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なんもはじまんない『浦島太郎』

むかしむかし、あるところに・・・

浦島太郎という心優しい青年がおりました。


ある日のことです。

浦島太郎は海沿いを歩いていました。



*浦島太郎*「うーん!」

*浦島太郎*「いい天気だ・・・」

*浦島太郎*「・・・ん?」

*浦島太郎*「なんだか浜辺の方が騒がしいな・・・」



浦島太郎が目を向けると・・・

そこには3人の子供と1匹のカメがおりました。



*こども1*「おら! おら!」

*こども2*「カラダひっこめんな、おら!」

*こども3*「調子のんなよ! おら!」



なんと!

子供たちがカメを囲って、いじめているではありませんか!



*浦島太郎*「あんのワルガキどもがァ!!」



浦島太郎は怒りにこぶしをふるわせます。



*浦島太郎*「ウミガメはレッドデータアニマル!」

*浦島太郎*「つまりは絶滅危惧種!」

*浦島太郎*「ただでさえ砂浜のゴミ問題で数が減ってるってのに・・・」



浦島太郎はポキポキと指を鳴らしました。



*浦島太郎*「あのガキども・・・」

*浦島太郎*「俺が絶滅させてやろうかッ!?」



浦島太郎は心優しい青年です。

しかし優しさのあまり、

過激なバイオレンスに走ってしまうところがあるのでした。



子供たちをこらしめるべく、浦島太郎が近づいていくと・・・。



*ウミガメ*「ああっ!! いいです! すごくイイッ!!」



ウミガメが恍惚とした声であえぎました。



*浦島太郎*「・・・え?」



浦島太郎は思わず歩みを止めます。



*こども1*「おら! おら!」

*こども1*「ここか? ここがいいのか?」


*こども2*「ざぁこざぁこ!」

*こども2*「すぐ甲羅に引きこもっちゃう意気地なし!」


*こども3*「よわよわ~」

*こども3*「万年生きられるのに、女の子に手も足も出せないクソザコ生物!」



*ウミガメ*「あ~、その言葉選び、最高です!」

*ウミガメ*「もっと! もっとください! もっとぉ!!」



よくよく観察してみると・・・

浜辺にいたのは、ワルガキにいじめられている可哀想なウミガメではなく・・・


メスガキにいじめられて興奮する変態マゾヒストなウミガメでした。


*ウミガメ*「あ~、産卵がはかどる~!」

*ウミガメ*「えくすたしぃ~!」


*浦島太郎*「・・・」

*浦島太郎*「互いに合意の上だってんなら、まあ・・・」

*浦島太郎*「俺がとやかく口を挟むのも・・・なぁ?」

*浦島太郎*「趣味は、その・・・それぞれだと思うしよ・・・」



「ざぶんざぶん」という波の打ちつける音と

「ざぁこざぁこ」という罵声が入り混じる中・・・



浦島太郎はウミガメを助けることなく去っていきましたとさ。





めでたしめでたし。




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