3 心のオアシス
「しぃちゃん、おはよっ♪」
学校の近くまで来た頃、背後から由奈ちゃんが声をかけて来た。
その由奈ちゃんに私は満面の笑みで答える。
「おはよう由奈ちゃん」
今や私が心の底から笑顔を見せられるのは由奈ちゃんだけだ。
由奈ちゃんだけが私の心のオアシスなんだ。
とシミジミ思っていると、由奈ちゃんは私と綾芽を交互に見て言った。
「あ、二人とも仲直りできたんだ。良かったね綾芽ちゃん」
そう言って由奈ちゃんが微笑むと、綾芽は誇らしげに胸を張って言った。
「ありがとうございます!おかげで私と詩琴さんの中は前よりも親密になり、
今ではベッドも共にする間柄に、モガガッ」
何やら余計な事まで言いだしたので、私は慌てて綾芽の口をふさぐ。
しかしベッドのくだりを聞かれてしまったようで、由奈ちゃんは首をかしげて言った。
「え?ベッドって、しぃちゃんは今、綾芽ちゃんの家にお泊まりしてるの?」
「いやいや!これはこの子が勝手な妄想をしてるだけで、
私は今、例の探偵事務所に泊らせてもらってるの!あ、あははー!」
そう言って笑ってごまかす私。私と綾芽の仲を、変に由奈ちゃんに誤解されたくない。
すると由奈ちゃんはそれを疑う様子もなく、
「そうなんだ、それなら安心だね」
と言ってニッコリ笑った。
よかった、どうやらうまくごまかせたみたいだ。
これで由奈ちゃんに変な誤解をされないで済む。
と、思いたかったが、そんな私の右腕に、綾芽はヒシッと抱きついていた。
「あんた、何をやってるのよ?」
私が眉をひくつかせながら尋ねると、綾芽はいつものビン底眼鏡をキランと光らせて言った。
「ついさっき誓い合ったじゃないですか。私と詩琴さんは、これからずぅっと一緒だって♪」
「なぁっ⁉」
何を言っとんじゃこいつはぁっ!
そんな事言ったら由奈ちゃんが誤解しちゃうだろぉっ!
すると私のその予感は的中し、由奈ちゃんはニパッと笑ってこう言った。
「ホントに仲良しになったんだね。もう親友同士って感じじゃない?」
ガーン⁉
とんでもない誤解をされてしまった。
私と綾芽が親友だなんて。
私は由奈ちゃんと親友で居れればそれでいいのに・・・・・・。
そう思いながら呆然としていると、由奈ちゃんは、
「じゃあ二人の仲を邪魔しちゃ悪いし、私は先に行くね」
と言って、さっさと校舎の方へ駆けて行ってしまった。
一方誤解されたショックがあまりに大きかった私は、
その後を追う気にもなれず、ただただその場で呆然と立ち尽くすのが精一杯だった。
そしてそんな私の右腕には、ビン底眼鏡をかけたボディーガードがうっとりしながらしがみついていた。
「詩琴さ~ん♡私がずぅ~っと守ってあげますからね~♡」
この子、ボディーガードというより、ただのストーカーなんじゃないの?




