ようこそ笑顔神社へ(126)柿太郎②
これは空想の神社です。
創建は、令和三年十二月三十日。
主祭神は、亀乃長命です。
自分のことを、亀さんと呼びます。
この神社の御利益は、笑顔です。
この神社が、必要な人の所に届きますように。
参拝方法は、二礼・二拍手・笑顔・一礼です。
※笑顔神社の作り方は、第1話から書いています。
※たまに友人の鶴乃長命も登場します。
自分のことを、鶴さんと呼びます。
めでたく暮らせたのも三日目まででした。
というのも毎日が退屈で退屈でしかたがないのです。
テレビもない、ラジオもない、本もない、ないないない。
ここには娯楽というものがないのです。
あるといえば、移ろいゆく季節くらいのものです。
家でじっとしていると、体はなまるし、二人でいても話すことは特になく、ご飯を食べてもちっとも美味しくありません。
そんなある日の夜、柿太郎と名乗る者が訪ねてきました。
暇を持て余していた二人は大喜びです。
居間でお茶を飲みながら世間話をしました。
二人は楽しくて楽しくて仕方がありませんでした。
やがて柿太郎は本題に入りました。
「明日、鬼ヶ島に行って、悪い鬼たちを退治します。
僕に、きび団子を食べさせてくれたら鬼ヶ島に連れて行ってあげますよ」
それを聞いた二人は、何を言っているのか理解できなかったのですが、〈ようやくこれで退屈生活から解放される〉と目をギャンギャンさせながら、きび団子を百個作りました。
「さあ、どうぞどうぞ、食べてくださいな!!」
柿太郎は、ニコニコしながらきび団子を食べました。
「いいでしょう、いいでしょう。連れて行ってあげましょう」
〜つづく〜
ようこそお参りくださいました。