉ダルマ、好きになるわけない!」


「うるさいいいい! アスカは俺を愛してる!」


「どこがだよ! いつも嫌そうな顔してたじゃないか!」


 その言葉が、デストロイヤーの最後の理性を破壊した。


「ぎゃああああ!」


 獣のような唸り声を上げ、デストロイヤーは完全に暴走状態に入った。手当たり次第にエネルギー弾を放ち、周囲の建物を次々と破壊していく。


 飛空挺から戦いを見守っていたアスカが、呆れた声を上げた。


「あいつ、わざと煽ってるな」


 マリアが冷静に分析した。


「理性を失わせて、動きを単調にする作戦。効果的」


「でも、街がめちゃくちゃや……」


 確かに、戦場となった地区は既に壊滅状態だった。かつて賑わっていた繁華街は、瓦礫の山と化している。


 竹彦はデストロイヤーの暴走を利用し、的確にカウンターを決めていく。理性を失った攻撃は威力こそ凄まじいが、単調で読みやすい。


「そこだ!」


 黒い炎を纏った蹴りが、デストロイヤーの側頭部に直撃した。


「ぐおおお!」


 デストロイヤーが横転し、地面に巨大なクレーターを作る。


 しかし、すぐに立ち上がり、血走った目で竹彦を睨みつけた。


「殺してやるうううう!」


 両手を合わせ、巨大なエネルギー球を作り出す。その大きさは、ビル一つ分はあろうかという規模だった。


「これで終わりだああ!」


 竹彦も黒い法力を限界まで高めた。全身から黒いゆらめきが立ち上り、そこに突進していく。


「いくぞ、デストロイヤー!」


 二人の最大出力がぶつかり合おうとしていた。


 その瞬間、銀河中継の視聴率が90%を突破した。銀河中の人々が、固唾を呑んで見守っている。


 萌が舞台袖で祈るように手を合わせた。


「竹彦くん……」


 ニーナもカーカラシカから中継を見ながら、息子の無事を願っていた。


「メル、生きて帰ってきて……」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ