死神の釜【一頁完結型童話調・T書庫シリーズ】
__幕間
ここに一冊の本がある。タイトルは掠れてしまっている。
それは、私たちにとっては物語であるかも謎らしい。
しかし、コレが残されているという事は彼は確かに存在していたのは確かだ。
そういう世界らしいからね。ココは。
さて、短いが少しばかり話に付き合って貰おうか。
弟よ。ココの書庫は蔵書がいっぱいで私はとてもわくわくしている。
どうせ少ししたら存在が曖昧になって私たちは消えてしまうらしいからね。
ちょっと位、盗み見たところで罰は当たらないだろう。
それではDr.Tの読み語りの始まり始まり。
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無色透明な液体がなみなみと入った私の釜。私達の仕事道具だ。
綺麗な綺麗な鋭い切れ味抜群な私の鎌。私達の仕事道具だ。
私達の仕事は回収し混ぜて成型しそして受け渡す。世界で死んだ魂はここで調理されるのである。
私の仕事場には、世界の数だけ釜がある。世界で死んだ魂はその世界の釜で混ぜられるのである。
混ぜた魂は捏ねに捏ねて成型してその世界の担当に提出する。
私達が回収出来るのは自然的に死んだ魂だけである。自然的と言うのはその世界の中で起こり得る、あらゆる死だ。私達に回収出来ない魂は上のシステムに組み込まれる。
箱庭システムと私達から呼ばれるソレは、前世でのシステム外での死を自然的な死に置き換える為の作業をする為のシステムだ。理から弾かれた魂が他の世界に漂着する前に確保し箱庭に転生させ生涯を終えさせる。そうする事で理に戻す事が出来るのである。そして、適正があれば私達の様に管理者側に行くことも出来る。
つまり、その箱庭システムは神候補生選定の場と言う事になる。話がそれた。
善悪の業、関係無しに釜に入れられる。善だけでは世界は成り立たない。同じく悪だけでは世界は無くなる。
世界で生きた魂は善と悪を育てる。どちらが育つかはその魂、次第。神の鎌で魂を収穫し神の釜で混ぜ新しい魂にする。最初は小さいが育つにつれて身体と同じく魂も大きくなっていく。それの繰り返し。
回収しに行くと見える奴には、死神だ何だと畏れられるが死んだ魂を回収しに行くだけであって殺す為に行くわけではない。
さて回収も大事だがコレは釜の指南書だった。それでは、本題だ。
回収された魂は、釜場に運ばれる、釜の温度は40度前後を維持して符号を確認して間違えない様に釜に魂を入れ
ダマにならない様にゆっくりと底をこそぐように鎌でかき混ぜて行くと均一になり粘りが出てくるので、鎌で救って瓶に入れます。瓶を符号のあった箱に詰めたら釜場での作業は終わりです。
後は指定の世界に送って私達の仕事は終わりとなります。回収については別冊、鎌の指南書をご覧ください。
__終幕
さて、……取説じゃないか。死神の釜とか親父ギャグじゃないんだから。何で鎌で混ぜるの?色々と突っ込みたくなるな。
40度前後で煮るって釜……五右衛門風呂?死んでからの釜と言えば地獄だけど。ある意味合ってる?
この説明によると天国も地獄も無く死んだら死神の釜に直行って事か。
うーん、物語じゃ無いなぁ。次は物語読もう、そうしよう。
今回は魂を扱う神様のお仕事指南書でした。別に釜を鎌とかけたかったわけじゃないんだからね!
儂の書いている作中での輪廻システムはこんな感じです。自然的死を遂げなかったトキトー達は住んでた世界から一時保管所である箱庭システムと呼ばれる世界の一つに入れられてます。
善悪も全て混ぜて整形されるので生まれた時から生物は善悪を持っています。そのどちらが育つかはその生物の生き方次第である。悪の容量が多すぎると本能で生きる動物に転生したりします。よく畜生道におちるとか言いますよね。
長くなりましたがここ迄、トキトー達の把握しない物語はまだまだ続く。