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シティーガールハンター  作者: 椎家 友妻
第四話 友の絆
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8 由奈のキモチ

 おかめ仮面の協力もあり、無事に運動部の人達を巻く事が出来た私は、(かばん)を取りに教室に戻って来た。

 教室の引き戸を開けて中に入ると、そこにはもう誰も残っていなかった。

結構長い時間逃げ回ってたもんね。

由奈ちゃんはもう帰っちゃったかな?

 そう思いながら私は、自分の席に置いていた鞄を手に取った。

と、その時だった。

 教室の引き戸がガラッと開き、両手でゴミ箱を抱えた由奈ちゃんが現れた。

 「あ、由奈ちゃん。まだ帰ってなかったんだね」

 私がそう言うと、由奈ちゃんはゴミ箱を教室の端に置きながらこう返す。

 「うん、私今日、掃除当番だったから。しぃちゃんこそ何してたの?」

 「私は運動部の人達から逃げ回ってた」

 「相変わらず人気者だね。それで、どの部活に入るつもりなの?」

 「う~ん、まだハッキリとは決まって無いけど、

できればまた由奈ちゃんと一緒に家庭科部に入れたらいいな~と思ってるんだけど」

 私は頭をかきながらそう言った。すると由奈ちゃんは背を向けたままこう言った。

 「私なんかより、綾芽ちゃんと同じ部活に入った方が楽しいんじゃない?」

 「え?そんな事ないよぉ。あんなおバカな奴より、

由奈ちゃんと同じ部活に入った方が楽しいに決まってるもん」

 私はヘラヘラ笑いながらそう言った。すると由奈ちゃんはいきなり、

 「そんな事ないよっ!」

 と声を荒げた。

 「えっ⁉」

 その声にビクッとする私。

由奈ちゃんがこんな大声出す所なんて初めて見た。

しかもよく見ると、由奈ちゃんの背中が小刻みに震えていた。

 まさか、泣いてる?

 そう思った私は慌てて由奈ちゃんの近くに駆け寄った。

すると由奈ちゃんはそのまま教室から出て行こうとしたので、

私は咄嗟(とっさ)に由奈ちゃんの腕を掴んで言った。

 「由奈ちゃん!一体どうしたの⁉」

 「もう私の事はほっといて!」

 「ほっとけないよ!」

 由奈ちゃんの言葉に私はそう言い返し、その華奢(きゃしゃ)な両肩を掴んで強引にこっちに振り向かせた。

すると(あん)(じょう)、由奈ちゃんの目から大粒の涙があふれ、それが白い(ほお)を伝っていた。

 「由奈ちゃん、一体どうしたの?」

 私は由奈ちゃんの目を見据(みす)えて静かに尋ねた。

それに対して由奈ちゃんは、目をそらしながらこう答えた。

 「私、綾芽ちゃんみたいにできないから・・・・・・」

 「へ?」

 「私は綾芽ちゃんみたいに、しぃちゃんと遠慮なく怒鳴り合ったり叩きあったりできないの!

私は綾芽ちゃんみたいにしぃちゃんと仲良くできないの!

だからしぃちゃんは、綾芽ちゃんと仲良くすればいいじゃない!」

 「由奈、ちゃん・・・・・・」

 由奈ちゃんのその言葉に、私は頭が真っ白になった。

まさか由奈ちゃんが、そんな事を思っていたなんて・・・・・・。

 すると由奈ちゃんはうつむきながらこう続けた。

 「ごめん、なさい・・・・・・。

しぃちゃんと綾芽ちゃん、最近凄く仲がいいから・・・・・・

もう、私なんかとは、仲良くしてもらえないと、思って・・・・・・」

 そう言ってむせび泣く由奈ちゃん。

私はそんな由奈ちゃんを優しく抱きしめて言った。

 「そんな訳ないでしょ?私の一番の仲良しは由奈ちゃんだよ。これからもずっとね」

 「ひぐっ・・・・・・ホントに?」

 「うん、ホントだよ」

 私がニッコリ微笑(ほほえ)んでそう言うと、由奈ちゃんもニッコリ微笑んで言った。

 「良かった・・・・・・」

 「これからもずっと仲良しでいようね、由奈ちゃん」

 「うん、しぃちゃん」

 そう言ってまたニッコリ微笑む私と由奈ちゃん。

何だかまた更に由奈ちゃんと仲良しになれた気がして、私はえも言えない温かい気持ちに包まれていた。

 そうだ、私にとっての一番の友達はやっぱり由奈ちゃんなんだ。

これからも、ずっと。

 シミジミそう思っていると、由奈ちゃんがニコニコしながらこう言った。

 「ね、しぃちゃん。今日うちに来ない?またお泊まりしようよ」

 「えっ?」

 その言葉に、私は目を丸くして考え込んだ。

 由奈ちゃんの家にお泊まりかぁ。

そんな事したら園真会長に怒られそうだけど、

今日はもっと由奈ちゃんと一緒に居たい気分だし、今日一日くらい大丈夫よね?

 そう考えた私は、再びニコッと笑ってこう言った。

 「うん、いいよ」


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