二話
文字数下げて投稿数増やした方がいいんですかね? なんだか評価が入らない状態は怖くてメンタル持つか心配です。
僕が移住して一月ぐらいが経った。 村での生活もなれ、友人はできていないが僕が肉を卸している狩猟をしている人たちとは普通に話している。
村の人たちも僕が食糧をたくさん取ってきているのを知っているからか、すれ違えば挨拶なんかもするようになった。 僕の今の生活はかなり充実している。
しかし、僕が作った魔剣(とても禍々しい剣)を見せて、これをあげるよ!って言ったりしても受け取ろうとする人はいなかった。 少しがっかりだけど、そのうち良さがわかってくれる人もいるだろう。 そう前向きに考えることにした。
今日も魔力を込めた水を植物にやっていると、ふと視線を感じた。 その方向を見てみると金髪の幼女がこちらを見ていた。
僕は幼女へ向けて手を振ってみると、すぐに物陰に隠れてしまった。 しかし、すぐにまた顔を出した。 何かを見ているようで、その視線の先を見ると、みかんの実を見ていた。 僕が品種改良(チート改造)した自信作だ。 僕は種が入っているのは嫌いなので種はなし。 枯れたら適当な植物をみかんのなる植物にしてしまえばいいからね!
僕はみかんを一つ取ると、それを幼女の方へ浮かばして運んだ。 人見知りには宅配が普通だよね!
僕はからだの向きを畑に変え、その状態で幼女を魔力で観察する。 なんだか犯罪的だが、村の掟にはそんな掟はなかったから大丈夫だろう。
幼女は美味しそうに食べているようで、なんだかほっこりとした。 幼女は食べ終るとこちらへと歩いてきた。 そして僕の服の裾を掴むと、上目遣いで見てくる。
「美味しかったかい? 欲しいならいくらでも持っていくと良い。 入れ物はそうだね。 はい、これに入れてね」
僕は魔力で鞄即興で作った。 重くならないようにしているため、幼女でも楽々運べる素晴らしい物だ。 これで老人も働けてハッピーだね!(鬼畜)
幼女は僕から鞄を受け取ると、この中にみかんを入れていく。 鞄に入らなくなると、鞄を片腕で持って、もう片方の腕でみかんを一個持った。
その様子に僕は苦笑し、昔友達のおばあちゃんにみかんをたくさんもらったことを思い出した。
そのことを懐かしみつつ、幼女の頭を撫で、しゃがんで目線を合わせる。
「また欲しくなったらいつでもおいで。 そのときには他にもおいしいくだものをあげよう」
幼女はじっと僕の目を見た。
「ありがとう!」
幼女はそう言って帰っていった。
この世界に来て酷く冷えてしまっていた心が暖かく感じた。 このおかしな体になって以来どこか冷淡になっていたが、それが治るのも時間の問題かも、と心のなかで呟いた。
ーーー
それからさらに月日が経って、僕は相変わらず変化せず、あの幼女は少女となった。 家にはよく来ているし、今日は同い年の子に角がなくていじめられたーっと泣きついてきた。
懐かれていることは嬉しく思うが、ご近所さんの視線は少しどころかかなり痛い。
村が安全で食糧も余裕ができてきたからか、今は赤ちゃんブームが来ている。 四六時中赤ちゃんが泣いているおかげでうるさい人向けに防音用の耳栓を作ってみたりした。
人口は増えていて、ドラゴンを食べさせたりしていたおかげか魔力の質も量もよくなっていた。 このままいけば、自分たちでも自衛できるだろうと思っていたところに巨大なドラゴンがやってきた。
僕はドラゴンに手を向け打ち落とそうかと思ったが、ふと新しく作った魔剣の有用性を見せてみるべきではないかと思った。 今はこの村で使える者はいないが、そのうち使えるようになる人も現れるだろう。これが使えればドラゴンも一撃であり、僕がいつまでも守っている必要はなくなる。
僕は剣を手に取ると、村の外れまで行き、剣を上に上げてから下に振り下ろした。
すると、ドラゴンは真っ二つになり、魔力へと変わっていく。
僕はそれを回収して、村に戻った。
僕は村人たちにこの剣の性能と素晴らしさを語った。 すると、村人たちはドン引きしたような表情ですごいね、と言ってくれたが、欲しいとは誰も言わなかった。
なぜだろう。
振れば距離長さ関係なく切れる剣なのに。 やはり簡単に使えるようにした方がいいのだろうか。 しかし、これにはロマンがあり、できたら聖剣として使って勇者を名乗れるかもしれないなに。(妄想)
そんなふつに落ち込んでいると、一人の少年が駆け寄ってきた。 その少年は赤い髪の少年で、丈夫そうな角を生やしていた。 少年はこちらをキラキラとした目で見上げ。
「その剣めちゃくちゃ危なそうなのに使っても大丈夫なのか?」
僕は握った手に親指をグッとだした。
「すげぇー! 俺も大きくなったらドラゴンを倒してみたい! どうすればそんなに強くなれるんだ?」
僕は期待の眼差しを向けられつつ、顎に手を当てて考える。
強くなる方法は意外とシンプルだ。 魔力の操作を鍛え、魔力量をあげること。 後者は魔力を取り込めばいいだけだが、前者は意外と難しい。 僕は体がほぼ魔力でできているから扱いがそれほど苦ではなかったが、この少年は違う。 肉体が魔力を持っているのだ。 それを抽出したり、集めたりはかなり練習が必要だろう。
「魔力を扱う特訓だ。 それと体を鍛えること。 そうすればお前も立派なドラゴンスレイヤーになれる。 さらに、さらにだ。 もしこの剣を扱えれば、世界中のドラゴンを狩り尽くせるだろう」
少し演技っぽくそう説明する。
「ほんとか!? おれ、頑張る! なぁ、でも魔力ってどう扱うんだ?」
「うーん、感覚の話しだからねぇ。 僕が直接教えてあげようか?」
「うん! おれに教えてくれ!」
「いいよ。 でも、その代わりこの魔剣を使えるようになること。 それまでは特訓だよ?」
「うん! やったー! これでおれは最強になれる!」
「約束だよ(ニヤリ)」
「おう、約束な!」
僕はそれからその少年を鍛え始めた。 まずは魔力を籠めて育てた葉っぱなんかをすりつぶして丸薬っぽいのを作り、それを定期的に食べさせ、筋トレ、目隠しからの魔力を籠めた水を水鉄砲で撃ち、それをかわさせるなど。
それをのんびりと行っていると、また月日は早く過ぎていった。
少年は青年になり、少女は大人の女性になった。 青年、ライドは一人でドラゴンを狩れるようになったし、女性、アナベラは今でもベッタリだ。
最近僕を見る眼が捕食者のそれではないかと錯覚してしまうが、色気も恥じらいもあるようで安心した。
どうやらライドはアナベラに惚れているようでよくアタックしているのを見かける。 アナベラは「ライドがシン(僕)に勝ったら考える」というので、ライドは熱意があるのか、訓練しているときは本気で僕を殺しに来ている。
負けるというのも難しいもので、危ない状態になったことも特にない。 ライドは魔剣を使っているが、その性能を僕は知っているため、その攻撃をくらうことはない。 わかっているから避けられる程度のものではダメかなぁ、ということで新しいものを考えているが、中々思い付かない。
チートって考えるの難しいね……。
すでにライドは僕が初めにくらったブレスをガードできるくらいには強くなったので、もう訓練は必要ないかなと思ったんだけど、ライドが「お前に勝てるまでやめない!」というもんだから、アナベラに、「こんだけ頑張って強くなったんだし、認めてあげたら?」と言ったらめちゃくちゃ睨まれて、かなりびびった。
「子供の成長は早いものね」と言ったら、え、お前がそれを言うのって目で見られて、悲しくなった。 僕は今も当時の中学3年生の姿のままで、姿は変えられるけど、大人の自分の姿がわからないや、ってことで保留状態だ。
ライドが毎日飽きもせずに挑んでくるものだから、つい武者修行の旅に出たら?と勧めたらそのまま旅立ってしまった。
そのときにアナベラに謝ったら、「なんでもしてくれるなら許す」というから、よしお兄ちゃん叶えちゃうぞって思ってOK出したらそのまま補食された。
えぇ……??
悪いことはなかったが、とてもライドに罪悪感があった。 そのことを言うと、「旅で好い人を見つけてくるから大丈夫」というので、それもそうかと納得した。
アナベラは荷物も全部こちらに移し、寝室も一緒にしてしまった。 なんだかやりづらかったが、よくよく考えてみたら以前とそんなに変わっていないことがわかり、そこまで気にしなくていいかとなった。
アナベラが僕を残して死んでしまうのが嫌なようで、「あなたとこれからもずっと歩んでいきたい」と言ってきた。 どうやら、自分だけが死んでしまうのが嫌なようで、どうにかする方法はないかと聞いてきた。
僕は品種改良やら、動物で実験していたからできる方法は知っているが、記憶が残っていたりするかはわからない。 それでもいいかと聞くと、快く頷いてくれた。
僕は失敗しないように本気をだして行った。 少し魔力が外に漏れていたが、まぁ大丈夫だろう。
僕は日本にいた頃に聞いた吸血鬼をイメージした。 弱点が多いと聞くが、その弱点は僕が作らない限り現れないので、悪くはないと思った。
結果は成功で、記憶も特に問題ないという。 なんだか以前よりも色気がすごいことになっている気がするが、僕は精神が変質してるからあまり惑わされることはない。
少し残念だとは思いながらも、何がとは言わないが「とてもよくなったよ」と伝えると、喜んでくれた。
しかし、これは村では少しまずいかもしれない。 具体的には男性の名誉と家族仲が。
アナベラの魔力は以前よりも強大になり、魔性を帯びていた。
それをあてられれば村の男性はたちまち何がとは言わないが立ってしまい、襲いかかりたくなるだろう。
それはいけない! 僕が阻止しなければ!(使命感)
アナベラも自分の状態には気づいているようで、流し目やら、何とは言わないが押し付けたりと誘惑が多くなった。
それには少し困ったが頭を撫でればすぐにご機嫌になるから特に問題はなかった。
僕は剣の訓練を始めることにした。 僕は大事なことを知らなかったことに気づいたのだ。 それは、「剣の振り方も知らないのに最強の魔剣なんて作れるわけないだろ!」ということだ。
あれば良い程度の能力をつけても所詮はその程度。
最強というからにはあったからではなく、その能力が絶対必要だ、というようなものでなければいけない。 一先ず、ファンタジー世界だし、斬撃放ってからだよな、ということで頑張っている。
集中して行っていると時間は早く進むようで、もうすでに三年は経過した。
僕はどうやらのめり込んでしまうタイプのようで、本当にあっという間だった。 これだけやってみたものの、いまだに終りは見えない。
まず、斬撃を放つことはできたが、あまりにも呆気ないことから始まった。 斬撃ってこんなもんなの? ショボくね? と。
摩擦音はするが、斬撃で斬ったものは静かだった。 そこに光るものはあらず、ただ斬っただけ。
何か派手なものを期待していた僕はがっかりした。 それから魔力も使って派手にしてみるが何かが違った。
僕は真面目に剣がどこまでできるのかを学んでいった。 ときにはドラゴンを斬り、ときには巨大な亀を斬り、ときには山を斬った。 しかし終りは見えず、ただの剣でできることを極めていった。 上達しているのはわかるが道はいまだ終わりが見えず、奥深さを感じた。
剣を全力で振る。
世界が縦に裂けたかのようにズレていた。 空間ごと斬ったのだ。
その非現実的な光景は既に見慣れたものだった。
自分の体は今なお強くなり、魔力で出来ることもたくさん増えた。
魔力の塊からドラゴンを作ることも出来れば、見ることができるようになった魂を再現し、心を持った悪魔を作ることもできた。
しかし成長は終わらない。
ふと、空を見上げる。
そこには宇宙があった。
まだそこには手を伸ばしたことはなかった。
僕は目を瞑り、魔力を使った。
やったことはないが、できるという確信はあった。
自分にのしかかっていた圧力が消えたのを感じると、目を開けた。 そこには金色の大地があった。
誰もおらず、何もいない。
そのことに解放感を感じながら、しばらく宙に浮かんでいた。
何かないだろうかと探求心が疼き、魔力を広げてみることにした。
すると、全身から吹き出た魔力はすぐに星を覆っていった。 凄い魔力量だが、この程度ではないと、まだまだ出せるのだと自分のどこかが訴えている。
星の様子を確認すると、星の中心に魔力が集まっていた。 凄い量だが、自分の持っている量よりも遥かに少ないように感じた。
そう感じてしまうのも仕方なく、最近自分の使っている魔力は、蛇口を少し捻って出している水と同じような状態だと気づいた。
その元を辿ると、自分の中から途方もない量の魔力を感じた。 もしそれが外に飛び出せばどうなるか想像もできないほどの量で、久しぶりに恐怖を感じたものだ。
僕は何か違和感を感じ、今いる星の方へ意識を戻すと、どうやら魔力が何かに変貌している様子だった。
それはだんだんと大きくなると、数キロほどの高さ持つ巨人の姿になった。
どうやら自分を排除しようとしているようだ。
えぇー、そんなにいて欲しくないの? なんだか僕が悪者みたいじゃん。
僕は少しガッカリしながら、今日の体に手を向け、そのまま魔力を使って吹き飛ばした。
ただ魔力を衝撃に変えただけだけど、それだけで巨人の上半身が吹き飛んだ。 どうやらそこまで丈夫ではないようだ。
僕は再生している巨人を見ながらいいことを考えた。 僕はお留守番をしている悪魔、名前をファーストデーモンから取ったファモンを自分の前に転移させる。
ファモンの性別はどちらでも好きな方をとれるようにしているのだが、女性の姿を取っていた。
いつも姿を変えていたが、最近は目前の、白銀の髪にすらりとしたモデルのような姿でいるようになった。
どうやらその姿が気に入ったようだ。
毎日変わる姿に少しワクワクしていたのだが、まぁいいかと諦める。
ファモンは突然のことにキョロキョロし、僕を見るとすぐに膝をつき、キリッとした表情になった。
「何か御用でありましょうか、ご主人様!」
「実はやってもらいたいことがあってね」
「はっ! 本当ですか!? もちろんやります!」
僕はあまりの元気の良さに少し苦笑してしまう。
…これならはもっと遊んでやろうかな。
「あそこにでっかいのがいるだろう? あれを食べてくれないかな? どうやら魔力に強い意思が宿ってるようでね。 僕では消してしまうぐらいしかやりようがなくてね」
やってくれるかい? と聞くとブンブンと頭を縦に振りながら飛び出していった。
僕はファモンに攻撃がいかないようにしながら、僕も意思を乗っ取れたらな、と思った。
ファモンには肉体が必要なく、霊体で活動できる。 霊体では何かに取り付いたり、そのまま意思を持った生物を乗っ取ったりすることができる。
しかしその反面、魔力を介した攻撃には弱く、自分の魔力よりも強い相手を襲うのはなかなか難しい。
しかしここには僕がいるからそこまで問題にはならないだろう。
僕はファモンに向かって進むレーザーっぽいのを魔力で作った障壁でガードする。
どうやらファモンは上手くいっているようで、焦っているのか攻撃がどんどん苛烈になる。
僕はそれを見てニヤリと笑うと、どんどん障壁の量を増やしていった。
数分経つと巨人の動きは止まり、その後どんどんファモンに吸い込まれていく。 その姿が消え、星から金色の輝きが消えるとがこちらに戻ってきた。 その様子は犬のようだった。
「ご主人様! この魔力量は少し辛いです! 少し調整してくださいませんか!」
そう言ってファモンは潤んだ瞳を僕に向けた。
このぐらいの魔力なら少し余裕があるかと思ったんだが、どうやら少しきつかったようだ。
ファモンを手招きすると、僕の体に勢いよく飛びついてきた。 ファモンの体をよく見てみると、結構ギリギリだった。
僕はファモンの中にある魔力を器と馴染ませていく。 ファモンの魂は強く、器もそれに引っ張られていると思っていたが、どうやらまだまだ時間をかけないといけないようだ。
僕はすぐ近くから漏れ聞こえてくる声を聞かないようにし、作業に徹する。
幸いそこまで問題はなかったようで、作業はすぐに終わった。
僕はファモンを離そうとするが、きつくホールドされてなかなか離れない。
何かがガリガリと削られているが、僕は生後数年の子供を襲う趣味はない。
少し頭を撫でれば離してくれた。 甘えたがりのようだ。
僕はこの星をどうしようか迷い、証拠隠滅することにした。
どちらにしろ光を発しなくなり、自分の星からは見えづらくなっていたから別にいいか、とわりとろくでもない思考である。
僕はどこかスッキリとした気分を味わい、自分の家に戻った。
ありがとうございました。 今はまだ少しアイデアがあるんですけど、主人公が強い状態だと話が作りづらくて大変ですね。