4 ワタシ、ツヨイデスヨ
社長がそう叫ぶと、事務所の入口から、これまた屈強そうな黒スーツの男達がゾロゾロと現れた。
そして奥の部屋や天井裏、机の下、床下、掃除道具入れからも男達が現れ(ていうか何でそんな所に?)、
十人以上の男達が綾芽の周りをグルリと取り囲んだ。
そんな男達に向かって社長の男が、
「シティーガールハンターといっても所詮はただの小娘!これだけの数が居れば──────」
と、言い終えるより先に、綾芽が自分を取り囲む男達のうちの一人の顔面に、
強烈なストレートパンチをお見舞いした!
ボッゴォッ!「ぐふぁあっ⁉」
すると男はそのまま真後ろに吹っ飛び、
事務所の窓ガラスをグヮシャアアン!と突き破って、そのまま下に落下した。
「なっ⁉」
「げぇっ⁉」
「マジかよ⁉」
あまりに凄まじい出来事に、屈強な黒スーツの男達も流石にたじろいだ。
するとそんな男達に、綾芽はゾッとするような冷たい笑みを浮かべて言った。
「私、強いですよ」
その、静かながらもえも言えぬ迫力がある言葉に、事務所の中が凍りついたように静まり返る。
あれが、あの綾芽なの?
助けられている私でさえも、綾芽に対して少なからぬ恐怖を覚えた。
するとそんな沈黙を打ち破るように、社長の男が叫んだ。
「ひ、怯むな!数は圧倒的にこっちが多いんだ!殺れ!ぶっ殺せ!」
それと同時に黒スーツの男達が同時に綾芽に襲い掛かった!
「綾芽っ!」
思わず声を上げる私。
しかし綾芽はそれより一瞬早く真上に飛び上がり、空中で一回転して正面の男に回し蹴りを食らわせた!
「ぐはっ⁉」
そしてその男が床に倒れ込むより先に、綾芽はそのまま隣に居た男に回し蹴りをお見舞いした!
「ぐへぇっ!」
二秒も経たないうちに二人の男を片付けた綾芽は、
その勢いのまま三人目の男のわき腹にストレートパンチを放ち、
それをまともにくらった男はお腹を抱えて床につんのめった。
すると綾芽の背後から別の男が襲いかかった!
しかし綾芽は再び上に飛び上がり、男の頭上で宙返りをし、その背後に着地した。
「え?あれ?」
完全に綾芽を見失った男。
その男の首元に綾芽が鋭く手刀を打ち込み、男は気絶して床に倒れ込んだ。
「す、凄い・・・・・・」
私はそう呟き、綾芽の戦いに目を奪われていた。
何て奴なの。とても同い年の女子高生とは思えない。
本当にあいつって何者なの?
そんな事を考えているうちに、綾芽は十数人居た男達をあっという間に片付けた。
そしてこれだけの人数を相手にしたにもかかわらず、綾芽の体には傷ひとつなく、
それどころか息も切らしていなかった。
「ひぃいっ!こ、こいつ、やっぱり化物だ!信じられねぇっ!」
そう言って恐怖におののく社長の男。
なるほど、シティーガールハンターと聞いただけであんなに怯えていたのはこの為だったのか。
と妙に感心していると、社長の男はスーツの内ポケットから拳銃を取り出し、その銃口を綾芽に向けた!
「なっ⁉」
反射的に声を上げる私。
いくらあの子でも拳銃相手にはどうにもできないでしょ!
「綾芽逃げて!」
私は綾芽に向かってそう叫んだが、
綾芽は「大丈夫ですよ」と言って、社長の男の方に向かって歩み寄って行った。
「と、止まれぇっ!さもなくばお前の心臓を撃ち抜くぞ!」
社長はそう言ったが綾芽は歩くのをやめず、至って軽い口調でこう言った。
「あなたに私は殺せません。その逆は可能ですけど(・・・・・・・・・・)」
「うっ、くっ・・・・・・」
それを聞いた社長の手元は完全に震えていて、まともに引き金を引ける状態じゃあなかった。
すると社長の男は「くそぉっ!」と叫び、
近くに居た由奈ちゃんを捕まえ、その銃口を由奈ちゃんのこめかみに押し付けた!




