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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

ホワイトデー、その後

作者: 新竹芳

バレンタインネタに続いて、ホワイトデーネタです。既に3日も経ってしまいました。

トホホホ。

 人生には予期せぬ出来事というものがあるようでしてね。


 今年のバレンタインデーに違うクラスの女子3人から、チョコレートをもらったんですよ。

 いや、自慢じゃないですって!


 今は確かに違うクラスですが、去年は同じクラスの子ではあり、面識はありました。


 と、言うよりも文化祭のお化け屋敷で内装の飾りつけを一緒にやったメンバーなんです。

 正確にはその女子3人と、俺を含めた男子3人の計6人が、教室内の順路の途中に脅かし役のクラスメイトが待機する場所の作成班でした。

 だったんですが…。


 男子二人、野球部の野沢と卓球部の卓沢が逃げちゃいましてね。

 部活の文化祭の手伝いを理由に…。


 そんなことは、この係を決めるときに言っておくべきことで、今更それを言い訳にして逃げないでほしいですよ、まったく。


 女子3人、彩羽真理(イロハマリ)尼生江沙織(ニオエサオリ)土地千鶴(ドチチヅル)が怒って、でも既に二人は逃亡に成功。

 そのとばっちりが僕にきたんです。


 おっと、自己紹介がまだでしたね、ごめんなさい。

 こんな愚痴みたいな相談に乗ってもらってるのに、名乗らないってのはいかんですな。


 僕は、宜温彰司(ギオンショウジ)17歳、高校2年。

 彼女いない歴=実年齢と、どこにでもいる陰キャ童貞ってやつです。

 自虐が既にデフォです。

 ヲタク趣味に関しては、さて、どういっていいものやら。


 アニメもラノベも好きですが、普通に洋画も邦画も、つまり映画も好きで小説もよく読む方だと思いますよ。

 特に魔法関係の読み物はよく目を通しています。


 うーん、その眼。

 この事を言うと必ずそういう目をするよね、君たちは。

 なんていうんだろう。

 可哀想な奴に蔑みと同情を乗せた視線っていうものだよね。


 魔法と剣の世界にあこがれる厨二病の少年。

 そんな感じなんだろう。

 うん、知ってた。

 

 何と言っても、魔法について語りたいって言って、集まってきたのにもかかわらず、すんごく冷めた目線を君が送ってきたから、この個人ビデオチャットに誘ったんだからね。


 あーと、カメラ切ったり、退室しないでよ。

 ほんとうに僕にとっては一大事なんだから。


 魔法は好きだけど、そんなに熱いものを持っていない、そんな人を探してたんだから。

 で、話は戻るんだけど、さっき言った4人、ぼくに女子3人では、あと2日に迫った文化祭に間に合いようがなかった。

 普通なら、うちのクラスの文化祭実行委員に泣きつくとこだけど、ぼくには特技があってね。

 それがさっき言ってたことにも絡んでくるんだけど…。


 僕の特技、魔法が使えるんだ。


 ああ、だから退室しないでよ、お願いだから!


 だから、相談も後からありますから、まずは僕の話を聞いてください。


 そう、ぼくが魔法を使えるって言う前提で…。

 あっ、でも、そんなすごい魔法というほどではないんで、期待しすぎるのも無しという事で、よろしくお願いします。


 まあ、そんな蔑むような顔つきになるのはどうしようもありませんね。

 いいですよ、しっかり話を聞いてくれれば。


 話を戻しますよ。


 文化祭の準備の話ですよ、覚えてます?


 そんな怖い顔しないでくださいよ。

 PC越しじゃ、ぼくの魔法も証明できないんで…、悔しいなあ。


 あっ、今少しほっとしましたね、PC越しに魔法が使えないことに…。

 少し信じてますね、僕の事。

 だと、話しやすくて助かる。


 そういうことで、早い話が、彼女たちの見えていないところで、通路を作ってる暗幕と脅かし役のいる待機スペースとの間を仕切るカーテンを作ったんですよ、魔法で。

 さすがに短時間での魔法は体力的にはきついんですけど…。


 ええ、その通り!

 彼女たち3人は感謝はしてくれましたよ、結果的に仕事が終わったんで…。

 でもね、なんか怪しい目で見てくるんですよ、僕を。

 なんでこんなにすぐ、いとも簡単にこのカーテンを作れたのかってね。


 疑ってる眼なのはわかったんですけど、仕事早く終わったからいいじゃないですかね。

 そうは思いませんか?


(最初から、こうなるように狙ってなの?)


 急にそんな声が聞こえてきたんですよ。

 えっ、なんで()つきなのかって?


 声ではなく思考が僕に聞こえたからですよ。

 声だったら「」で示しますって!


 ああ、魔法ね、って。

 そんな投げやりに言わないでくださいよ。

 その通りなんですけど!


 彼女たちの心の声が聞こえたんですよ。

 でもね、人の本心って、その人が強く考えてないと聞こえてくることないんですよ、僕の場合。

 言い換えると、それぐらい彼女の思考が強かったってことなんですけど。


(私たちに、いかに自分が優秀かアピールするために、あの二人と芝居組んだんじゃないか)って疑われちゃったんですよね、これが。


「宜温君って凄いね!あっという間にこんなの作っちゃって!もう私達、やること殆ど終わっちゃたじゃない?どっかで休憩しようよ!」


 今度はちゃんと声で言ってくれたんだよ。

 この声を掛けてくれたのが土地千鶴さん。

 3人の中で一番背が小さくて、なんていうか、リスみたいな可愛い子。

 ちなみに、さっきの心の声は彩羽真理さん。

 背が一番高くてスラッとした感じの子。

 もう一人はぽっちゃり系で、胸の大きな尼生江沙織さん。

 この3人は仲が良くていつも一緒にいる。

 そんな感じなんだけど…。


「ああ、そうだね。でも、あと2か所あるから、僕やっとくよ。3人はどこかで休んでて。」


 って、言って、見えないとこで作業を終わらせちゃおうとしたんですけど…。


(なんなの、こいつ。そんなに自分は出来るんですアピールしたいんか。うわーキモイんですけど)


 死にたいと思いました。

 自分が魔法を使えることが、また嫌いになりました。

 子供のころ、得意になってやっちゃた時を思い出します…。


 あれ、大丈夫ですか?

 PCの脇のペットボトルがなんだか大変なことになってるみたいですけど…。


 ち、違いますよ、僕じゃないですって。

 さっきも言いましたけど、PC越しには使えないんですよ、魔法。


 キモイって言葉、本当に嫌ですよね。

 君はそんなこと思ってないでしょう?

 あれ、なんか汗かいてませんか、大丈夫ですか?


「ありがとう、宜温!じゃあ、うちら、ちょっと休憩してくるよ!」


 彩羽さんがそう言って他の二人を促して、その場から離れて行きましたね、キモイとか思いながら。土地さんはちらちらと、僕を見てましたけど。


 何とか僕は作業を済ませて、文化祭に間に合わせた。

 逃げた二人は他のクラスメイトからこっぴどく怒られ、強制的に脅かし役を他の人より多くやることで話がついたようなんだけど。


 でも一緒に作業してた3人の女子は一度僕にお礼を言ったきりでした。


 なんか癪に障ったんで、彼女たちがクラスのお化け屋敷を見物しに来たのを見て、さっきの脅し役の野球部野沢君と変わって、脅すことにしたんだよ。

 人の事を疑ってるんだから、せめてそれくらいしてもいいかなって思って。


 結果は大成功。

 なんと言ってもぐるぐるにまいた白い包帯に、本物の僕の血が流れ、さらに青白い炎が僕の周りを淡く照らしていましたからね。

 人魂みたいで、効果抜群!

 卓球部の卓沢君に撮ってもらった動画、お見せしますね。




 PCの画像が切れ替わり、少しうす暗い画像になった。


 その中に4つの青白い光。

 確かに人魂にも見える。

 その中央に包帯を巻いた人物が片目を出した状態でこちらに迫ってくる。

 言われたように赤くにじんだ箇所が、頭部、胸部、右上腕、右腹部と両足である。

 赤くもあり、黒ずんできてもいる。


 カメラに甲高い叫び声が入った。

 カメラのライトに光が点ったようで、周りの光景が鮮明に見えた。

 文化祭のお化け屋敷だ。

 ちゃちな暗幕用のカーテンが天井から掛けられているのが、少しほのぼのとしてしまう。


 だが、そんな中に女子高生が3人映っていた。

 この子たちが、彩羽さん、尼生江さん、土地さんなのだろう。


 一人、少しぽっちゃりとした女子はそのちゃちな暗幕にしがみついている。


 真ん中の子が完全に倒れていた。

 意識もない感じ。


 左側の女の子は、腰が抜けたようにしゃがみこんで恐怖にひきつった顔をカメラに向けている。

 背が高く見えることからこの子が彩羽さんなのだろう。

 短めのスカートから白い下着が見えていた。


「い、いやああああああああー!こないでえええええええええええーーーーーー!」


 こちらに顔を向けている彩羽さん、絶叫だ。


「ちょっと、怖がらせすぎだろう、宜温。」


 4つの人魂が消えた。

 誰も魔法とは思っていないらしい。


「ああ、悪かった。彩羽さん、尼生江さん、土地さん。僕だよ、宜温だよ。」


 そう言った包帯男が、その頭部の包帯を外す。

 しかしその下からは頭部から血を流している顔が出てきたことで、絶叫していた女子もそのまま意識を失った。

 暗幕にしがみついていた女の子もそのまま倒れてしまった。

 その拍子に短いスカートがめくれた。こちらは淡いピンク。




 そこで動画が終わり映像が切り替わる。


 という様な事をやったったんですよ。

 その後、ほとんど口を利かずに1年が終わり、クラス替えでその女子たちとの接点はなくなりました。


 そうです、そんな女子たちからバレンタインデーにチョコをもらったんです。


 ね、意味わかんないでしょう。


 そうですよね、やっぱり。

 何かの復讐、って思いますよね。

 でも、3人から放課後にチョコを渡されたんですけど、別に毒が入っているとか、酷い味という事もなく、おいしく食べれました。


 家族にチョコ貰ったと言ったら、めちゃくちゃ驚かれました。

 そりゃあ、そうですよ。

 もらった本人、僕自身がびっくりしてるんですから…。


 そうですね、味に関わらない程度に、雑巾のしぼり汁が入っていて、陰で笑ってるとかはありそうですよね。

 確かに。


 ここからが相談なんですけど…、ホワイトデー、どうすればいいと思います?





 うん、うん、ううん……。


 それが分かれば、ね。

 単純に人を笑うための悪戯なら、無視でしょうけど…。


 人の礼儀としてはお返しをしないと…。

 単純に貰ったチョコ、おいしかったですし…。


 えっ、今何と…、なんて言いました?


 心が解るような薬…。

 ク・ス・リ……。

 薬かあ……。

 そうですね、そういう薬、あると便利ですね。

 自分のことをどう思っているのか、好意か、悪意か…。

 それが判れば自ずから答えがわかりますが…。

 好意か悪意か…。


 何を考えているのか聞くのが早いって!

 そんなこと非モテ陰キャ童貞に出来るわけないでしょう!

 だ・か・ら、こんなややこしいことしてんですよ、僕。


 めんどくさい男であることは十分わかってます!


 ため息つかないでください!

 僕なんか、チョコ貰ってから何度ため息ついて、幸せを逃がしている事か…。

 はあ~。あっ、またため息ついちゃった。


 でも、それいいですね。


 ああ、何のことかって。

 さっきの行為と悪意を判別する薬ってやつですよ。


 ちょっと思いついたんで、試してみますよ。

 ありがとうございます。


 ところで、女子に人気のお菓子、何かありませんか?






 お久しぶりです、宜温彰司です。


 何度か連絡入れたのに拒否るのやめてくれませんか。

 哀しくなっちゃうんで…。


 そうですよ、あなたが教えてくれたお菓子を送った結果なんですから。


 ああ、そっちが気になりますか…、そうですよね、あなたのヒントですからね。


 魔法使える話って、覚えてますか?


 露骨に怖がらないでくださいよ。

 言ったでしょう、PC越しでは魔法効かないって。

 あのペットボトルの爆発あ僕の所為じゃないですよ!


 でね、好悪を判別する薬、作っちゃいました。


 あの文化祭で悲鳴上げた彩羽さんみたいな顔ですね!


 その薬を飲むと、僕に好意を持っている場合は何事も変わらないんですけど、悪意を持っていると、その度合いで体に変調をきたします。


 あれ、怖がってる割に聞きたそうですね。

 そうでしょうね。

 怖いですもんね。


 少しの悪意なら腸の調子が悪くなる程度です。

 下痢くらいかな。


 中程度の悪意なら、ウイルス性の腸炎みたいに下痢と吐き気。


 ん、最大級の悪意の時?

 そうですね、おそらくですけど…、エボラ並み、ってとこですかね。

 エボラ出血熱、知ってますよね。

 体中から出血して死に至る病。

 そんな感じになりますよ。

 あれ、なんか震えてません、大丈夫ですか?


 彼女たちのこと、気になりますよね。

 身体から血を流して死んでないかってね。


 それは安心してください。

 3人とも生きてますよ、世寸(セスン)さん。


 あれ、驚いてますか?

 本名を僕が知っていることに。


 だって、分かってますよね、土地(ドチ)さんの事。

 探してたんでしょう、ずっと。


 面白かったですよ、文化祭の動画をお見せした時の動揺した顔から、喜びの表情に変わる瞬間。

 探していたものを見つけたんですもんね。


 僕も気づかなかったんですよ、土地さんが4年前の少女だったことに。


 言いましたよね、昔魔法を友達に自慢して、気味悪がれたって事。

 小学校高学年から中学くらいまで、本当に悩んでいたんですよね。


 そんな時でしたよ、公園で途方に暮れている少女にあったの。


 家族のことで悩んでましたね、彼女。

 既にお兄さんのことが両親に知られて、離婚という形をとって逃げようとしていたって話でしたよ、彼女。


 でも、諸悪の根源のお兄さんは執拗に彼女を狙っていた。


 泣いていた彼女が、何の関係もない初対面の他人である僕に縋ってきたんですよ。


 一番はスマホにスパイウェアが仕込んであったんですよね。

 こいつがまたややこしくて、どうしようかと考えちゃいましたよ、世寸さん。

 実の妹にあんなに酷いことしといて、離婚してもストーカーになられても困りますしね、お兄さん。


 そうですよ、あの日以降彼女を追えないようにしました。

 とりあえずの処置でしたが、すぐに遠方に避難できたようでそれから会うことはなかったんですが…。


 あなたをここに招くのにはちょっと時間がかかりましたよ。


 魔法が欲しかったのは、本当はあなたですよね、世寸さん。


 実の妹を自分の手元につなぐ鎖になる魔法を。


 僕の言う魔法なんて嘘ですよ、世寸さん。

 全て技術と工夫ですかね。

 人魂よくできてたでしょう。

 最近のLED電球と小型ドローンの組み合わせで、暗いところなら結構それっぽかったでしょう。

 まあ、女子高生のパンチラはサービスというか…。


 ああ、やっぱりわかってましたか。

 そうです、土地さんを誤魔化すという意味もありましたが、矛盾してるのは解っています。

 あの動画は土地さんを追っているのがあなたかを確かめる意味もありましたから。


 土地さんとの再会は偶然ですし、僕には全く彼女だとは思っていなかったんですよ。

 苗字も世寸から土地に変わってましたし、綺麗になってましたから。

 というより、公園の少女はやつれて生気というものがなかったんだから。


 ついこの間、バレンタインの時にその話を聞いて初めて思い出しましたよ。

 そして打ち明けてくれました。

 貴方の行いと、また接触をしてくる可能性があることに不安を持っていることを。


 ええ、そうです。

 3人からチョコをもらったわけではありません。

 土地さんからだけもらいました。

 彩羽さんと尼生江さんが、俺の怖さとパンチラについて、かなり俺を警戒していたらしいくて。

 でも、事が事だけに土地さんの頼みを聞く気になったらしい。


 土地さんは1年のころから俺を分かっていたらしいが、俺が気付かないことにむくれていたという事も、その時聞いたよ。


 4年前、スパイウェア以外にもGPSの類は全部潰したつもりだったんだが。


 今年になって、見知らぬアカウントからの執拗な接触が、スマホに来ていて気持ち悪くなり、思い出さない俺に腹を立てながらも、俺に対する好意の告白と共に頼まれたんだ。


 今後一切、世寸邦夫が土地千鶴に近づかないようにしてほしいと、ね。


 でも、どうでした?

 動画からうちの高校、特定しましたよね。

 動画自体には極力情報は載らないように編集したつもりではあるんですが、あなたの技術なら必ず突き止められるだろうってね。


 デジタル庁最新電子追跡班の世寸邦夫主任。


 特定はできても、うちの高校に近づくことは出来なかったんじゃないですか?


 魔法、信じてますよね。


 だから、俺があんたに、魔法をかけた。

 そう思った。


 半分は正解です。


 怖かったんですよね、俺が。

 高校に行って俺に逢った時のことを考えたら。


 あの時の突然弾けた、ペットボトルみたいになるかもしれないって。


 そうですね、心理誘導とも言いますね。


 だから俺からのメールも怖くて開いてないという事でしょう、世寸邦夫。


 おかしいとは思ってるでしょう。

 今日、PCを起ち上げたら、いきなりこの動画チャットが起動して俺が微笑んでいたんだから。


 そうです。

 この状態には俺がしました。


 さすがにPCに電源が入ってない状態では手が出ませんでしたが、PCが起動してインターネットに繋がったら、一連のプログラウが動いて、このチャットが開くようにね。


 そんなことが出来るはずがない?

 いや、実際、今、繋がってるじゃないですか?


 往生際が悪いですね。

 このカメラ越しにも異常に汗かいてますよ。


 大丈夫。

 俺は魔法使いではないし、お前を殺す力なんかないですよ…、って言っても信じてもらえないですかね。


 ええ、そうです。

 また俺は嘘をついたよ。

 さすがだね、高級官僚さん。


 あんたは実の妹である千鶴に、小学生のころから性の玩具として扱ってきた。

 その時の写真や動画も撮っている。

 そのPCに接続してるHDDやメディアに入ってんだろうね。


 千鶴に泣かれたよ、全部壊してほしいって。


 ああ、スイッチは切れないから安心して。

 逃げることはもうできないよ。


 本当に申し訳ないとは思ってるけど、あんたには嘘ばかりついてしまっててね。


 もう知ってるとは思うけど念のため。


 魔法がPC越しには届かないって話も、嘘ね。

 あの時はつい頭にきて、ペットボトルを破裂させてしまって、悪かったなあ、なんて思ってる。


 あれなかったら、もっと俺の言葉、信じてくれたんじゃないかって、思ってさ。


 そうすれば、こんなややこしいこと、しなくて済んだんじゃないかって。


 お前には殺し方のヒントまでもらってたからね。


 例の悪意の度合いによる魔法の掛かり方って話。


 別に薬を作る必要なんかなくてね。


 このPC越しに術かければ済むことだから、本当に簡単。


 礼を言っておくよ、ありがとう、世寸邦夫。


 俺の魔法って、面と向かってだとあんま、効力ないんだけど…、不思議なことに電子機器を通すと、力が巨大になってくらしいんだ。


 ああ、もう始まってるね、HDDが破裂してる音が聞こえてるよ。


 俺も、人殺しってのは嫌いなんだ。

 だからさっきの悪意の程度によって術の効果が変わるってアイデア、凄い助かってるんだよ。


 だって、生きるも死ぬも、お前さん次第だからさ、世寸邦夫。


 ちょっと、今回の魔法は特に精密に作らなきゃなんなくて、すっかり疲れたよ。


 もう俺寝るわ。

 おやすみ、千鶴のお兄さん。


 起きられると、いいね。



ここまで読んで頂きありがとうございます。

もし、この作品を気に入っていただけましたら、ブックマークをお願いします。作者の書いていこうという気持ちを高めるのに、非常に効果的です。よろしくお願いします。

またいい点、悪い点を感じたところがあれば、是非是非感想をお願いします。

この作品が、少しでも皆様の心に残ることを、切に希望していおります。

よろしければ、次回も呼んでいただけると嬉しいです。


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