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笑顔神社  作者: 亀乃長命
135/288

ようこそ笑顔神社へ(135)瞬間移動

花粉の季節ですね。

今日の予報は、

〈くしゃみ 時々 鼻水〉


亀さんは今、瞬間移動できないかなぁと真剣に考えています。


結論を言うと、どの角度から考えても無理なのですが、それに近い体験ならできると思いました。


ここからは実にくだらないお話なので、その気配を感じたら、サッと引いてくださいね。

それではお話します。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


これは亀さんが数日前に電車に乗ったときのお話です。


目的の駅に到着する手前で何かのトラブルで電車が止まってしまいました。

もちろん亀さんが乗る電車は、だいたい混雑しない時間帯の、なおかつ混雑しにくい普通電車です。

なので、閉塞感などの恐怖に怯えることはありませんでした。

そして、そのときは運がよくて、とても疲れていたのです。


近くにいたサラリーマンはブツブツと怒り始めました。

その他の乗客は、平常時と何も変わることなく黙って本を読んだり携帯を見たりしていました。


神経が過敏で用心深い亀さんは、これまで電車の中で眠ったことはほとんどなかったのですが、窓際の席に座っていたということもあって、太陽の熱い光に疲労の背中を押され、スッと消えるように眠ってしまったのです。


目が覚めると、近くにいたサラリーマンは怒っていました。

電車は止まってしました。

少し離れたところに立っていた、黒い帽子を深くかぶった女性が、空いていた目の前の席に座っていたということだけが、車内で唯一の変化でした。


どのくらい時間が過ぎたのか、時間を測っていなかったので分からなかったのですが、体感的には〈目を閉じて目を開けた〉くらいの感じでした。


そのとき、アナウンスがありました。

ぼんやりと聞いていたので正確に台詞を再現することはできないのですが、

「19分間、遅れました」

「申し訳ありませんでした」

「大変ご迷惑をおかけいたしました」

「発車いたします」

と、こんな感じの内容でした。


そこで驚いたのは、19分間を一瞬に感じたことでした。


つまり、この間に電車が動いていたとしたら瞬間移動をしたような気分になるのでは?ということなのです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


以前、お坊さんから聞いたお話を思い出しました。

それはどんな内容かと言うと、お坊さんの中には、生活をしながら瞑想状態になれる人がいるみたいなのです。

例えば、襖を開けながらだったり、床掃除をしながらだったりと、いつでもどこでも何をしながらでも瞑想状態になれるのです。


つまりそのお坊さんは、時間の概念を自在に無くすことができるのです。


このことは皆さんが思っている瞬間移動とは別物かも知れませんが、時間の概念が無ければ本人にとっては瞬間移動したことと同じではないか、というのが亀さんの考えなのです。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


そういえば、亀さんの尊敬するアーティストが、インタビューでこんなことを言っていました。


〈僕は時間を信用していないんだ〉


それまで一秒たりとも時間というものを疑ったことのない亀さんにとって、その発言は、とても衝撃的なものでした。

きっと、違う世界で生きていたのでしょう。

ようこそお参りくださいました。

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