表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ラスボスの物語  作者: 初心者です
4/5

四話

前書きはした方がいいんでしょうか? 少し不安なので一応書いておきますね。

ドラゴンに乗り、空から探すとすぐに見つけることが出来た。 俺はドラゴンに下降させると、鬼人族の前に飛び降りた。


「おい、お前たちの頭に話がある。 案内してくれないか?」


「あたしの親父にか?」


「親父? お前はそいつの娘なのか。 ならいい。 お前は多種族との共存は反対か?」


「いや、そんなことない。 あたしは賛成だよ。 ただあのバカタレ親父は反対みたいでね。 人が集まればまた暗黒龍が来るんだとさ。 馬鹿な話だよ。 この提案を蹴って死んじまえばなんにも残らねぇってのに」


鬼人族の娘は呆れたようにそう言った。 それは子供特有の反抗てわはなく、心から思っているようだった。


改めて娘を見ると、どうやらかなりの魔力を持っているようだった。それはガウルに匹敵…いや、勝っているようだった。


「ならお前が頭になればどうだ? 俺はガウル…あの人狼族の長と繋がりがある。 もし鬼人族がその気なら共存するそうだぞ?」


「へぇ、それは優しいこった。 だけど、それじゃああたしは親父を殺すことになる。 親父の暗黒龍への恐怖はもはや呪いみたいなもんさ。 自分が死んでも暗黒龍が現れるのを嫌がってる。 あんたはあたしに父親殺しの咎を背負えと?」


「…このままなら俺かガウルのどちらかがお前の親父を殺すことになるだろう。 もしもお前が自分の親父を守りたいのであれば、死ぬことになるだろう。 それとも、お前は説得できるか?」


「…あたしが殺るよ。 その代わり一切手出しは無用だよ。 もしあたしが負けたらその時は自由にするといいさね。 夜、もう一度ここに来な。 あたしがいればあんたの話は呑むよ」


鬼人族の娘は背を向けるとそのまま去っていった。


俺はドラゴンに待つよう命令し、背に置いてあった鞘に収まった魔剣を背にかけると、透明になるローブを着た。


そのまま娘の行った方へ向かい、尾行を開始する。 目的の場所に着いたようで娘は岩陰に入っていく。


そこに続いて入ると中にはたくさんの鬼人族達がいた。 娘はそこの真ん中で酒を飲んでいる鬼人の前まで行くと、そこで立ち止まった。


「なぁ、親父。 あたしは人狼族の話を呑むことにする。 だから、今日からあたしが長になるよ」


親父と呼ばれた鬼人は酒瓶を置くと、娘を殺気立った目で睨む。 娘は動じず、じっと見ているようだった。


「ああん? 自分が何を言ってんのかわかってんのか!! そんなことすりゃまたあの龍は来る。 あれは俺らを殺すために現れたんだ! それを知らねぇガキがいっちょまえに長だァ舐めた口聞いてくれんじゃねぇか! えぇ!! 今ならまだ許してやるがァ次はねぇ。 とっとと失せろ!」


「失せない…失せるのはあんただよ。 今日からはあたしが長さね。 怯えてばかりいるやつが何を偉そうなことを言っているんだい? このままいけばあたしらは終わりさ。 あんたにはそれが分からないのかい?」


「そんなこたァねぇ。 俺とお前の2人がかりならいけただろうよぅ。 弱気になってんのはどっちだぁ? まさか自分たちの命よりも相手の命が大事なんて言わないよなぁ!!」


二人の怒気と共に魔力が吹き出し、ぶつかりあう。 空気が震え、周りの鬼たちも気圧されているようだった。


二人がかりならいけたのにいかなかった? いや、単独で動いていたのかもしれない。


それにしても凄い魔力だ。 是非とも仲間になってもらいたい。 しかし無理だろう。 これから生きていても鬼人族の長になるのだ。 纏める役が居なければどうなるかわかったものではない。


そのまま会話は進み、ついに長の怒りが爆発した。


「お前は何度言ってもわかんねぇなぁ! お前はもう知らねぇ! 俺が殺してやるよ!」


「望むところだよ、馬鹿親父!」


二人の拳と拳がぶつかり合い大きな衝撃波が発生する。 地面に裂け目が出来、二人の力の強さがこれでもかとわかる光景だった。


しかし、長の方にはダメージがあったようで苦悶の表情を浮かべている。


長は背中から金棒を手に取るとそれを振るった。 しかし娘はそれを軽く避けるとそのまま腹を殴り、長を吹き飛ばした。


「ぐはっ」


長は壁にぶつかると急いで起き上がり、次の娘の蹴りを回避した。 長は苛立たし気に娘を睨むと、周りの鬼人達に呼びかけた。


「おい! 何を見ている! さっさと加勢しろ! 魔道具でもなんでも好きに使え!」


長は娘の追撃を回避しながらそう命令する。 隻腕ではきついようで、かなり押されているようだった。


俺は他の鬼人達を目を向けると、何やら特殊な弓矢を向けている鬼人がいた。

俺は魔剣を抜き、マントから腕だけだすと、弓矢から飛び出した光の矢を斬り裂いた。 それを見た長は驚愕し、隙が出来たようで、そのまま顔を殴り飛ばされ、気絶した。


娘は長の元へ近づくと、落ちていた金棒を拾い、そのまま頭を叩き潰した。 そして金棒を捨てると、その場で腕を振り上げ、雄叫び上げた。


その後、鬼人達は集まると宴を始めたようだった。 俺はそれを見届けるとドラゴンの元に戻った。



―――――



「さっきあの矢を防いでくれたのはあんただろう? ありがとう。 別にあれくらい何ともなかったんだが、必要に見えたかい?」


「決闘の邪魔をさせないようにしていただけで、それでやられるとは思ってはいなかった。 正直あそこまで強いとは思っていなかった」


「嬉しいねぇ。 あたしも頑張った甲斐があったもんさ」


「…俺はライド。 お前の名前は?」


「エルバ。 まぁエルでもなんでも好きに呼ぶといいよ」


「エルと呼ばせて貰おうか。 それではエル、さっきの話とは別に頼みがある」


「改まってなんだい?」


「実は化け物退治を手伝って欲しい」


「化け物? それは何かい、あたしらが集まらないと勝てないレベルのものなのかい?」


「ああ、集まっても勝てるかどうか全然わからない。 それでも俺はもしもあの化け物の牙が向いた時のための力が欲しい。 今はまだ生きるので精一杯だ。 だが、もし全種族が集まり、力を集結させることができたのなら、それに協力して欲しい」


エルバは厳しい表情で黙り込む。 勝手なお願いだ。 聞いてくれるかわからない。 それでももし力を貸してくれるのならこれほど頼もしいこともない。


「こっから西に向かった先に竜人族がいた。 竜人族は高い身体能力とあたしら以上の魔力を持っているそうだよ。 あんたのお眼鏡にかなう奴がいるかもね。 それとあんたの話だけど受けるよ。 まぁ、全ての種族を一箇所に集めるのは難しいだろうから気楽に待っておくよ」


「ありがとう。 とても助かる!」


俺は嬉しくなってエルバの手を強く握った。 握ればさっきの力強さからは想像できないほどの柔らかい感触であり、女性らしいものだった。


エルバは顔を赤らめ、少し照れているようだった。 あまりこういうことには慣れていないのかもしれない。


「そうだ、一杯どうだ? その様子だとすぐに行っちまうんだろ? もう少しゆっくりしていったらどうだ?」


「そうだな、そうしたいところだが、今は先を急ぎたい。 この続きはみんなで集まってからにしよう」


エルバはどこか残念そうな様子だが、すぐに笑顔を返してくれた。


…これは旅を急ぐ理由が増えたな。


「わかったよ。 だけど早くしてくれよ? 待ちくたびれたらこっちから行っちまうかもしれない」


「わかった。 それではガウルによろしくな」



俺は手を振るとドラゴンに乗り、西を目指した。

ありがとうございました。 次話も読んでいただければ嬉しいです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ