2 大ピンチ
が、それより一瞬早く、社長の前に長身の男と小太りの男が立ちはだかった!
「おおっと、乱暴はあかんでお嬢ちゃん」
「どうしてもここを通りたいなら、俺達を倒してからにしな♪」
「くっ!」
バレてたか。
こうなったら刺し違えてでも黒スーツの男達をぶっ飛ばす!
そう思った私は、間髪いれずに長身の男の顔面に正拳突きをお見舞いした!すると、
ボッゴォッ!「ぐへぇっ⁉」
それは見事なまでにその男の顔にジャストミートし、男はそのまま床に倒れて失神した。
「あれ?」
驚きの声を上げたのは私だった。
まさかこんなにあっさりやっつけられるなんて。
もしかしてこいつらって、私より弱い?
とりあえず私は、小太りの男のブヨブヨしたお腹に回し蹴りをお見舞いしてみた。すると、
ドフゥッ!「ぐほぉっ⁉」
小太りの男は悶絶し、そのまま前のめりに倒れた。
やっぱりこいつら弱い。
ていうか私が強いの?
とにかくこれならいける!
ここから逃げ出せる!
と、思ったその時だった。
バゴォッ!
という衝撃音とともに私の脇腹に強烈な回し蹴りが炸裂!
私はそのままぶっ飛んで壁に激突した!
「しぃちゃん!大丈夫⁉」
床に倒れ込んだ私の元に、由奈ちゃんが慌てて駆け寄って来た。
ちなみに結論から言うと全然大丈夫じゃなかった。
蹴られた部分に激痛が走って息もできない。下手したらアバラが折れてるかも。
痛みに顔を歪めながら私が顔を上げると、そこにパンチパーマの男が仁王立ちしていた。
あの男は強い。けた違いに。
するとその男の傍らに立った社長が、さも愉快そうに言った。
「ハッハッハ!残念だったねお嬢さん!
少しばかり腕に自信があるようだが、こいつは元々自衛隊の人間でね。
お嬢さんじゃあ到底歯が立たないよ」
「フン、そうみたいね」
必死に痛みをこらえ、精一杯の虚勢を張って私は言った。
それに対して社長は勝ち誇った顔でこう続ける。
「物分かりのいいお嬢さんだ。が、少々おイタが過ぎたようだね。
そんな悪い子にはオシオキが必要だ。
君は大事なうちの商品だが、もう少し痛い目にあってもらおう」
社長の男はそう言うと、アゴでクイッとパンチパーマの男に指示を出した。
すると男はコクリと頷き、指の関節をポキッ、ポキッと鳴らしながら、私の方に歩み寄って来た。
もしかしなくても絶体絶命の大ピンチ。
こうなったら由奈ちゃんだけでも無事に逃がさないと。
そう思った私は由奈ちゃんに言った。
「由奈ちゃん逃げて。私の事はいいから」
しかし由奈ちゃんはガバッと私に抱きついて叫んだ。
「そんな事できないよ!しぃちゃん一人を置いて逃げるなんてできる訳ない!」
そしてパンチパーマの男の方を見てこう続けた。
「お願いです!もうこれ以上しぃちゃんにひどい事をしないでください!」
しかし男はそんな由奈ちゃんを、その太い左腕でなぎ払った。
「きゃあっ!」
「由奈ちゃん!」
吹っ飛ばされた由奈ちゃんを見て、思わず声を上げる私。
そしてこみ上げる怒りで以てガバッと立ち上がった。
「ほう、まだ立ち上がれるのか。流石に今時の女の子は根性があるねぇ」
からかうような口調でそう言った社長をよそに、私は目の前のパンチパーマの男を睨みつけた。
この男だけは許さない。何としても一発ブン殴る!
が、さっき蹴られた脇腹のダメージがひどく、正直立っているのが精一杯の状態だった。
そんな中パンチパーマの男は右の拳を振り上げ、ちゅうちょなく私の顔面めがけてそれを振り下ろした!
だめだ!やられる!
そう思って歯を食いしばった、その時だった!




