ようこそ笑顔神社へ(101)住所不定遊び
これは空想の神社です。
創建は、令和三年十二月三十日。
主祭神は、亀乃長命です。
自分のことを、亀さんと呼びます。
この神社の御利益は、笑顔です。
たくさんの人に参拝してもらえたら嬉しいです。
参拝方法は、二礼・二拍手・笑顔・一礼です。
※笑顔神社の作り方は、第1話から書いています。
※たまに友人の鶴乃長命も登場します。
自分のことを、鶴さんと呼びます。
迷子になったら慌てると思います。
これは普通の感覚です。
それでは、どうして慌てるのでしょうか?
理由としては、
〈家に帰れない〉
旅先でしたら、
〈ホテルに帰れない〉
たいていこんな感じの理由だと思います。
もちろん、大事な用事に遅れるかも知れない、とかそういった場合もあるでしょう。
けれどもその場合は、今回は横に置いておきましょう。
人は、家やホテルに帰れないと、どうして慌てるのでしょう?
理由としては、そこは寝る場所だからです。
そして、その人の生活の拠点だからです。
そこで編み出したのが〈住所不定遊び〉です。
つまり、自分は住所不定なんだと思い込めばよいのです。
そして、これは遊びなのです。
そこには深刻な感情はいっさいありません。
ここがポイントなのです。
そして理論的には、生活の拠点を無くしてしまえば、その瞬間から迷子ではなくなるのです。
それから、
〈寝る場所は、家の布団やベッドにこだわらない〉
と割り切ってしまうと、迷子の状況下において、かなりの安心感が得られます。
とりあえず安全な場所さえ確保できれば何の問題もありません。
それに、一晩くらい寝なくても大丈夫です。
なぜこんなことを書いたのかというと、亀さんは最近、田舎道で迷子になったからなのです。
そしてそのときに最初に頭に浮かんだことが、〈家に帰れない〉でした。
しかし、
〈そもそもどうして家に帰らなければならないのだろう?〉
この疑問が浮かんだ瞬間、不安は消えていました。
そして、迷子になっていることをすっかり忘れたら、今度は新たな考えごとが発生しました。
それは、災害時のことです。
〈人々は何時間かけてでも歩いてでも、どうして自宅を目指すのだろう?〉
そして、こういった場合に〈住所不定遊び〉は使えるのではないか、ということに気づいたのです。
雨風さえ凌ぐことができれば寝ることもできます。
もちろん、身の安全を確保できた場合ですが。
そもそも路上生活者はそんなときどうするのでしょう?
亀さんが思うには、きっと余裕だと思います。
なぜなら、これは極端な言い方ですが、持ち物は〈命〉だけだからです。
ようこそお参りくださいました。