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シティーガールハンター  作者: 椎家 友妻
第二話 登校初日
14/40

7 会長、現る

 目的地の生徒会室は、校舎の一階にあった。

さっき居た場所は四階なので、私は別の階段を使って一階まで駆け降りた。

あの人達は私が生徒会室へ向かっていた事は知らないはずだから、

そこで待ち伏せされるという事はないだろう。

 そして私は校舎の一階までたどり着き、廊下への角を曲がう。

するとそのすぐ目の前に園真会長が現れた!

 「うわぁっ⁉」

 驚きの声を上げる私。

これはもうよけられない!

と思ったが、園真会長は流れるような体さばきでフワッと私の体をかわし、

チョンと片足を出して私の足を引っかけた!

 「うわわっ⁉」

 足を引っ掛けられて前のめりになる私!

そして咄嗟(とっさ)に床に両手をつき、クルッと前転してそのまま立ち上がった。

そしてすぐさま後ろに振り向くと、腕組みをしながら壁にもたれる園真会長の姿があった。

 長くのびた銀色の髪。

美しく整ったプロポーション。

そして誰もが見とれてしまうような魅力的な顔立ち。

昨日遠くから見た時もその凄さは充分伝わって来たけど、

こうして近くで対峙(たいじ)すると、改めてこの人の美しさに魅了される思いがした。

でも何だろう、この人から感じるえも言えない威圧感は?

これは物凄い美人を前に緊張しているというより、殺し屋に命を狙われているような、

そんな恐怖感に近い感覚だった。

それにこの人、さっきわざと私の足を引っかけたわよね?

一体どういうつもりなの?

 と警戒していると、彼女、園真会長は、まぶしいくらいの笑みを浮かべてこう言った。

 「廊下を走ってはいけないわよ?誰かにぶつかったりしたら危ないでしょう?」

 その笑顔は他の生徒ならたちまち(とりこ)になってしまうほど魅力的なものだったけど、

すっかり園真会長に警戒心を抱いた私は、抑揚(よくよう)のない口調でこう返した。

 「なら、廊下を走る生徒の足を引っ掛けるのは、危なくないんですか?」

 「もちろん危ない事よ。今のは、あなたの身体能力をちょっと見てみたかったの」

 「私の?ていうか、園真会長は私の事を知っているんですか?」

 (まゆ)をひそめて尋ねる私。

すると園真会長はニヤリと(あや)しい笑みを浮かべてこう言った。

 「もちろんよ。だってあなたは、私の大切なお(・・)()だもの」

 お客様。という事はやっぱり・・・・・・。

 「あなたは、園真探偵事務所の人なんですね?」

 私の問いかけに、園真会長はコクリと頷いて続けた。

 「そうよ。私はあなたのお父様に、あなたのボディーガードを依頼されたの。

だから今日から私があなたを守ってあげる」

 「・・・・・・」

 園真会長の言葉に、私は目を細めて口をつぐんだ。

 私の予想した通り、この人は園真探偵事務所の人間だった。

という事は、彼女がお父さんの手紙に書いてあったシティーガールハンターなんだろうか?

確かにこの人から感じるオーラーは普通の人とは全然違うけど、

おっかない借金取りから私を守るなんて、本当にできるの?

 そう思っていると、それを察した様子の園真会長が、薄く笑って言った。

 「信じられないって顔をしてるわね。でも安心して。

私は受けた仕事は必ずやりとげるのがモットーだから」

 そして園真会長はクルッと踵を返してこう続けた。

 「さ、ついて来て。うちの事務所に案内してあげるわ。

あなたのお友達の家よりははるかに安全よ」

 園真会長はそう言うと、私の返事も聞かずにスタスタと歩き始めた。

一方の私はそんな会長の後ろ姿を眺めながら、頭をフル回転させていた。

 どうしよう?

私はこのままあの人について行ってもいいんだろうか?

でもこのままじゃあ何も問題が解決しないのも確か。

なので私は両拳をギュッと握り、あの人の後をついていくべく、ゆっくりと歩きだしたのだった。



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