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シティーガールハンター  作者: 椎家 友妻
第五話 赤髪の狩人
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1 園真况乃は動かない

 「ふぅ~ん、そうなの」

 園真探偵事務所で、私から事のあらましを聞いた園真会長は、

自分の爪をヤスリで手入れしながらそう答えた。

が、それ以上は何も言わず、自分の爪の手入れに専念している。

なので私は机を両手で叩いて声を荒げた。

 「そうなのって、それだけですか⁉私の友達がさらわれちゃったんですよ⁉」

 しかし園真会長は爪の先をフッと吹いてこう返す。

 「それだけよ。それ以上何だって言うの?」

 「彼女は私と間違えられてさらわれたんですよ!

あの黒スーツの男も、黒丸金融の人間に違いありません!」

 「確かに、下校途中のあなたを誘拐しようとして、

たまたま一緒に居た友達がさらわれてしまった可能性は高いわ。

それで、私にどうしろっての?」

 「私の友達を、助けてください!」

 私は深深と頭を下げて言った。

でも、それに対する園真会長の答えはこうだった。

 「お断りよ」

 「何でですか⁉彼女は、由奈ちゃんは私の代わりにさらわれたんですよ⁉」

 「私が依頼を受けたのはあなたのボディーガードであって、あなたの友達のボディーガードじゃないわ」

 「でも、このままじゃあ由奈ちゃんは・・・・・・」

 「そうね、海外に売り飛ばされるかもしれないわね。あなた(・・・)の(・)代わり(・・・)に(・)」

 「くっ・・・・・・」

 園真会長の言葉に、私は拳を握って歯を食いしばった。

 私のせいだ。

私が由奈ちゃんの誘いを断っていれば、こんな事にならずに済んだのに・・・・・・。

 そう思いながら肩を震わせていると、園真会長は私の肩に手を置いて、優しい口調でこう言った。

 「あえて言うけど、こうなったのは全部あなたのせいだからね?

あなたが綾芽と離れて学校を出たりしたから、あなたの友達がさらわれるハメになっちゃったのよ?

分かってる?完全にあなたのせいなんだからね?」

 「分かってますよ!何でそんなに私を追い詰めるんですか⁉」

 「私、人の落ち度を突いて徹底的に追い詰めるのが大好きなのよ」

 「鬼かっ!」

 「で、どうするの?私はあなたの友達を助ける為には動かないわよ?もちろん綾芽もね」

 「じゃ、じゃあ今すぐ警察に通報して──────」

 「証拠を固めて強制捜査に踏み切る前に、友達は海外に売り飛ばされるでしょうね」

 「ぐぬぬ・・・・・・」

 じゃあもう、このままここでじっとしてるしかないの?

由奈ちゃんを見捨てるしかないの?

そんなの、そんなの・・・・・・。


 そんなの絶対嫌だ!


 そう思った私は、園真会長をまっすぐ見据えてこう叫んだ。

 「私、由奈ちゃんを助けに行きます!」

 それに対して園真会長は、表情を変える事なくこう返す。

 「助けに行く?まさか黒丸金融の事務所に乗り込む気?」

 「そうです!」

 私がキッパリ言い放つと、園真会長は頭をかきながらこう続けた。

 「言っておくけど、自分から危険な目にあおうとする人間をボディーガードするつもりはないわよ。

それは私達の仕事の範囲外。

だから黒丸金融に乗り込むなら、あなた一人で行きなさい。

それでも行くの?」

 「行きます!行って私と引き換えに、由奈ちゃんを解放してもらいます!」

 「向こうがその取引に応じるかどうかは分からないわよ?

下手をすれば、二人とも捕まっちゃうかも」

 「それでも行きます!ここでじっとしているよりはるかにマシです!」

 「はぁ~、大した馬鹿ね、あなた」

 園真会長は心底呆(あき)れた口調でそう言うと、机の引き出しから一枚の紙切れを取り出し、

それを私に差し出して言った。

 「これが黒丸金融への地図よ。あなたの友達は、恐らくここに居る。

ビルの駐輪場に自転車があるから、それを使って行くといいわ」

 「分かりました。ありがとうございます!」

 私はそう言って園真会長から地図を受け取ると、ふとある事に気付き、それを会長に尋ねた。

 「そういえば綾芽の姿が見えないんですけど、何処に行ったんですか?」

 すると園真会長は事もなげにこう答えた。

 「ああ、今日学校でまた変なお面をかぶって暴れたから、

罰としてビルの屋上からロープで逆さ吊りにしているの」

 「そ、そうなんですか・・・・・・」

 この人ホントに鬼だな。

と思いつつ、私は

 「とにかく私、行って来ます!」

 と言って事務所の入口から飛び出した。

 「せめてあなたが死なないように祈っててあげるわ」

 背後から聞こえた園真会長の言葉に

 「ありがとうございます!」

 と答え、私は一目散にビルの階段を駆け降りたのだった。



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