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失恋

僕は三枝冬樹。

いたって普通の男子高校生。

陰キャとも陽キャとも言えない。

友達はそれなりにいるし学力もそこそこ。

よく言えば模範的、悪く言えば地味。

そんな僕にも・・・好きな子がいる。

その好きな子というのが

「おはよー。」

「・・・・・・!?」

「・・・お、おはよう」

あいさつをし僕の一つ前の席に座る彼女。

「古明地こいし」

ニ年生にあがり僕が一目惚れした人。

こんな僕にも優しく接してくれる。

顔は可愛くて性格もいい。

僕はそんな彼女に釘付けだった。


僕はニ年生になるまでは恋愛というものに興味がなかった。

いや、正すなら昔はあった。だが高校生になって恋愛に興味がなくなった。

中学生の頃、僕には好きな人がいた。

それはまた、いい人で。

僕は彼女と関わりたくて色々な努力をした。

自分磨きだったり友好関係を広めたり。

僕は努力をした。

そして彼女と友人という関係になれた。

嬉しかった。

とても。

それからの毎日はとても幸せ。

彼女と話す。

それだけで幸せになれる。

どんな辛いことキツいことがあったって彼女のことを考えたら嘘みたいに吹き飛ぶ。

そんだけ愛の力って強いのかな。

そんな感じで僕は彼女と上手く関係を気づいていった。

だが、時の流れってのは早いもので

気づけば卒業式ある三月。

後悔もしつつ彼女に対しての告白のことを考える。

だけど、

だけどね。

神様は僕に味方はしてくれなかった。

・・・彼女に、彼氏ができた。

僕よりもスペックは高い。

悲しかった。泣いた。

どうしようもない気持ちが。

なんともいえない気持ちが。

心にぽっかりと穴が開いてしまったみたいだ。

・・・運が悪かったのかな。

「ハハッ」

・・・運のせいじゃないか。

僕のせいだね。

僕が彼女の彼氏より努力していたら。

もっと早くに告白していれば。

そんな後悔ばっかしてしまう。

そっからの日々は憂鬱なもので。

何にも興味を示さなくなって。

ただ淡々と時間が過ぎていくのを感じる日々。

ある日、僕は学校を休んだ。

卒業式の練習だというのに。

その日はどうしても学校に行きたくなかった。

何故だろうね。

わからないな。

僕は一日中ベッドの中でスマホをいじる。

YouTube、Twitter、ぼーっと眺めて

その時、一つの動画に目が止まった。

その動画はノベルゲーム風の紙芝居のような動画だった。

僕は。

感動した。

泣いた。

その動画、いや物語に。

他にもその投稿者の物語を見てみる。

どれも感動的で。

僕の心にあいた穴が塞いでいく様な。

勇気がもらえた。

このままではいられない。

そう感じた僕は。


卒業式の日。

式は終わりみんなが教室に戻る。

足と手は震え、今までにない緊張を感じる。

だけど、勇気をもらえたから。

後悔はしたくないから。

・・・そこからは、早かった。

「・・・さとりさん・・・!」

「・・・えっ!?、なに!?」

彼女の手を無理矢理引っ張り廊下に連れてくる。

「・・・どうしたの?」

「・・・さとりさん。」

「返事はいらない。だけど。」

「これだけは伝えたかった。」

「・・・あなたが・・・好きだった・・・」

・・・っと

後悔はしたくない。だから言った。

僕の思いを。

「・・・・・・あ」

さとりさんは泣いていた。

泣いていた。けど。

その表情は笑顔で。

・・・嬉し泣きだった。

さとりさんの表情をみて思わず僕も泣きそうになる。

けどもここで僕が泣くのは違うだろう。

僕は泣きそうになるのを全力で堪える。

「・・・失恋、しちゃったな」


そして、高校入学。

僕は普通の模範的な学生。

学校では友達と話し、家に帰ったら趣味のゲームをする。

そんな生活。

そんな生活をしてたら一年が経ってしまった。ニ年生に上がった僕。

そこで出会ったのが。

・・・彼女だった。

好きになった。

好き。どうしようもなく好きだった。

付き合いたい。

彼女と恋人になりたい。

灰色だった僕の生活に灯ができた。

「彼女と恋人になりたいと」

目標ができた。

後悔はしない。

それだけじゃない。

後悔はしないし幸せを掴む。

僕は教室の窓から見える晴天を眺める。

あの時見た、物語を思い出しながら。

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