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悪魔の後裔-2

期末試験当日。


自分は朝目が覚めると、珍しく……それはもう非常に物珍しくグリムが小冊子らしき本を手にブツブツと何事かを呟いていた。見るからに何かを……これまで学園内で学んだことを再確認し期末テストに向けて見直ししているのだろう。一学生としては模範的な姿だが、グリムにしてはあまりにも殊勝過ぎる態度であった。


それから……少しして、グリムと自分は大食堂で朝食を食べ、教室に向かう。自分があてがわれた教室内では最後の確認として、テスト範囲を見直している生徒を多く見かけた。自分も赤点をとっては敵わないと思い、この学園に通う生徒と同じように可能な限り教科書やノートの再確認を行うのだが、如何せん自分の世界に一切基づかない内容ばかりが問題として出されるので、普通のテストより難易度が高いのは当然の事実であった。


歴史……魔法……薬草学、錬金術に占術……テストの問題として出される様々な分野を見直しているうちに、本テストが始まった。自分は記憶の限り、頭の中に叩き込んだ知識を捻り出しどうにか解答欄に答えを記載し、わずかに余った時間で答えがズレていないか確認しつつ、最後にみるのは名前欄。しっかりと自分の寮と名前が筆記されていることを確認した途端に、テスト終了のチャイムが鳴る。


クルーウェルが生徒たちから答案用紙を集めている中、グリム、エース、デュースの二人と一匹がテストの緊張感から解放される中、はしゃぎだす。エースとデュースの二人は試験中、隣の席でこの世界のことについて知らない自分よりも授業中唸り声を出しまくっていた両名であるが、テストの結果は上々で手応えがあるのか、憂いなき表情であった。


「余裕綽々と云った感じみたいだけど、調子は良かったみたいだね」


「ああ、監督生……できる限りのことはやった」


「赤点とって補習になるとホリデーの休暇がまるっとなくなるからな。ここは意地でも本気を見せたってわけ」


つまりは頑張った……と云うわけなのだろうが、その割には何だろう。ニヤニヤとした顔をしているように見えるのは。また何か悪巧みでもしてないだろうかと、真っ向からテスト範囲を学習し挑んだ自分は若干のズルさを感じる。その感触を後押しするわけではないが、グリムも余裕な態度を見せており、直感的にではあるが「何かあるな」と自然にそう思った。


「ふわぁ~……一夜漬け、夜通し勉強して俺様は疲れたんだゾ。おい子分、テストも終わったし何もすることがないなら、寮に戻ろうぜ」


俺様は早く寝たいんだゾ――と主張するグリムをきっかけに、エースとデュースのそれぞれは各々所属する部活に顔を出すために、一同は解散となった。


テストの結果――答案用紙が返されるまでの間、数日ほどの日時が必要となったわけなのだが、その結果を楽しみにしていたのは、期末試験を一夜漬けで乗り切り赤点を回避したと確信するグリム、そうしてデュース、同じように調子づいたエースの三名だけではなかった。


他にも数名……否、沢山の生徒が高得点を得たと確信を以て断言できるほど、今回の期末テストは非常に成績の良いものとなっていたのである。


それは……異常事態と云えるほどに……。


実際、答案用紙を生徒へ返却したクルーウェルも同様の疑問を抱いていた。いや、その疑問は採点時から抱いていたものであろう。今回期末テストとして出された内容すべてが、去年の平均点を大きく上回るものであり、答案用紙を返却する時はカンニング、もしくは何らかの外法な手段を用いたのではないかと疑ってかかるほどのものであった。


テストの上位五十名は学校の廊下、食堂近くの掲示板に名前が張り出される。エース、デュース、そうしてグリムらと昼食がてら確認しに行くと、学年ごとに張り出された紙の前に沢山の生徒が集っていた。自分は犇めく人々を見ながら、普段はそこまで学業熱心なように見えなかったのに今回ばかりはテスト結果、上位者五十名の中に自分の名前が載っているのか、その事実が非常に気がかりらしい。


変であった。


上位者リストの名前を確認し、肩を落とす者……逆に歓喜の声を上げるものなどを後目にようやく自分らの番になり、首をあげて名前を確認する。事実上主席であるトップから二十位ぐらいまでが全教科満点を取ったのか一点も瑕瑾ない満点を誇り、堂々と上位に君臨している。二十から下の点数は九十八から九十五が平均点であり、リストのどこにもグリムやエースの名前はなかった。自分の成績は五十点以上の点数で、この二人と一匹のテスト点数からすればぶっちぎりのドベではある。しかし……二人と一匹、それぞれの点数は平均にすると約八十五。普通ならば、上位者リストの名前欄に載っていてもおかしくはない点数であった。


「え……こんなことってあり得る? 二十人以上が満点だなんて。二人か三人ぐらいが精々満点を取るのが最大限だと思うんだけど」


「そんなことどうでもいいんだゾ! 俺様、上位五十名内に入っていないと『契約違反』になっちまう!」


契約違反。


自分は小首を傾げながらグリムを見た。


本来、魔法士ではない自分と、獣人ですらないグリム。与り知らぬところで学園長とそのような約束事を交わしていたのかと思っていたのだが……。


「え……『契約』、まさかお前も……」


疑問を解消しきれないうちに反応したのが、エースである。何か覚えがあるのか尋ねようとした瞬間、デュースも似たような……いや、全く同じ反応をしたのである。二人と一匹は乾いた半笑いを出す中、突然の閃光。その光はこの学園で幾度となく見かけたことのある魔法行使の合図だった。


「いでででで!」グリムはしゃがみこみ頭を押さえる。「頭が何かに引っ張られる! おい子分、どうなってるんだゾ」


「イソギンチャクらしきものが、生えている」


自分は正直に答えながら、『契約』に覚えがあると云うエースとデュースを見た。彼らもグリムと同じく頭部の痛みを覚えたかと思うと、その頭頂部にはグリムと同じ海洋生物らしきものが生えていた。


グリムが涙目になりながら頭に生えたイソギンチャクを力付くで外そうともがく中、周囲がざわつく。その喧噪はいきなり頭部に触手らしきものを生やした二人と一匹に驚いたからではなく、大食堂近くの廊下、掲示板に集う人々の中でまばらでありながらも同じくイソギンチャクが突如頭部に生えた人が慌てているからであった。


何か悪いものを食べた……集団食中毒だろうかと混乱した頭で、「ええ……」と引き気味でいると廊下の奥からジャックが現れた。周囲の……イソギンチャクが生えた生徒を一瞥しながら、こちらの方へ近寄ってくる。


「何騒いでるんだ、お前ら」


「ジャック……お前も『契約』を、してないだと……イソギンチャクが頭から生えてないだなんて……」


驚愕するデュース。いちいち突っ込むのも面倒で合いの手を放棄していたが、通常人間の頭部にイソギンチャクは生えない。生えるようなものではない。何に驚いているんだと、敢えて云わなかった。


「本当にお前ら何を云ってるんだ。わけのわからないことを……」


ジャックも自分同様、「頭にイソギンチャクを生やした人間はいない」と突っ込むことなく、周囲の人間が同じ状況になっていることを精微に把握していく。ジャックが次いで口を開こうとした瞬間に、皆が再び頭部の痛みを主張し出した。頭部の触手があらぬ方向を向いたかと思うと皆はコンパスの指し示す方向に従うように動き出す。口では抵抗するような言葉を吐きながらも、イソギンチャク主導で身体が操られているみたいであった。


「なんかパラサイトと云うか何と云うか、ゾンビみたい。その内、思考は鈍麻しあやふやになっていくんだ。そして朧気な意識の中考えるのは、寄生物と自分、果たしてどちらが本当の生命なのかと云う疑問。自分の意思では動けない、寄生物に操られる身体をどこか他人事のように感じながら物思いに耽っていくのであった」


「怖い事云うなよ、監督生……」


「そういうゲームをやったことがあるだけデス」


絶対服従ってこういうことかよーとエースの叫び声が残響として響く中、「どうやらイソギンチャクが身体の主導権を握ってるなっているみたい。どうなっているか確認してみる?」とジャックに誘いの言葉をかけると、気がかりではあるのか腕組をしてしばし悩んだ後、「確かに何が起きっているのか気になる」と答え、肯定の返事を出した。


ジャックと自分は二人と一匹が動き出した方向を頼りに尾行していくと、鏡舎にはイソギンチャクを頭に生やした大量の生徒が集っていた。パラサイト……不気味な寄生生物に肉体の自由を奪われた人たちを眺めていると、様々な愚痴が聞こえる。その内容は主に契約……絶対服従に関するものばかりであった。


皆が悲惨な状況を口々に訴える中、その反抗的な意思に反して肉体は順々である。オクタヴィネル寮へと続く、ワープ装置の役割を持つ鏡の中へイソギンチャクらが次から次へと吸い込まれていき、その後をついて回る。


魔法の鏡を経由して辿り着いたオクタヴィネル寮は、ハーツラビュル、そしてサバナクロー寮とはまた違った趣のある寮であった。水場……というより水中の内に寮の建築物がでんと構えられている。酸素のない水の中なのに呼吸できる事実を不思議に思いながら、尾行の果てに辿り着いたのはレストラン……モストロラウンジであった。


周囲は水の中だが、寮の内部乃至建造物には水のない通常の空間が広がっている。自分は浮力のない地上……重力の重みをズッシリと身に受けながら直立する。


モストロラウンジには、二百ほど近い人数のイソギンチャクらが集合していた。ジャックは上背の高い身長を利用して周囲を見渡し、エースらを探している途中に、うさん臭い声が響く。


「契約違反の皆さん、どうかご静粛に」


「あれは……」ジャックは少し驚いた声を出す。「アズール・アーシェングロット。オクタヴィネルの寮長だ」


「寮長……」


リドル、カリム、そしてレオナといい、よく学園の主要人物と出会う。いや……今は会話すらしたことはなく遠巻きになりながら眺めているだけで顔見知りにすらなっていないが、その内知り合いになるだろうと、どこか確信めいたものを抱く。


「皆さん、僕の経営するモストロラウンジへようこそ。僕はここの経営者であり、ここへお集りいただいた皆さんの主人になる男です。どうぞ、ご理解のほどを」


沈黙。


ジャックと自分は密かにこの場の支配者の言葉に、注意を注いだ。


「僕が皆さんと交わした『契約』。この場にいる哀れなイソギンチャクらは、契約違反を起こして……成績上位五十名内に入る勝負に負けて、手下になった。僕が卒業するまでの間、粉骨砕身、僕の命令を忠実に聞いて内容を把握し、従者として身を粉にして働いてもらいます」


「ちょっと待った!」


異議を唱えるエースの声。


「お前がどんな命令を出すのかわからねえけど、そもそもこれ『契約違反』なんじゃねーの! 俺たちを『今後あなた達の勉強をサポートさせて下さい』だなんて甘いことを云いやがって。詐欺もいいところだ!」


「詐欺だなんて、人聞きの悪い」アズールは実に底意地が悪そうに笑った。「僕は君に今季の期末テストの対策ノートを渡した。そしてこれからも対策ノートを渡すと約束し、先に契約で対価を支払った。それだのに、契約違反だの詐欺だの何だの、云い掛かりも甚だしい」


「確かに、今回の期末テスト……今までにない点数は取れたぜ。あんたが対価として先払いした対策ノートのお陰だ。だがな、契約を交わした人数……ここにいるイソギンチャク。対策ノートを渡された人数がこんなにいるだなんて聞いちゃいねえ。契約内容は上位五十位以内に入ることだった。これだけの人数がいれば……五十以内から転落して炙れるのは当然の事実じゃねえか」


上位五十位に入ることが出来る対策ノートのバラつき、大量配布。


百名以上いるイソギンチャクらを眺めながら、これだけの人数に対策ノートを渡したのであれば、エースの云う通り『詐欺』かもしれなかった。


「そうは云いますが、誰とどのような契約を何人と結んだのか聞かれていませんでしたから。期末テストにおける対策ノートの契約を、一体どれぐらいの人数と結んだのか尋ねなかったそちら側に落ち度がある」


「なんだそれ! 悪徳い! 悪魔にもほどがある!」


「……言葉には気を付けてください」


悪魔。


エースにそう呼ばれたアズールは神経質そうな仕草で、眼鏡に触れた。


「……ここで改めて、おさらいをしておきましょうか。契約内容は『期末テストで上位五十名に入ることが条件。条件を満たせば、今後無償であらゆるテスト対策の情報を渡す。条件が達成されなかった場合、僕が卒業するまでの間、しもべとして命令を無条件に従い遂行する』……僕は契約の先払いとしてここにいるおばか……ゴホン……皆さまに対策ノートを渡した。契約として何の瑕疵もないはずです」


契約書の内容を改めて御覧になりますか。


アズールはそう云い、黄金色の用紙を取り出した。その紙は見るからに特別かつ魔法で出来たものであることが分かる。


「だけど、それは――五十名以上の人数に対策ノートを配布しているじゃねえか。ここにいる皆……ざっと百名以上か……お前は合計一五〇名以上の人たちとその契約を交わしたんだ。だとすれば自然、成績上位者に入れない人たちが出て来ることは容易に想像できただろう」


「しかも、それを分かっていた」イソギンチャク、エースは云う。「聞かれなかったから答えなかっただなんて……知っていたらそもそも契約を交わしちゃいない」


そうだそうだ。


モストロラウンジに集った被害者一同は同調する。


「でも、抜け道でも何でもなく正攻法で……僕が作った対策ノートで上位者になれば、しもべとなる必要はない。実際、契約者の中で五十名の中に入り、僕との勝負に勝利した契約者が数名います」


端的に述べて、対策ノートがあるからといって甘えて努力を怠ったあなた達の怠慢が敗北の要因でしょう。


アズールは云う。


「僕はあなた達に誠実な契約を交わしたつもりですが、それが詐欺だと? とんだクレーマーです……とはいっても頭にしもべの証、イソギンチャクが生えている以上、異論を唱えようとも僕の黙れの一声で言論統制することも自由自在。あまりにも煩いようでしたら、不満さえ云えないように黙らせることさえできるんですよ」


実際、やってみましょうか。


――とアズールがその場にいたイソギンチャクの一人を指さそうとした途端、ジャックが「我慢ならねえ!」と吠える。これまでラウンジの隅っこで隠れるように待機していたのだが、群衆をかき分けて堂々と前に出るのである。


エースとデュース、グリムが驚く最中、義憤に燃えるジャックをアズールはマジマジと眺める。頭部にしもべの証であるイソギンチャクがないこと……そして自身の記憶と照らし合わせてそもそも契約者の一人、もしくは成績上位者ではないことを判断しながら慎重な態度で出た。それは恐らく、身体能力に秀でた獣人の暴力を警戒したのではなく、何をしようと……何か余計なことをしでかさないか注意したものであった。


「部外者、ですね。今は話し合い中です。それにモストロラウンジの開店時間を迎えてはいない。どうぞ、ご退席の方を……」


「部外者だと? 確かに直接的にみればそうかもしれないが間接的に見ればそうじゃない。俺はな……期末テストに向けて自分で努力してきた。真っ向から勝負して正々堂々戦うためにな。それなのにこいつらときたら……お前の対策ノートを使ってやがった。お前がそういった不正をした所為で、仮初ながらも力を貸した所為で本来あるべき学歴順位の結果を見ることが出来なかった。勝負が、成立しなかったんだよ。俺は正面から勝負したかったのに、それをおじゃんにされたんだ。全く関係がないわけじゃねえ」


「サバナクロー寮生、ですか。寮の多くは運動部に所属し勉強は疎かで脳筋のカモ……おほん、良い契約者として円滑な関係を結べそうと踏んでいたのですが、あなたのような……他人の力を借りず自ら勉強に取り掛かる人もいるんですね。少し意外です」


「ジャック、俺たちを助けてくれるのか?」


足元によってきたグリム。自分はイソギンチャクを眺めていると、彼の口から出された言葉はあくまで独善的なものだった。


「勘違いはするんじゃねえ。俺は堕落したような……対策ノートだが何だか知らないが、楽してズルしようとした奴らは嫌いだ。ここにいるイソギンチャクたちは気に食わない。それはグリムにも該当する」


「おめー何しにきたんだゾ」


文句を云いに来ただけか?


グリムは呆れた顔をしながら率直な意見を云うと、アズールが掲げる黄金の契約書を見上げる。そして何かを思いついたように叫んだ。


「あっ、そうだ。そもそもあの紙切れ……契約書がなければ、この契約は無意味。俺様の得意な炎の魔法で燃やしてやるんだゾ!」


グリムはそう云ったかと思うと、大きく息を吸い込んで青褪めた火球を放った。アズールは盾のように黄金の契約書を突き出す。端からみれば、グリムの言葉に乗ったかのように自らの契約を焼き破って破綻させる自傷行為でしかなかったのだが、契約書に青白い炎が回ったかと思うとその契約書は欠けることも破れて穴も開くことなく、健在であった。無傷。火の手が回り、煙を上げて焦げと共に消滅することはなかったのである。


「愚かな。いくら特別な青い炎といっても、契約そのものを反故することなんてできません。いくら魔法を放っても無意味。あなたは契約そのものに風や水の魔法をぶつけて、その約束事をなかったことにできますか。この黄金の契約書は、そういった魔法なんです」


アズールは手早く、自分の懐に契約書をしまい込んだ。自分は注意深く、彼の表情を観察していたのだが、若干表情が強張っていたように見えたのは気の所為だろうか?


「魔法で契約書を破棄することはできない、無意味な結果に終わる。でもだからと云って面倒ですねえ。わざわざ喧嘩を売られて一々対処するのは骨です」


今回の契約。


アズールが卒業するまでの絶対服従の契約内容。


「命令です。ここにいるイソギンチャクたち、僕のしもべは黄金の契約書を傷付けることは許さない。いかなる傷、破損、汚れ、窃盗、記載内容の追記と改竄、左記の内容を禁止します。これは絶対服従の命令です」


『うぐ……』


グリムに相次いで、血の気が多いのかそれとも判断が早いのか、すでにマジカルペンを構えたエースとデュースは自然とその腕を下す。電波塔の受信の如くアズールの言葉を受け取り、肉体をあるじの思い通りに動かす司令塔のイソギンチャクは二人の動きに制限を付けるのであった。


「それにしても……サバナクロー寮生のジャック・ハウルさんと……オンボロ寮の監督生さん。ここはお引き取り願いたい」


……と、その言葉が何かの合図だったのかアズールの背後に控えていた長身の双子がノッソリと姿を現す。その態度が現す言葉の意味は「ここで引き返さないようであれば暴力も辞さない」。つまりは脅しである。


ジャックはちらりと魔法の使えない自分を見た後、悔しそうな表情を隠すことなくスゴスゴと引き下がる。ジャックに連れられモストロラウンジから退出する間、自分はグリムとエース、デュースの姿を心配そうに振り返って見詰めるのであった。


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