表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
シティーガールハンター  作者: 椎家 友妻
第五話 赤髪の狩人
39/40

6 どこから出したか200トン

 それを見た私は痛むわき腹を押さえ、急いで事務所を出て一階へ降りた。

そしてビルの外へ出ると、目に涙を浮かべた由奈ちゃんが、

 「しぃちゃーん!」

 と声を上げながらこっちに駆け寄って来て、そのまま私に抱きついた。

 「しぃちゃん、怖かったよぅ。しぃちゃあん」

 「よしよし、もう大丈夫だよ」

 泣きじゃくる由奈ちゃんの頭を、私はそう言って優しくなでた。

するとそんな私に、綾芽がガバッと抱きついて来てこう言った。

 「詩琴さ~ん♪私も怖かったですぅ~♡」

 「どこがよ⁉屈強な男どもをガンガンぶっ飛ばしてたじゃないの!」

 「えへへ~、それほどでも~」

 私の言葉にデレ~ッと表情をくずす綾芽。

そのだらしない顔つきは、完全にいつもの綾芽のそれだった。

そんな綾芽に、由奈ちゃんは顔を上げて言った。

 「綾芽ちゃん、助けてくれてありがとう。綾芽ちゃんってすっごく強いんだね」

 「うふふ~ん♪それほどでもありますよ~♪

あ、でも、この事は他の人達には内緒にしてくださいね?

私がシティーガールハンターだっていう事が(おおやけ)になっちゃうと、色々面倒なので」

 「うん、分かった」

 綾芽の言葉にニッコリ微笑んで答える由奈ちゃん。

すると綾芽は私にも言った。

 「しぃちゃんも、よろしくお願いしますね?」

 「分かったわよ。言わないわよ」

 何かさりげなく私の事をしぃちゃんとか呼んでるけど、ま、いっか。

ところであそこに停まってるリムジン、何処かで見た事があるような?

 とか思いながら眺めていると、その後部席のドアが開き、そこから園真会長が現れた。

そうか、あのリムジンは園真会長のだった。

きっと何だかんだ言いながら私達を助けに来てくれたんだ。

 その園真会長は、ゆっくりとした足取りで私達の元へ歩み寄って来た。

その会長に私は言った。

 「ありがとうございます園真会長。由奈ちゃんが連れ去られるのを阻止してくれて」

 しかし会長はすこぶる機嫌が悪そうな様子でこう言った。

 「別にその為に来たんじゃないわ。

私は単に、オシオキの途中で逃げ出した綾芽を連れ戻しに来ただけよ」

 するとそれを聞いた綾芽が両手をバタバタ動かしながら言った。

 「ま、待ってください!私は別に逃げた訳じゃなくて、

詩琴さんのボディーガードとしてここに来ただけですよ⁉」

 「言いたい事はそれだけかしら?」

 園真会長はそう言うと、一体何処から出したのか、

『200(トン)』と書かれた巨大なハンマーを両手で振り上げた。

 「ひぇええっ!」

 それを見た綾芽は(きびす)を返して一目散に逃げ出した。

すると園真会長は綾芽目がけてその200tハンマーをブン投げ、

それが綾芽の後頭部にゴチィン!と直撃した。

 「きゃいぃん!」

 犬のような悲鳴を上げ、その場につんのめる綾芽。

それを見届けた園真会長は、私と由奈ちゃんの肩に手を置いて行った。

 「さ、それじゃあ帰るわよ」

 「え、でも、いいんですか?綾芽とか、黒丸金融の人達とか・・・・・・」

 私の問いかけに、園真会長は事もなげにこう答える。

 「いいのよ。綾芽はあの程度で死なないし、置いて行っても走って帰って来るわ。

それにさっき警察に通報しておいたから、黒丸金融の人間は警察が何とかするでしょ」

 そして私達はリムジンに向かって歩き出した。

 とりあえず、これで一件落着という事でいいんだろうか?

でもイマイチ心の底から喜べないのは何故だろう?

何となく、嫌な予感がする。

でもまあ由奈ちゃんも無事に助けられたし、これは大いに喜ぶ事なんだろう。

 リムジンの後部席に乗り込むと、車はゆっくりと走り出した。

するとそんなリムジンの後ろを、綾芽が必死な表情で追いかけてきた。

 「ま、待ってくださいよぉ!私を置いて行かないでください!」

 すると園真会長が窓を開け、そんな綾芽にこう言った。

 「これもオシオキよ!あなたは事務所まで走って帰って来なさい!」

 「そんなぁ~」

 泣きそうな声を上げる綾芽を見て、さも愉快そうな笑みを浮かべる園真会長。

この人ってつくづくドSなんだな。

そう思いながらも、私も思わず笑ってしまった。

 空に綺麗な月が浮かんでいる。

そんな夜空の下、黒のリムジンは街の中を走り抜けて行った。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ