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シティーガールハンター  作者: 椎家 友妻
第四話 友の絆
29/40

6 黒丸金融

 「はぁ~・・・・・・」

 屋上のベンチに座り、大きなため息をつく私。

そして膝に乗せたお弁当を見つめながら、独り言のように呟く。

 「由奈ちゃん、一体何の用事だったんだろう?一緒にお昼食べたかったのに・・・・・・」

 すると私の隣でお弁当をモグモグ食べていた綾芽は、その手を一旦(いったん)休めてこう言った。

 「もしかしたら、私と詩琴さんの仲の良さにヤキモチを焼いたのかもしれませんね。

だから一緒にお昼を食べるのが辛かった」

 「バーカ、そんな事ある訳ないでしょ。

由奈ちゃんは見た目はちっちゃくて可愛らしいけど、中身は私なんかよりずっと大人なんだから」

 「いやいや分かりませんよ?女の嫉妬(しっと)は根が深いですからねぇ」

 「あんた、由奈ちゃんの事をそんな風に言うなら、もう明日からお弁当作ってあげないわよ?」

 「えっ⁉す、すみません!ゆなっちさんがそんな嫉妬深い人な訳ないですよね!」

 そう言って再びお弁当をパクパク食べる綾芽。

マッタク、調子がいいんだから。と思って呆れていると、綾芽は急に真剣な口調になって言った。

 「でも正直、詩琴さんの周りにはあまり人が居ない方がいいんです。その方が私も守りやすいですから」

 「・・・・・・」

 綾芽のその言葉に、思わず息を飲む私。

まさかこの子、そこまで計算して私にベタベタしていたというの?

 と思っていると、綾芽はまたデレ~ンとした表情になってこう続けた。

 「それに、こうして詩琴さんと二人で過ごせる時間も増えますし♡」

 「そっちが本音でしょっ」

 そう言って綾芽の頭に軽くチョップする。

マッタク、一瞬だけでも緊張して損した。

シティーガールハンターか何か知らないけど、この子がそんなに凄い始末屋なはずないんだから。

 そう思いながらため息をついた、その時だった。

 「こんな所に居たのね」

 という声とともに、園真会長が目の前に現れた。

 「園真会長、どうしてここに?」

 と私が尋ねると、園真会長は腕組みをしながらこう言った。

 「あなたの事を狙っている借金取りの事を調べてみたら、色々とヤバイ事が分かって来たのよ」

 「ヤバイ事?一体何です?」

 綾芽の問いかけに、園真会長は静かな声で続けた。

 「まず、習志野さんの事を狙っている借金取りは、『黒丸金融』っていう小さなサラ金業者よ。

表向きは法律で定められた利率で融資を行う貸金業者なんだけど、

その裏ではアジア系のマフィアに、借金の肩代わりとしてさらった若い娘を売り飛ばしているの」

 「えっ⁉人身売買ですか⁉」

 驚きの声を上げる私に、園真会長は頷いて続けた。

 「そうよ。そうやってあの会社は裏で莫大な利益を上げている。

最近はすっかりその味をしめて、若い女性を無差別にさらって売り飛ばしてるって話だけどね。

最近ニュースとかでやってるでしょ?若い女性が立て続けに失踪(しっそう)する事件。

あれは恐らく黒丸金融の仕業よ」

 「そ、そんな、それならすぐに警察に届けないと!」

 「証拠がないから無理よ。奴らの手口は周到でなかなか尻尾を出さないから、

警察もおいそれと黒丸金融に手を出せないの」

 「そんな・・・・・・」

 会長の言葉に、そう言ってうつむく私。

私って、そんなヤバイ人達に狙われていたのか。

もし始業式の朝に、あの二人組にあのままさらわれていたら、

私は今頃何処かの外国に売り飛ばされていたんだ・・・・・・。

 そう思ったら、額から嫌な感じの汗が噴き出した。

するとそんな私の背中をポンポンと叩きながら、綾芽が軽い口調で言った。

 「大丈夫です!詩琴さんはこの私が命に代えてもお守りします!だから安心してください!」

 安心しろって言っても、それが一番不安なんだけど・・・・・・。

と内心思っていると、その綾芽のボスである園真会長が、頭をかきながらシミジミと言った。

 「それが一番不安なのよねぇ・・・・・・」

 おいおい・・・・・・。



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