第百五十一話「絶望的な戦い」
ベルガモット星の首都は、もはや廃墟と化していた。摩天楼だった建物群は瓦礫の山となり、煙が空を覆っている。その中心で、一人の巨人が高笑いしていた。
「うわははははは! これが自由だ! 破壊こそが真の解放だ!」
デストロイヤーが両手を広げ、エネルギー弾を無差別に放つ。また一つ、街区が消滅した。
「俺は自由の戦士だあ! 銀河に俺の名を刻んでやるぞ!」
その時、上空から轟音が響いた。小型の飛空挺が急降下してくる。
「来たか、パニッシャー!」
デストロイヤーの顔に狂喜の笑みが浮かんだ。飛空挺のハッチが開き、小さな影が飛び出した。
「デストロイヤー!」
竹彦が叫びながら、渾身の拳を放つ。小型アーティカルアームを装着した腕が、デストロイヤーの顔面に直撃した。
「ぐっ!」
さすがのデストロイヤーも一瞬よろめいた。しかし、すぐに体勢を立て直す。
「相変わらず小さくてかわいいなパニッシャー! まだ150センチそこそこか?」
デストロイヤーは3メートル近い巨体で竹彦を見下ろした。
「153センチだ!」
竹彦が怒りながら訂正する。
「うわははははは! 3センチの違いなんてどうでもいい! お前はチビだ!」
デストロイヤーが拳を振り下ろす。竹彦は素早く回避したが、地面が大きくえぐれた。
飛空挺の中では、ラムザ、アスカ、マリアが息を呑んでいた。
「なんや、あの化け物……」
アスカが震え声で呟いた。
「エネルギー弾を素手で撃つなんて」
マリアも珍しく動揺していた。
「理論的にありえない。人体の構造では……」
「理論なんてどうでもええ!」
アスカが叫んだ。
「竹彦がやばい!」
確かに、戦況は一方的だった。竹彦が必死に攻撃を仕掛けるが、デストロイヤーには傷一つつかない。
「どうする?」
ラムザが焦った声で尋ねた。
「このままだと……」
竹彦が炎の法力を発動させた。赤い炎が拳を包む。
「これでどうだ!」
連続パンチを放つが、デストロイヤーは笑いながら受け止めた。
「温かいマッサージだな! もっと強く殴れよ、チビ助!」
巨大な手が竹彦を掴み、地面に叩きつけた。
「がはっ!」
竹彦が血を吐いた。
「大人しく殺されれば、痛い目を見ずに済むものを!」
デストロイヤーが竹彦を持ち上げ、ビルの壁に投げつける。壁が崩壊し、竹彦が瓦礫に埋もれた。
「竹彦!」
アスカが叫んだ。
瓦礫から這い出た竹彦は、既に満身創痍だった。アーティカルアームも半壊している。
「まだ……まだだ……」
竹彦がよろよろと立ち上がる。
「根性だけは認めてやる!」
デストロイヤーがエネルギー弾を放った。竹彦は必死に回避するが、爆風で吹き飛ばされた。
「うわははははは! これが銀河最強のパニッシャーか! 笑わせるな!」
デストロイヤーが両手を上げた。巨大なエネルギー球が形成される。
「これで終わりだ!」
飛空挺の中で、三人は顔を見合わせた。
「どうする? このままじゃ竹彦が……」
ラムザが拳を握った。
「囮になって時間を稼ぐしか……」
「でも、誰が行く?」
アスカが震えながら言った。
「あんなもん、瞬殺やで」
マリアが提案した。
「ここは神聖なジャンケンで決める」
「ジャンケンて……」
ラムザが呆れたが、他に方法もなかった。
「せーの……」
三人が拳を突き出した。
「ジャンケン、ポン!」
ラムザ:グー
マリア:チョキ
アスカ:パー
「え?」
三人があいこになった。
「もう一回!」
今度は、
ラムザ:パー
マリア:パー
アスカ:グー
「うそやん……」
アスカが青ざめた。
「私が負けた……」
外では、デストロイヤーがエネルギー球を竹彦に向けて放とうとしていた。
「死ねパニッシャー!」
「待てえええ!」
アスカが飛空挺から飛び出した。デストロイヤーが振り返る。
「なんだ、雑魚が」
アスカは震えながらも、覚悟を決めた表情をしていた。
(ヤバい、どうする……そうや!)
彼女の脳裏に、とんでもない作戦が浮かんだ。
(お色気作戦しかない!)
アスカは深呼吸した。この筋肉ダルマに通用するかは分からないが、他に手はない。
(関西のお姉さんの色気、見せたるで!)
彼女は上着のボタンに手をかけた。人生で最も恥ずかしい瞬間が、今まさに始まろうとしていた。




